第1064話 月曜日はマメちゃんとランニング
顔をべろべろ舐められて目を覚ました。
「きゅーんきゅーん」
「おはようマメちゃん」
ベッドのカーテンを開けると曇っていた。
ランニングに支障はないな。
マメちゃんを横抱きにして洗顔したり用足しをしたりした。
「おはよう、おー、マメちゃん、今日もかわいいねえ」
「わんわんっ」
コリンナちゃんも起き出して主にマメちゃんをかまう。
早く体操服に着替えろい。
さて、マメ上等兵をくわえてランニング部隊を結成、部屋を出て玄関に向かうぜ。
「おはよ~~、マメちゃ~~ん」
カロルが私にあいさつもそこそこにマメちゃんに寄ってきて抱き上げて頬ずりをした。
「マメちゃんも走るの?」
「わんわんっ!」
「だそうです」
マメちゃん小さいから無理そうだったら影に入るんやで。
玄関から開幕ダッシュだ!
私はカロルと共にグラウンドを目指して全速力で走り出す。
「ま、まってくれ~」
「わんわんっ」
マメちゃんもトタトタ走って付いてくるな。
めんこいなああ。
けっきょく今日はコリンナちゃんを四回抜かして朝のランニングは終わった。
マメちゃんは三周ほど付き合ったが飽きたのか私の影に潜った。
コリンナちゃんも、まあ、ちょっと速度が上がったかな。
へろへろ具合は変わらないけど。
地下に潜って蒼穹の覇者号でシャワーを浴びて、ラウンジでダルシーの入れてくれたお茶を飲む。
ダルシーはマメちゃんに何か肉の煮こごりみたいな物を上げていた。
「わふんっ!」
マメちゃんは喜んでわしわし食べていた。
ペディグリーチャムかな、犬まっしぐらだ。
「羊肉の煮こごりです。犬用に味付けも教えてもらいました」
「すごいねダルシー、ありがとう」
「マメちゃんの為ですから」
「わんわんっ!」
ダルシーはふんわり笑った。
とても美味しいという気持ちがマメちゃんから伝わって来た。
なによりだね。
「カワイイワンコが居る生活はいいなあ」
「マメちゃんを見ると気持ちが明るくなるわね。マコトでかしたわ」
「ありがとうっ」
うしし。
マメちゃんを褒められると嬉しいな。
さて、女子寮に戻って朝食である。
マメちゃんは影の中にいなさいね。
お腹がいっぱいになったのでおねむのようだ。
影の中なら寝ていても勝手に移動してくれるようね。
便利だなあ。
「おはようございまーす、マメちゃんは?」
「おはよう、マメをなでさせろ」
「おはようさん、マメちゃんはどこみょん」
「ご飯を食べておねむよ。影の中で寝てるから静かにね」
「わかった」
「静かにするみょんよ」
エレベーターホールに居た派閥員と一緒に食堂に入り、朝ご飯を食べる。
今日は塩味ポリッジ、副食はソーセージエッグだ。
ぱくぱく食べて完食。
美味しい朝ご飯は大事だな。
みんなで連れだって登校である。
玄関に入ったところの壁でまた人だかりがしている。
壁新聞の新しいのが張られたかな。
行って見てみると、魔法学園新報が更新されていた。
なになに?
『我が校の聖女マコト、ジーン皇国の皇弟閣下を許される』
ああ、ジーン皇国関係の事件がまとめられているね。
うん、コンパクトだけど要点を突いていて解りやすい。
聖女派閥側の情報提供は誰だろう。
「ヒルダさまに取材しましたわ」
新聞記者のレイラさんが話しかけてきた。
「やあ、レイラさん、おはよう」
「このたびは素晴らしいご活躍でしたね」
まあ、表沙汰にしていない事も一杯あったんだが、それは良いよね。
「ジーン皇国側のニュースだと、秋にギュンター皇子が魔法学園に留学してくるよ」
「ああ、なるほど……。なるほど」
レイラさんはメモ帳に素早く書き付けた。
この人も結構政治とか読めそうな気配がするね。
マメちゃんが目を覚まして影からぴょこっと頭を出した。
「……、まああああっ♡」
レイラさんがしゃがんでマメちゃんの頭を撫でた。
「なんてめんこいのかしらっ、聖女さまの従魔ですか?」
「そう、影犬のマメちゃん」
「わんわんっ」
「ほっほっほ、影フクロウもいましてよ」
ヒルダさんが、肩に乗ったキューちゃんをレイラさんに見せつけた。
キューちゃんも雛なので、手の平にすっぽり入るぐらい小さくて可愛い。
「まーまーっ、キューちゃんですの♡」
レイラさんの目がハートだ。
いつのまにか、ジェラルドとケビン王子もしゃがみ込んでマメちゃんを撫でていた。
「キンボール、この可愛い物はどこで手に入る?」
「ジーン皇国の影獣迷宮だよ」
「ジーン皇国なの? 残念だなあ」
「ディーマー皇子と交流して連れて行ってもらえよ」
「それが早道かもしれませんな」
「影に潜むペットは良いねえ、マメちゃんめんこいねえ」
ケビン王子がだらしない笑顔でマメちゃんを撫でていた。
「あ、影獣迷宮に影竜が居たのでジーン皇国の皇宮に置いてきた、守護竜にするってさ」
「「なんだって!!」」
「なんですって、聖女さま詳しくっ!」
「え? 影獣迷宮の奥に影竜の女王がいて、娘を人界に出したいというので、手近な皇宮に置いてきたんだけど」
「ど、どうしてアップルトンに連れてこないんだっ!」
「ジーン皇国にも守護竜が、アップルトンの独自性が薄まってしまうじゃないか」
「え、守護竜だったら、アイアンリンドの街にも居るじゃん、ワイバーンだけど」
「だ、だが、ジーンに利敵する事はなかろう!」
「一国に守護竜が二匹とかバランス悪いじゃんよ、神に祝福されたアダベル様が居れば良くない?」
「それはそうだが、なんとももったい無い」
「そうか、ジーン皇国には影竜が付いたのか、これはアライド王国からも竜を紹介しろって言ってくるよ」
「しらん、手持ちは無いし」
竜なんてものは望んで知り合える物でもないぞ。
なんとなく運命で知り合って、仲良くなる物じゃあないだろうか。
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