第1090話 図書館で本を借りて行く
新しい制服を出して貰って着替えてさっぱりである。
「ちょっと時間が空いちゃったわね」
「図書館に行って、本を借りてくるわ」
借りてた本も返さないとね。
「そう、私も行くわ」
「うん、一緒に行こう」
最近のカロルは錬金作業に付きっきりだったからね、一緒に行動するのは久しぶりな感じだ。
まあ、飛空艇でうろうろしたりはしたが。
ヒルダさんとお洒落組、剣術組と別れて、私とカロルは地下道へ。
マメちゃんがトコトコ前を歩いて可愛い。
洗濯室の隣の廊下のドアを開けて、地下道へと下りて行く。
私が近づくとドアは勝手に開いた。
通路にはコリンナちゃんの弓の的があって、奧でコリンナちゃんが弓を打っていた。
お、珍しく練習しているな。
「コリンナ」
「お、カロルにマコト、お風呂上がりか」
「そうだよ、聖女の湯だから入ってきなよ」
「今日は水曜日か、じゃあ、この辺にしてお風呂へ行くかな、あんたらは」
「図書館で本を借りるのだ。ガドラガで読む本」
「そうかそうか」
そう言いながらコリンナちゃんは弓矢を片付け始めた。
マメちゃんがコリンナちゃんの足にまとわりつく。
「こらこら、こいつめ~」
マメちゃんはコリンナちゃんに捕まってモフモフされていた。
「わんわんっ」
マメちゃんは人なつっこいなあ。
「また後でねー、おいでマメちゃん」
「わんわんっ」
マメちゃんが元気にこちらに走り寄ってきた。
「あとでなー」
コリンナちゃんに手を振って別れ、枝道を通って図書館地下へと出る。
地下には灯りが灯っていて、ルカッちがソファーに寝転んで本を読んでいた。
「あら、貸し出しは?」
「ヤツキノがやってるよ。今は本読みタイムなのだ」
あんたは、本を読んでない時は無いでしょうに。
見れば、ソファーのまわりに本が沢山積まれていた。
「地下の本を読んでるのかあ」
「上の本は読み終わってしまったんでね」
「読書家ね」
「写本はそんなにページ数無いから」
活字の印刷がまだ無いから、本自体の文字数はそんなでも無いのよね。
「せっかくお養父様が整理したんだから、元に戻しておきなさいよ」
「言われるまでも無い」
まったく、ルカッちはのらくらしおって、ニートの憧れの生活だよなあ。
マメちゃんがポンとルカッちの胸に跳び乗った。
「ぬっ、なんだお前は、ふははは、可愛い奴」
「わんわんっ」
「マメちゃん、影犬だよ」
「マメか、よろしくな、僕はルカだ」
そう言ってルカッちはマメちゃんをもふもふした。
「マメちゃんおいで」
「わんわん」
「またな、我が盟友、マメよ」
ルカッちはマメちゃんに手を振ると、また読書に戻った。
マメちゃんは螺旋階段の途中の私たちに追いついてきた。
「学園で一番幸せよね、彼」
「私もそう思うわ」
螺旋階段を上がって、図書館の一階に出た。
そして中央の階段を上がって二階へ行く。
貸し出しカウンターではヤツキノさんが本を読んでいた。
まったく、図書委員という奴は。
「よお、いらっしゃい」
「本を返しに来たわ」
「あいよう」
ヤツキノさんの前に収納袋から出した本を置いた。
彼は図書カードにチェックしていく。
カロルは薬学の棚に張り付いておるな。
「はいよう、何か借りていく?」
「明日からガドラガ行きなんだけど、何かお勧めの本はあるかしら?」
「ガドラガの初心者ガイドは全部貸し出されているなあ。学年の最初の方はそうなんだ。ガドラガのエッセイなんかはあるね、冒険記の棚にあるよ」
「ありがとう、というか、ルカッちもヤツキノさんも二年生よね、ガドラガに行くの?」
「学期に一回行けば点数をくれるから明日からはルカだね、私は図書番だよ」
そうか、二人で交代で行ってるのか。
「後輩は入って来て無いの?」
「今年はあまり本好き少ないみたいでさ、来て無いね」
「大変ね」
「まあ、来年に期待だね」
「そう、頑張ってね」
「ああ」
なんか女装して怪しい人だが、本に対する愛情は本物っぽいな。
さて、本を選ぼう。
冒険の棚、冒険の棚。
ここか、おお、勇者の伝記とか揃ってるな。
『ガドラガ滞在記』『迷宮超特急』『ガドラガナイトライフ』
娼館のガイドブックがあるぞ。
年代が古いからもう使えないが、だれだこんな本を購入したやつは。
けしからん。
借りて行こう。
教会のスキャンダル史とか無いかな。
『赤裸々総本山派閥抗争史』『聖心売僧列伝』『総本山観光ガイドブック』
などがあったぞ。
教会のスキャンダルなんかは、教会の書類の方が詳しく書いていそうだな。
六冊の本を持って貸し出しカウンターに行った。
カロルも沢山本を持って来たな。
貸し出しカードをチェックして、ヤツキノさんが吹き出した。
「聖女さンが娼館ガイドを借りてどうすんのさっ」
「まあ、十年も前のだから、単なる興味ね」
「まったく誰が購入したのやら」
そう言いながらもヤツキノさんは貸し出し処理をしてくれた。
「総本山のゴシップ本?」
「ガドラガの教会の問題解決になるかなって」
「そう、なにか解ると良いわね」
というか、総本山に挨拶に行くのが面倒くさいなあ。
夏休みは行かねばならないんだろうなあ。
やれやれだ。
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