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第1076話 ホルボス村で野菜をゲットする

「所で、今日の御用はなんでしょうか」

「ああ、ホルボス村で野菜を購入しにきたの、一週間ぐらいガドラガ行きだから」

「なにっ! 一週間もマコトは居ないのかっ!」

「そうよアダベル」

「私も行こうかなあ、でもなあ」

「一週間アダちゃんに会えないのはヤダようっ」

「そうだよそうだよ」


 ティルダ王女とトール王子に詰め寄られてアダベルは困っていた。


「わ、解ったよう、私は王都を守るよう」

「「「「「「わわーいっ」」」」」」


 アダベルはお留守番という事になったな。


「うーむ、だがガドラガに行けば、修道院で毎日バタークッキー食い放題かあ、おしいおしい」


 そんなに食べに行ったらいかんよ。


 階段を上がってホルボス邸宅へと入った。

 天窓に雨が流れているのが見えるね。

 結構降ってるなあ。


「ジェシー、ハナはいるか?」

「はい、二階におりますよ、呼んで参ります」


 ジェシーさんがタッタと階段を上がって行った。


「村長を呼んで参ります、すこしお待ち下さい」

「え、良いのに」

「雨ですから、聖女さま」


 ガラリアさんにダイニングホールに案内された。

 ちびっ子どもも椅子に座った。


「村の子供達は?」

「家のお手伝いだって、雨の日はあんまり来ないよ」

「縄ゆいとか、袋作りとかあるんだって」

「私も縄ゆいしたいな」

「この前やらせてもらったー、縄できたよ」

「僕もできた」

「いいなあ」

「やりたいやりたいっ」


 孤児達も都会っ子だから、農作業に興味津々だね。


 ハナさんが下りてきた。


「お呼びでしょうか聖女さま」

「ガドラガの教会の動きが変なのよ、潜入してお金の動きを探ってくれないかしら」

「かしこまりました、いつ頃出発ですか」

「明後日に行くから準備しておいてね、迎えにくるわ」

「護衛にはローランを付ける、二人で証拠を集めてくれ、あまりに悪質ならば即座に聖騎士団が強襲する」

「そんな早くは解らないでしょ、危険かもしれないから慎重にお願いね」

「かしこまりました聖女さま」


 ジェシーさんがお茶とプリンをみんなに出してくれた。


「ジェシーのプリン!! 来て良かった」

「あらあら、ありがとうございます、守護竜さま」


 ジェシーさんのプリンは絶品だからなあ。

 んー、美味しいっ。


 プリンを食べていると村長がやってきた。

 濡れてて悪いねえ。


「ああ、御領主さま、お野菜を所望のようで、どれくらい必要でございますか?」

「六人ほどが一週間必要なぐらいかな?」


 ハナさんが羊皮紙にテキパキと書き付けてくれるな。

 これは助かる。


「今は春ですからな、キャベツ、アスパラガス、サヤエンドウ、新ジャガ、新タマネギ、という所ですか」

「あと、ヒューイと、マメちゃん、カマ吉はお肉かな」

「そうね、マコト、お野菜はあまり食べないかな」

「ぢっぢっ」


 というか、ダイニングホールにカマ吉が居ると邪魔だな。


「六人分、一週間だと、すこし多めで袋に詰めましょうかな、ちょっとお待ち下さいね」

「一緒に行こうか?」

「ああ、いえいえ、御領主さまへの献上の野菜となると、名誉の取り合いになりますでな、私にお任せください、ほっほ」

「お金は?」

「とんでもない、とんでもないっ。御領主さまは租税もあまりお取りなっておらんのに、お金などを貰っては村の者が怒って反乱が起きますじゃ」

「悪いわよ」

「この前の治療費も取られなかったし、我々もご恩返しがしたいのですよ、ほっほ」


 村長は笑ってダイニングホールを去っていった。


「愛されてるね、マコト」

「うーん、申し訳無いよ」

「ふふふ、聖女さまは奥ゆかしいですわね」


 ハナさんが笑った。


「野菜が来るまで温泉に入ろうっ!」

「そうね、みんな行くわよ」

「「「「わーいっ」」」」


 ホルボス邸宅のお風呂はしばらくぶりね。

 脱衣所で服を脱いで、アダベルとカロルと、孤児達と一緒に温泉に入った。


 大きな御影石の丸いお風呂で広々としていいなあ。

 ティルダ王女に誘われて、リーディア団長とガラリアさんも一緒だ。

 二人とお風呂は初めてだな。


「お、温泉は、い、良い物ですね、こ、故郷にはなかったので、ざ、斬新です」

「サイズには温泉が無いの?」

「サ、サウナになります」


 北の方だからねえ。


「でも、温泉が湧いている所もあるようですよ」

「サイズの温泉にいこーっ」

「うん、将来いこーっ」

「そうですね、皆で行って一緒に入りましょう」


 うんうん、早くその時が来るといいね。


 マメちゃんも影から出て来て犬かきでじゃぶじゃぶ泳いでいた。


「マメちゃーん」

「可愛いなあ」

「泳ぐのじゃましちゃだめだよー」


 マメちゃんを見るとみなもれなく目が優しくなるねえ。


「カマ吉も入れてやりたかった」

「あの子はオスだからだめー」

「マメもオスだぞ」

「マメちゃんは可愛いからオッケーなのっ」


 うむ、カマ吉、強く生きろ。

 可愛い格差はあるんだよなあ。


《お風呂入ってきていい?》

(今どこ?)

《てっぺん》


 ヒューイはホルボス山の山頂にいるようだ。

 地獄谷温泉に行きたいのだな。


(まあ良いよ、出発の時呼ぶから)

《ありがとう》


 またあの灼熱温泉に入るつもりかな。

 竜馬ってもドラゴンの仲間だしなあ。


 雨の中、人気の無い地獄谷温泉に急降下するヒューイのイメージが見えた。

 ボコボコ沸き立つお湯に入っているぞ。

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― 新着の感想 ―
[一言] マメちゃあああん、俺と代わってくれええええ(その目は濁っていた
[良い点] 清潔にすることは良いことだ(*´꒳`*)
[良い点] >ボコボコ沸き立つお湯 ヒューイ···というかドラゴン系は熱い風呂好きな江戸っ子気質(?)なのかな?
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