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第1062話 マヌエルを厩舎にぶっこむ

 マヌエルを連れて武術場口から地上へと出る。


「手をつなぐなというんだっ、子供じゃないぞっ」

「あ、ごめん、ついつい」


 オヤジならオヤジらしく女子高等生に手を繋がれたらニヤニヤしやがれ。

 といっても、見た目が可愛らしいから、女子にしょっちゅうかまわれるのだろうな。

 ショタオヤジは業が深い生き物だぜ。


「学校の下に地下道があって、そこに飛空艇があるのか、なんだその秘密基地感は」

「なりゆき」

「先々代の聖女もおかしいが、それを平気にしているお前も変だ」

「しょうがない、有るんだから」


 ビアンカさまはどうかしているが、私は常識人だぞ。

 失敬な事をいうな、ショタオヤジめ。


 二人で図書館脇を通り過ぎ、厩舎へと歩いた。


「お、帰ってきたな、ヒューイ号は入れておいたぞ」

「ありがとう、パスカル部長、これ、マヌエル」

「これとはなんだっ!!」


 うっせえなあ。


「え、子供?」

「俺は三十五だ」

「ハーフリングの血が強く出たらしいぞ」

「そうか、厩舎の経験は?」

「ある、当然だ、自分の厩舎を持っていたからな」

「ほうほう」

「あれだ、こいつは、隷属の首輪のウエリントン家の長男だ」

「おー、それは専門家だな、よろしく、マヌエル。俺はパスカル・ガトリングだ」

「貴族? なのか?」

「そうだぞ、伯爵家だ」

「ふむ、作業着を着込んで働く奴は嫌いじゃないぞ」

「そうか、ありがとう」


 パスカル部長は笑った。


「古式テイムが出来ると聞いたが」

「ああ、クヌート師匠に基礎は習った、あとは騎獣へ対応させるだけだな。なにか驢馬とか居ないか?」

「一匹居るぞ、駄目驢馬だが」


 そう言うとパスカル部長は奧に入って頭が悪そうな顔をした驢馬を引っ張って来た。


「馬鹿そうだな」

「わりと馬鹿だ、名前はロペスだ」

「そうか、では、古式テイムしてみよう」


 ロペスはマヌエルを馬鹿にしたようにヒヒンと鳴いた。


「どれくらい時間が掛かる?」

「驢馬なら一発、だと思うが」


 マヌエルは両手の間に魔力の球を作ってロペスに近寄った。


「大人しくしろ」

「ひひんっ!」


 嫌がって暴れるがパスカル部長が首を持って動きを静めた。

 ヒルダさんに来て貰えばよかったか。

 もしくはカロルのチェーンくんか。


「『愚かな驢馬よ、我が眷属となれ』」


 パスが細く繋がったな。

 ロペスは暴れまくる。


「従え、ロペス!」


 お、大人しくなった。

 テイム成功か?


「よしよし、これからよろしくなロペス」


 マヌエルが首筋をぽんぽんと叩くとロベスは振り返ってヒヒンと歯をむき出して笑った。


「これでテイムできたのか」

「ああ、鞍を付けてくれ」

「おう、ちょっとまて」


 パスカル部長はロペスに手早く鞍を付けた。

 マヌエルはロペスにひらりと跨がった。


「もう、これで、俺とロペスは一心同体だ、ほれほれ」


 そう言うとマヌエルはロペスに反復横跳びをさせた。

 おー、すげえ。


「マジか、あの馬鹿なロペスが言う事を聞いている!」

「こんな事もできる」


 マヌエルはロペスをダダッと走らせ、柵の前で急停止させ、スライドさせてギリギリに止めた。


「なにげに、お前、運動能力高いな、ロペス」

「ひひいいんっ!」


 だだっと走らせ、ジャンプさせて、くるっと一回転、そして見事な着地。


「うわっ、馬術の試合に出れるぞ、これ」

「さすがに競技は卑怯だな、だが、レースに出る分には問題無いだろう」


 しかし、マヌエルの騎乗能力も凄いな、やっぱり。

 柵に飛び上がり、そこから屋根に飛んで、木の枝を蹴って着地とか、驢馬のアクロバットだなあ。


「すげえなあ、マヌエル!」

「なあに、パスカル部長も古式テイムすれば、これくらい出来るようになるぜ」

「そうか、あそこにいるケルピーが俺の騎獣なんだが、古式テイムできるかな?」


 マヌエルはロペスに乗ったままケルピーに近づいた。

 ケルピーは気性が猛々しいので、ロペスが近づくと、シャーと威嚇した。


「これは少々時間が掛かりそうだな」

「そうか」

「まず隷属の首輪を外して、動きを止めて、それからテイムだなあ」


 動きを止めとかないといけないのか。

 ロープとかだと怪我しかねないな。


「聖女さんが先にテイムして、それから上書きするのはできるか?」

「聖女のテイムはたぶん上書きできねえ。クヌート師匠の影犬を上書きテイムしたのが最初らしいが、逆は無理だろう」

「それは残念だなあ」

「眠らせる呪文とかあるけど?」

「心と心が通じないといけないから、眠らす系は駄目かもなあ」

「障壁で動けなくするか、ヒルダさんに糸で拘束か、カロルに鎖で拘束か、ぐらいだなあ」

「拘束系ならロープで固められるな。障壁はどうかな」

「ちょっとやってみようか」


 ケルピーの周りに障壁を張る。

 首だけ出すようにして、あとは長方形の箱でぴったりと囲う。

 ケルピーは暴れるけど、意外に大丈夫だな。

 障壁は割れない感じ。

 ああ、ぴったりくっついてるから、割るほどの力が入らないのか。


「ふむ、良い感じだな、こいつはどれくらい持つ?」

「好きなだけ、ほっとけばいつまでもあるよ」

「なんだよ、その規格外の魔法は」

「聖女の魔法なんか、そんなもんだ」

「隷属の首輪を取って、それから古式テイムか。なんとかなりそうだな」

「今日は遅いから、明日以降にやるか。一度小動物をテイムして、感じを掴め、パスカル部長」

「おおよ、いやあ、良い部員が入って来て嬉しいぜ、マヌエル」

「まかせとけ、馬丁で入るが、寮とかはあるのか?」

「ああ、寮も食堂も完備だ。日当も家から出すぜ」

「そりゃ嬉しいな、細かい所は後で詰めよう、厩舎長に紹介してくれ」

「おうよ」

「障壁解くぞ~」

「ああ、頼む。聖女さんもありがとうなっ、助かるぜ」


 私が障壁を解くとケルピーはほっとしたように座り込んだ。


「気にすんな、ナージャも大会を見に来たいってよ」

「え、えええっ、本当か、それは嬉しいなあ」

「だから、がんばれよ」

「おうっ!」


 騎乗馬鹿二人はすっかり仲良くなって事務所の方に移動していった。

 というか、マヌエルはいつまでロペスに乗ったままでいるのだ?

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― 新着の感想 ―
[一言] 騎馬レース大会にダシャばあちゃんを招待したら走ってるユニコーンを見て「懐かしいわねえうちの牧場にも私が子供のころはユニコーンがいたのよ。おばあさまがユニコーンライダーだったの」とか回想しそう…
[良い点] つくづく聖女テイムはチート。 ペス、ジョン、ポチ、ポーポーちゃんもクヌートに返されたとはいえ、上位はマコトちゃんのままだし。 聖戦との魔法もあるし、聖女、勇者はその時代に1人というのは致…
[一言] 古式テイムがアップルトン周辺で急速に復権しそう
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