第1073話 せっせとダルシーの絵を描く
マメちゃんを足にじゃれつかせながらダルシーの絵の仕上げをする。
ぺたぺたぺた。
マメちゃんがテレピン油の筆洗いの匂いを嗅いで臭かったのか逃げていった。
好奇心旺盛だねえ。
ペタペタペタペタ。
よしよし、黄金の暁号がきっちり決まると全体的に締まる感じだね。
ダルシー格好いいわ。
いつの間にかダルシーが現れていて、頬を赤くして絵をじっと見ていた。
「嬉しいです」
「ありがとう」
「絵を描いてもらえるなんて、思ってもみませんでした」
「良い出来だから、きっとみんなが見てくれるよ」
「はい……」
ダルシーはうつむいて消えた。
まあ、なんか有るのだろうが、あえて聞くのはなあ。
そのうち自然に話してくれるでしょう。
諜報メイドとかやってれば悲しい事もあるよね。
窓を開けると、まだ外は本降りで、涼しい空気が入ってきた。
マメちゃんを構って遊んでいたら、終業の鐘が鳴った。
さて、ホームルームでアンソニー先生の顔でも見るかな。
「マメちゃん、影に入りなさい」
「わんわんっ」
私は窓を閉め、集会室を施錠して外に出た。
障壁回廊が雨を弾いて幻想的だな。
A組に入って自分の席に座った。
「マメちゃんマメちゃん」
カロルが私の影をつついてマメちゃんを出して抱き上げて席でなでなでしている。
私の嫁が我が愛犬を気に入ってくれてるのは嬉しいね。
「あー、ふわふわ~、癒やされるなあ~~」
「カロルも影動物狩りに行こうよ」
「え、良いわ、私は」
そう言ってカロルはうふふと笑った。
「マコトのマメちゃんだから可愛いのよ」
「そうですか」
エロい意味では無いだろうな。
うん。
アンソニー先生が来た。
逃げろマメちゃん。
マメちゃんはカロルの手から飛び出して私の影に入った。
「梅雨に入りましたが、体調に気を付けて過ごして下さいね。現在校内に障壁で出来た回廊がありますが、これはマコト・キンボールさんのご厚意による物で、しばらくあるそうです。ありがとうございますね、マコトさん」
みんなが一斉に拍手をしてくれた。
「いえいえ、そんなそんな」
「アップルトン貴族は突然の雨にも狼狽えない、という風習がありますが、やはり体をぬらすと体調不良を起こしてしまいます。みなさんも気を付けて生活してくださいね」
起立、気を付け、礼。
で、放課後である。
やあ、先生にも褒められたぞ。
「キンボールさん」
「はい、何でしょうっ」
うお、アンソニー先生、こっちにきおったぞ。
「影ワンコがとても評判になっています、私にも見せてもらえませんか」
「は、はい」
影からマメちゃんが飛び出してきた。
「うわー、こ、これは、可愛いですねっ、抱いても?」
「かまいませんよ」
アンソニー先生はマメちゃんを抱き上げて、幸せそうな顔をした。
「わんわんっ」
「わああ、君はふわふわだねえ、お名前はなんて言うの?」
「マメちゃんです、先生」
「そうですか、マメちゃんですか、これは可愛くて幸せになれますね」
アンソニー先生もマメちゃんにメロメロのようだ。
罪なワンコだぜぇ。
「まあ、あまり派手に暴れさせないでくださいね」
「大丈夫です、マメちゃん大人しいですから」
「そうですか、それではね、マメちゃんさん」
アンソニー先生は行ってしまった。
「今日は買い出しに行くの?」
「そうだね、カロルも行く?」
「そうね、飛空艇?」
「守護竜牧場でお肉を買おうかと思ってるから」
「解ったわ、私が操縦するね」
「ありがとう助かるよ」
よっしゃ、カロルと一緒に買い物フライトだな。
野菜はホルボス山で買うかな。
ジャガイモとか美味しいしね。
《買い物いく?》
(行くよ、ヒューイも来る?)
《いく、いつもの所?》
(基地の前で待ってて)
《わかった》
ヒューイはいつものように馬丁さんをつついて鞍を付けてもらっているな。
雨降りだから乗らないとは思うけど、他の場所だと晴れてるかな?
あとでエイダさんに天気予報を聞こう。
カロルと一緒に二階の奥から図書館への渡り廊下を使って行く。
雨だからこっちルートだと濡れないんだよね。
図書館に入ると、ルカッちが貸し出しカウンターの向こうで何かの本を読んでいた。
「おーっす、ルカッち、通るよ~」
「ん? ああ、雨だからか、どうぞ~」
ルカッちに挨拶をして、階段を下り、地下書庫のドアから地下に潜る。
飛空艇から魔力が供給されているので、とても明るいね。
螺旋階段を下りて地下書庫へ。
独特のほこり臭いかんじの匂いがする。
突き当たりから、地下通路に入り、本道に入って格納庫まで歩く。
コリンナちゃんの的が寂しそうに並んでいるな。
ちゃんと練習してんでしょうね。
あいつめ。
格納庫にはいると蒼穹の覇者号のハッチがウイーンと開いた。
「エイダさん、甲板って雨当たるよね」
【そうですね、ヒューイ号は後部貨物室に入って貰った方がよろしいかと】
「ハッチを開けて、勝手に入ってくるから」
【了解しました】
開いたハッチから、ヒューイがパタタタンパタタタンと駆けてきた。
《来た、ちょっと濡れた》
「今日は雨だから後ろに入ってなさいね」
《わかった、後ろも好き》
後部貨物室のドアが開くとヒューイは中に入っていった。
私も入って鞍を外してあげた。
《ありがとう》
「どういたしまして」
ヒューイの鞍を収納袋に入れて、貨物室の外に出る。
メインハッチのタラップを上がって、メイン操縦室に入る。
マメちゃんが影から飛び出して定位置の艇長席の袖机に立った。
私も艇長席によじ登って船長帽をかぶる。
カロルも副艇長席によじ登った。
「さて行こうか」
「行きましょう、まずはどこ?」
「大神殿に行って、ちょっとリンダさんと相談」
「了解っ」
カロルは笑って発進準備を始めた。
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