第1074話 大神殿でリンダさんに告げ口をする
大神殿の練兵場に蒼穹の覇者号を着陸してもらってハッチから外に出た。
というか良く降ってるなあ。
アダベルの籠を入れたテントも激しく雨が叩いている。
私とカロルの上に大きめの半球形の障壁を張って外に出る。
「良く降るわね」
「梅雨だからねえ」
早足で階段をあがり、屋根のある大神殿へ入った。
「障壁は便利ね」
「色々役に立つから」
こんなに使い勝手がある魔法とは思っていなかったな。
たんなるバリアかと思ってた。
「おお、マコト、来たなっ!!」
奧からカマ吉に乗ってアダベルがやってきた。
「なんでカマ吉に乗ってるの?」
「雨で暇だからっ!」
アダベルはカマ吉からポーンと飛び降りて、私の影をたたいた。
「マメ、マメ~」
「わわんっ」
「いたかーっ! よーしよしよし」
アダベルはマメちゃんを影からぶっこぬいて、抱きかかえてくるくる回った。
もー、フリーダム守護竜だなあ。
「リンダさん見なかった?」
「奧にいたぞ」
「ありがとう」
私が移動すると、アダベルはマメちゃんを抱きかかえたままカマ吉に乗って付いて来た。
肩にはクロも乗ってるな。
「今日はどこかに行くのか?」
「買い出しに行くのよ、守護竜牧場とか、ホルボス村とか」
「よし、私も行こう」
オヤツ狙いだな。
解りやすい守護竜だ。
大神殿の奧の方にずんずん進む。
奧からリンダさんが歩いて来た。
「これはこれはマコトさま、お帰りなさいませ」
「ちょっと聞きたい事があるのだけれど、時間あるかしら」
「ございますよ、もちろん問題ありません、こちらへどうぞ」
リンダさんは嬉しそうに私を応接室に誘った。
「なんか豪華ね」
「賓客用応接室よ、各国のVIPも来るからね」
「聖女さまをそこらへんの会議室には通せませんよ」
守護竜さまもマメちゃんを抱きながら入って来た。
「や、ややや、もしや噂のマメちゃんですか?」
「そうだぞ、抱きたいか~」
「是非!!」
「駄目だ~~」
「意地悪しないのっ」
「しかたがない、ちょっとだけだぞ」
「ほわー、あなたがマメちゃんですかあ、よろしくねえ~」
「わんわんっ」
リンダさんはとろけるような顔でマメちゃんをなでなでしていた。
「えっへんっ」
「はい、お話はなんでしょうか?」
いや、マメちゃんを離しなさいよ、リンダさん。
「ガドラガに行ったら、ベルモント司祭という方がいて、なにやら悪さをしているようなの、あれはどこの派閥なの?」
「総本山のスカラッティ枢機卿の派閥ですね。そうですか、聖女さまにご無礼がありましたか、解りました、ただちに聖騎士団を送り、首にしてまいりましょう」
「いや、首はいらないから」
「ベルモント司祭ごと始末してしまうのが手っ取り早いのですけれどもね。その後に教皇派の司祭を送れば万事解決です」
やだやだ、なんだその、前世のパソコンが調子が悪くなったからマザーボードを取り替えるような理論は。
「最終的に荒事になるにしても、悪事の証拠を掴んでからですね」
「ついでにスカラッティ派閥も壊滅させておきたい所なんですが、総本山の奴らは聖女さまへの崇敬の念が足りません」
「総本山に挨拶に行って無いからでしょ、無茶言っちゃだめよ」
「やれやれ、聖女さまは相変わらずお優しい」
おまえらが蛮族すぎるんだよ。
鎌倉武士か。
「どうも錬金薬商会と組んでポーションの供給量を絞って、教会の治療で荒稼ぎをしているようなのよ」
「オルブライトさまが販売攻勢を仕掛けて敵錬金商会を壊滅させてしまえばいいのでは?」
「商売には慣例があるから、あまり無茶はできないんですよ」
「なるほど」
「誰か、経済犯罪に強い人をガドラガに送って尻尾を掴みたいのよ」
「そうですか、うーん、ハナでも送り込みますか?」
「ハナさんかあ」
ホルボス邸宅で事務処理を担当している諜報系女官さんだな。
たしかに有能だけどなあ。
「甲蟲騎士団も書類の手間は減ったようですし、サイズの遺児たちにはジェシーが居れば問題ありますまい」
「どんな形で送り込むの?」
「普通に教会事務の要員として送りますよ」
「護衛に誰か欲しいわね」
悪漢たちは何するか解らないからね。
「ローランでも付けますか」
「そうね、ホルボス山にも、守護竜牧場にも今日行くから」
「最初にホルボス村に行って、トールとティルダを連れて、牧場に行こう、婆っちゃ喜ぶぞっ」
「ああ、そうね」
丁度良いわね。
「しかし、ガドラガで荒稼ぎして、何をしようとしてるのかしら」
「ああ、お金を使って、次期教皇の座を狙っているんですよ」
「え、教皇様って任期無いでしょ?」
生きている間はずっと教皇様であるのだ。
次期教皇選挙のコンクラーベが始まるのは死後一年経った後と聞いたけど。
「生前から欲深枢機卿は賄賂とか恫喝とかを使って教皇の座を取りあうのです」
「教会なのに生臭いわ」
「人が運営する組織なので、女神様の恩寵があっても、どこかで腐って行くのですよ。バッサリ斬ってしまうのが楽なんですけどねえ」
いや、だからといって蛮族仕草は不味いだろう。
仮にも教会なんだから。
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