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第1089話 今日のお風呂はローズの香り

 カポーンと音を立てて新作入浴剤のお風呂に入浴中である。

 お洒落組とヒルダさんも待ち構えていたぞ。


「赤い透明なお湯ですわ~」

「バラの香りで和みますわ~」


 ヒルダさんは頭にキューちゃんを乗せたまま、うんうんとうなずいている。

 カロルは浴槽で泳いでいるマメちゃんを捕まえようとしているが、奴の方がすばやいのですり抜けてしまう。


《今日はおでかけないのか》


 厩舎で寝転んでいる感じのヒューイから念話が来た。


(ごめんね雨降りだから)

《さびしい》

(明日は一緒にガドラガに行きましょうね)

《たのしみ》


 障壁を張ればヒューイと雨中お散歩は出来るのだけど、やっぱ濡れるからねえ。

 雨は行動を制限されるぜ。


 はあ、しかし、新型聖女の湯は肌触りがしっとりしてリラックス感が上がるなあ。

 ハーブが違うだけでずいぶん違うね。


「よし、捕まえたよ、マメちゃん!」

「わ、わわんっ」


 ついにマメちゃんがカロルに捕まった。

 いつもは毛で膨らんでふわふわモコモコなので、水濡れしてしぼむと印象が変わるね。

 痩せマメちゃんだ。


「明日から一週間、ガドラガ大玄洞ですわね、お気を付けて行ってらっしゃいませ」

「心配ですわあ、でもマコトさまはお強いから」

「従魔もいっぱいいるから大丈夫よ」


 レアキメラを追い詰めないといけないからなあ。


「ヒルダさんのパーティは道案内のシーフとか雇ってる?」

「雇ってませんわ、自由探窟でもそれほど深い場所には行きませんから」

「ああ、そうなんだね」


 学校の実習なので、深い所に行きたいパーティは止めないけど、大抵はほどほどの深度までしか行かないのである。

 狩りをして、魔石をギルドで換金すれば一日の実習は終わり、という訳さ。


「まだ二回目ですからね、一般的なパーティは五階ぐらいまでですわ」

「来年は私たちも実習をしませんと」

「聖女派閥で三パーティぐらい出来そうですわね」

「戦闘力で振り分けるのが大変ですわあ」

「剣術部の方々を分散させると悪い気もいたしますわね」


 剣術部はまとまって、エルマー足して行きたいだろうなあ。

 だが、そうするとお洒落部とか、コリンナちゃんとかが余ってしまう。

 来年のパーティ割も大変だな。


 ドアがガラッと開いて、コイシちゃんとカトレアさんが入って来た。


「みんな居たみょんな」

「あら、珍しいわね」

「閣下が街に保存食とお菓子を買い付けに行ったので練習が早く終わったのだ」


 かけ湯をして剣術部が湯船に入ってきた。


「保存食かあ。ジャーキーでも持って行くかな」

「木の実は備蓄があるわね。というか、食材を普通に持って行けるから」

「収納袋持ちはうらやましいみょんなあ」

「私たちも欲しいなあ」

「だが、高いみょんよお」

「今度、収納袋を作る素材のダンジョンに取りに行こうか」

「いいみょんなあ、二年生になる前に欲しいみょん」

「是非、取りに行こうマコト」


 うん、目標は派閥員全員が収納袋を持つだ。

 あと、私はもっと大きい収納袋が欲しい。

 どどんと船とか入る奴。

 蒼穹の覇者号を収納袋に入れられたら便利よね。


「あ、そうだ、二人にお願いがあるんだけど」

「なんみょん?」

「なんだなんだ」

「明日から私とカロルがガドラガに行くんだけど、その間にコリンナちゃんがさぼらないか監視して欲しいんだけど」

「「まかせておけ」みょん」


 快諾されたので、マメちゃんをだっこしていたカロルが吹き出した。


「朝、雨が降ってなかったらランニングで、あと、二日に一度放課後に弓道場で弓の稽古を二時間させてね」

「「まかせておけ」みょん」

「かわいそうだから、あまりしごいてあげないでね」

「ほどほど」

「さぼる奴が悪いみょんよ」

「雨の日はランニングが困りますわよね」


 マリリンがしみじみと言った。


「晴れていたら私もコリンナさまを誘おうかしら」

「どれくらい走るのだ、マリリン」

「一時間ぐらいですわよ、本当に筋肉が鈍ってしまっていけませんわ」

「「死ぬな」みょん」

「これくらい軽い運動ですわよ、誰にもできますわ」

「私できなそう」

「私もキツイかな」

「ランニングに一時間はつかわないみょん」

「あら? 意外とみなさん運動なされないんですわね」


 全員が、マリリンの運動量がおかしい、という顔をしていたが、黙っていた。


 まあ、死ぬなよコリンナ二等兵。


 洗い場に出て、ダルシーに洗って貰う。

 はあ、極楽極楽。

 私の髪を洗って、その後、マメちゃんも洗っていた。


 頭にバスタオルを巻いて、また湯船に入る。

 マメちゃんもまた、暖まれ。


「わんわーん」


 そうかそうか、気持ちいいか、良かったなあ。


 カロルも湯船に戻って来た。

 彼女は短髪だからバスタオルを巻かなくてよくて良いなあ。

 自分の肌を見ていろいろ確かめている。


「やっぱり、肌の状態が良くなるわね」

「効能が良さそうね」

「聖女の湯に入ってから病気知らずみょんよ」

「体の調子が良いぞ」

「本当に良く効きますわよね」

「素晴らしいお湯ですわ」


 みんなに褒められて顔がにやけるなあ。

 バラ入浴剤も大成功だね。


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[良い点] >マリリンのマッスルランニング 一週間後、マコトの視線の先には『マリリンのマッスルトレーニングにより、剛弓アマゾネスと化したコリンナの姿が!』とかなってたら面白いのにww
[良い点] ローズの香り。 平時は常識枠?な剣術組に 週末はマリリンに鍛えてもらうといいよ。 コリンナちゃん。 遺伝的な体質とかあるだろうからムッキムキは ムリかもだけど。 体幹とかインナーマッス…
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