第1067話 放課後はマメちゃんの登録に行くぞ
さて、放課後である。
「ダルシー、ヒルダさんはどこに居るかな?」
「はい、マコトさま……、奧階段ですね、集会棟に向かわれる途中かと」
「おっと、いけない」
私は立ち上がって駆けだした。
A組は一番奥なので、奧階段まで近いぜ。
階段で降りてくるヒルダさんを見つけた。
「あら、領袖、どういたしました」
「これから冒険者ギルドに行って従魔の鑑札を貰いに行くんだけど、ヒルダさんも行こうよ」
「まあ、キューちゃんの登録ですか、行きます行きます」
「きゅーきゅー」
ヒルダさんの肩に乗ったキューちゃんも鳴いた。
《行くのか》
(うん、通用口まで来てくれる)
《待ってて》
ヒューイが馬丁さんをつついて鞍を乗せて貰って、馬房を出た。
「んじゃ、ヒューイに乗って行こう」
「ありがとうございます」
奧階段を降りて通用口を出ると、ヒューイがトットットとやってきた。
《おまたせ》
「ありがとうヒューイ」
「わんわんっ」
《マメもこんちは》
ヒューイは影から顔を出したマメちゃんの頭をつついた。
「本当に勝手に来てくれる騎獣は便利ですわね」
「ヒューイは賢いからね」
私はヒューイに跨がってヒルダさんを引っ張り上げた。
《では行こう》
ヒューイはとっとこ走り出した。
ちょっと薄曇りだけれど、まあそこそこ暖かいから良いね。
とっとことっとこ。
校門を抜け、ひよこ堂前を通過、とっとこ走って大神殿前である。
「おおっ、マコトーっ!!」
アダベルがだだだと大階段を降りてきた。
「週末はどこに遊びに行ってたんだ、誘ってくれないと駄目だろう」
「忘れていたよ」
「ひどいなあ……、なんか、竜の匂いがする。マコト、浮気したなっ」
ん? ペペロンの匂いが付いているのかな。
「ジーン皇国で影竜の子と知り合ったんで宮殿に置いてきた、守護竜になるらしい」
「なにいっ! 私のライバルなのかっ!」
「守護竜同士仲良くしなさいよ、そのうちアップルトンにも来るから」
「えーー」
アダベルは嫌そうな顔をした。
なんだなあ、この子は我が儘さんだな。
「あっ、ヒルダ、そのちんまいのはなんだ?」
「キューちゃんよ、アダベルさま」
「おおー、小さいフクロウだ」
「わんわんっ」
マメちゃんが影から顔を出して、アダベルに挨拶をした。
「うおおおおっ」
アダベルはマメちゃんを影からブッコ抜いた。
「もふもふだっ、もふもふっ、可愛いっ、くれっ!」
「きゃんきゃんっ」
「駄目よ、私の新しい従魔なんだから、マメちゃんだよ」
「マメちゃんかあ、よろしくなあ」
「わんわんっ」
アダベルはマメちゃんを抱きしめてうっとりとなで回している。
守護竜も落とす魔性のワンコ、マメちゃんだな。
「ほわー、ふわふわ、もふもふだー」
「あんたにはトトメスもいるし、クロもいるでしょ」
「にゃーん」
クロもアダベルの腕の上に上がってマメちゃんを撫でた。
匂いをかげよ、ヴィクター。
「トトメスは可愛いが、手触りが冷たいからなあ」
「げろげろ」
トトメスがアダベルの服のポケットから顔を出した。
ポケットに入れているのかいっ。
「これからどこにいく?」
「冒険者ギルドにマメちゃんとキューちゃんの登録に行くのよ」
「私も付き合ってやろう、なにしろ守護竜だからな」
「はいはい」
私はアダベルを引っ張り上げて私の前に乗せた。
「おーい、アンドレ、女官さんに適当に言っておいてくれ」
「あいよう、守護竜さん、オヤツには帰れよー」
「当然だ」
ほんとにフリーダムな守護竜だなあ。
でも人気はあるようで、巡礼者たちに、守護竜さまじゃと拝まれているな。
私にも聖女さまと拝んでおるが。
「ヒューイ、いこう」
《わかった》
「ヒューイに乗るとラクチンだ」
《お安い御用だ、姉上》
アダベルを乗せてヒューイはとっとこ走り出す。
彼女の尻尾が太ももにパシパシ当たってなかなか辛い。
てってこ走らせて、横町に入って、ギルド前である。
ヒルダさんが降りて、アダベルが降りるのを手伝って、私も降りた。
馬繋ぎ柵に手綱を巻き付ける。
両開きの戸を開けると、いつもの荒んだ冒険者ギルドだ。
っても、ガドラガの雰囲気に比べると、なるほど王都支部は上品なんだなと解る。
「たのもうっ」
「お、聖女と守護竜、こんちわ」
相変わらず態度がフランクなハゲマッチョギルマスであるな。
「きたぞー、だが用事は無いぞ~」
「そうなのか、用事があるのは、聖女か? マーラー家の令嬢か?」
「従魔の登録に来たよー、マメちゃんと」
「キューちゃん」
「ひょわあああっ!」
変顔をしてハゲマッチョギルマスはクネクネした。
「わんわんっ」
「きゅーきゅー」
「うわ、なんというめんこい生き物たちなのかあっ」
「うわ、凄いですね、撫でても良いですか、良いですね、確認のためですし、なでなで」
いつものギルドの受付嬢のお姉さんが自問自答してマメちゃんを撫で始めた。
「うわ、ズルいぞ、俺も撫でたいっ」
「いや、登録してくれよう」
「くそう、私もめんこい生き物を従魔にしたい」
アダベルは魔力が凄いので、小さめの魔物は逃げちゃうからね。
でっかい奴とかテイムすれば良いんじゃ無いかな。
ギルマスと受付嬢になでくりまわされて、マメちゃんとキューちゃんの鑑札登録は終わった。
首輪みたいに、鑑札をぶら下げる。
キューちゃんは小さいので大変だな。
「キューちゃんは可哀想だから、大きくなるまでヒルダ嬢が保管していていいぞ。大きくなったら足首につけてやれ」
「わかりましたわ」
「もー、マメちゃん可愛いですー」
受付嬢さんのマメちゃんを撫でる手が止まらないのだった。
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