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第1068話 集会室で絵の続きを描く

 マメちゃんとキューちゃんの登録を終えてギルドの外に出た。

 ヒューイの横ではダルシーが番をしていた。


「ダルシーありがとう」

「いえいえ」

「ごくろうごくろう」


 偉そうに言うアダベルを見つめてダルシーは目を細めた。

 意外にアダベルの事、好きなんだよね。


 まず、私が跨がって、ヒルダさんを後ろに引っ張り上げ、アダベルを前に引っ張り上げた。


《では帰る》

「帰るぞ、ヒューイ」

《うむ、姉上》


 ヒューイをとっとこ走らせる。

 馬力があるから三人乗っても安定感があるな。


 すぐに大神殿に着いた。


「ごくろうごくろう」


 アダベルはヒューイの首筋をぽんぽんと叩いてからピョンと飛び降りた。


「またなー、マコト」

「またねアダベル」


 アダベルはドドドと大階段を上がって行った。

 いつも元気だよなあ。


「さあ、学園に戻りましょう」

《わかった》


 昼下がりの王都中央道路を竜馬でとっとこ走らせると、結構目立つのであるな。

 ありゃ、聖女さまだ、りっぱな竜馬に乗っておるのう、と爺ちゃん婆ちゃんに拝まれたりする。

 しかし、バイク感覚で動けるのでヒューイは便利であるなあ。

 急ぐときは飛べば良いしね。


 とっとこ走らせて学園に入り、校舎の横を行って集会棟に着いた。


「ありがとう、ヒューイ」

《どういたしまして》


 私たちが降りると彼は勝手に厩舎の方へ歩いていった。


「便利ですねえ、ヒューイ号」

「足が弱くなっちゃいそうだよ」

「それはあるかもしれません」


 集会室に入ると、お洒落組とカロルがいた。


「カロルどうしたの?」

「マンドラゴラのお酒が良い感じに浸かったので持って来たわ、リチャードさまに差し上げて」

「おお、滋養強壮のお酒かあ」


 前世のウイスキーのような瓶にマンドラゴラの片手に当たる部分が浸かっていた。

 他にも薬草が何種類か入っているっぽい。


「カーチスに……」

「飲まれるわ」

「飲みますね」

「飲まれてしまいますわ」

「確実ですわ」

「カーチス信用無いなあ」


 私も信用してないけどね。

 今度、ブロウライトのタウンハウスに届けてあげようか。

 私は瓶を収納袋に入れた。


 ダルシーがお茶を運んで来た。

 みんなでクッキーと一緒に飲んだ。


「使ったのマンドラゴラの片腕だけだね、あとの部分は?」

「冷凍保存しているわ、今度時間停止瓶に入れてちょうだい」

「わかったよ」


 マンドラゴラの各部を切り離して、定期的に提供する感じか。

 効きそうだね。


「それじゃ、私は錬金に戻るわ」

「はい、行ってらっしゃい」


 マメちゃんを膝の上で可愛がっていたカロルが彼を私に渡した。


「マメちゃんもまたね」

「わんわんっ」


 マメちゃんがマリリンにさらわれてなでなでされている。

 メリッサさんはキューちゃんと遊んでいるね。


「私たちも影動物が欲しいですわ」

「そうですわそうですわ」

「まあ、そのうちね、機会もあるでしょう」


 お洒落組の影にワンコ系を入れると護衛にもなって良いな。

 ただ、メリッサさんも、マリリンも魔力がそんなでも無いからなあ。

 ワンコはテイムできるかな?


 さて、ちょっと時間が空いたから、ダルシーの絵でも描くかな。

 せっかくスケッチしたから忘れないうちにね。


 スモックを着込んで道具を出して、ダルシーの絵をイーゼルに乗せた。

 私の肩にキューちゃんが飛んで来て、興味深そうに絵筆の運針を見ていた。


 収納袋からスケッチを出して見直しながら形を取っていく。

 ぺたぺたぺた。

 うん、スケッチして良かった、細部が決まると良い感じに絵が締まるね。


「お上手ですわあ」

「それに集中力がすごいですわあ」


 うんうん、良い感じに背景の『黄金の暁号』が浮かび上がった。

 格好いいねえ、ダルシー。

 映画のポスターみたいになったな。

 ペタペタ。


 一時間ぐらい夢中になって描いていたら結構はかどったな。

 もうちょっとで完成だね。


「それは、ここに飾るんですの?」

「いや、ホルボス山の邸宅のホールに飾るよ、あそこは殺風景だしね」

「良いですわねえ」


 次の絵はちょっと大判の奴を作るかな。

 村の子供とトール王子とティルダ王女とアダベルがみんなで釣りをしている奴。

 巨匠の所に行って大判キャンバスを貰ってこなくては。

 あとは子供達のスケッチだなあ。

 うふふ、孤児院の子供達も描きたいなあ。


「絵が描けるのは良いですわねえ」

「派閥のみんなも描いて貰えるのでしょう、楽しみですわあ」

「みんなの絵も描いてホルボス山邸宅に飾るよ」


 お洒落組とヒルダさんは嬉しそうににっこり笑った。

 この世界は写真が無いからなあ、動画は水晶玉に入れられるんだが。

 絵が写真代わりなので、肖像画が描ける絵描きは食いっぱぐれがないのだ。


 さて、月曜日なので、聖女の湯の日だな。

 私は油絵の道具を片付けた。

 金庫を開けてメリッサさんが聖女の湯の素を取り出した。


「そろそろ無くなりますわね」

「あ、新しいの作らないとね」


 今度はどんな薬効の入浴剤を作ろうかな。

 だんだん湿気が増えてくるからさっぱりしたのが良いね。


 なんでかは知らないが、アップルトンは前世の関東と同じような気候だからなあ。

 夏は暑いのだろうか。


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― 新着の感想 ―
[良い点] マメちゃんはめんこいのぅ(*´꒳`*) [一言] ヒューイ号に乗ってる分は朝のコリンナちゃん強化ジョギングで鍛えるといいと思います。 リチャード兄ちゃんが元気になりますように(-人-)
[一言] えっ、キューちゃんもう飛べるのかっ! 普通の動物よりスペック高いなあ。 ホルボス邸宅がどんどん豪華になっていく予感。マコトの死後は聖女博物館になったりして。
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