表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1059/1529

第1056話 影獣迷宮の二階から四階まで走破する

 二階も三階も、大した奴は出てこなかった。

 基本的にゴブリンとかオークとかが居なくて、影魔物だけなので割と走破はラクチンである。

 影スライム、影兎、影ネズミ、影カラスという所で、あんまりテイムしたい感じの魔物が出ない。

 ワラワラ掛かってきても、ペスとかジョンとかが顔を出して吠えると逃げて行く。


「五階まで急ごう」

「そうだな、最短距離で潜るか」


 ギュンターの息がちょっと上がっているな。

 兵隊さん達はさすがにタフで息も切らせていない。


「迷宮とは忙しい場所だな」

「本来はもっと戦闘がございますが、影犬に蹴散らされてしまうので歩いてばかりですな、ご休憩をお願いしますか?」

「いや、まだ持つ、大丈夫だ隊長」


 四階の下り階段があった。

 トコトコと降りると、また洞窟である。

 意外と景色の変化が無いな。


「ちょっと休むよ-」


 私が言うとギュンターがほっとした顔をした。

 皇子さまはコリンナちゃんほどじゃあないがひ弱だな。


 ダルシーに水筒を貰ってごくごく飲む。

 クヌートも、マヌエルもマイ水筒を持っているな。

 ヒルダさんもシャーリーさんから水筒を受け取っている。


 ギュンターには隊長さんが水筒を手渡して飲ませている。

 だいぶお疲れのようだな。


『ヒール』

「お、おおおっ、疲れが抜けたぞ、聖女」

「そりゃ、ヒールかけたからな」

「あ、ありがとうございます、聖女様」

「気にしなさんな隊長さん」

「あ、ありがとう、助かった」

「まだ先が長いから、気楽にしていなよ、気を張ってると疲れるよ」

「わ、わかった」


「もう一階降りれば影犬が出てくるな、野良を捕まえるのか?」

「うーん、フィーリングだなあ」


 あんま馬鹿すぎる犬は勘弁してほしいし。

 クヌートの影犬はみんな頭良いしな。


「お前さんがテイムすると進化するから、結構馬鹿でも大丈夫だと思うがな」

「とりあえず、影フクロウの方が欲しいからな、七階まで急ごう、道中、良い奴がいたらテイムするよ」

「よし、そうしよう、マヌエルはなんかテイムしないのか」

「あまりピンと来ないな、乗れる奴がいいんだが」

「大型は十階以下だな、あとテイムに手間掛かるぞ」

「そうかー、難しいな」

「まあ、ゆっくり考えろ。皇子もなんか記念にテイムしていきませんかい?」

「古式テイムか、うーむ、影に潜んで護衛になるのか、なかなか良いな」

「影の鳥系なら連絡にもつかえやすよ」

「秘密の連絡か、それも良い」

「ネコでも捕まえたら? 可愛いよ」

「ネコかあ、今度ネコか鳥が出て来たら教えてくれ、試して見よう」


 クヌートの先導でどんどん進む。

 なんか、天井に灯りが点いている洞窟は変な感じだな。


『サーチ』


 カアアアアン!


 お、あの影の中になんかいるな。

 ネコかな。


 魔物が居そうな影の上に乗る。

 影から前足が出て来てひっかいてきた。

 だが、残念だな、これはバトル聖女服だ。

 お前のツメでは貫通出来ない。


「みぎゃあああっ!!」


 ヒルダさんが糸を使って影ネコをがんじがらめにした。


「よし、皇子、まず、両手の間に魔力を作るんだ」

「お、おう、こ、こうかな」


 ギュンターはおっかなびっくり、両手の間に魔力を発生させた。


「それでネコの頭を包むようにして、唱えてくだせえ。『小さき物よ、我が眷属となれ』」

「わ、解った、『小さき物よ、我が眷属となれ』」


 ネコはミギャーミギャーと暴れた。


「名前を読んでみなせえっ」

「え、名前か、ええと、ああお前は『ショーミー』というのか」

「ふにゃああお」


 お、テイム成功した。

 ヒルダさんが糸を解くと、ショーミーはトトトとギュンター皇子に近寄った。


「お、おおっ、これでテイム成功か、おお、お前はショーミー、これからもよろしくな」

「ミョーミョー」


 ギュンターはなんだか嬉しそうだな。


「影に潜ませてつれて行きなせいよ」

「わ、わかった、影に入りなさい、ショーミー」

「ニョーン」


 ショーミーは素直にギュンターの影に入った。


「これで、影から出たり入ったりするのか」

「素晴らしいです皇子」

「さすがはギュンター様だ」

「すばらしいっ」


 隊長と兵隊たちがギュンターをよいしょした。

 ギュンターもまんざらではなさそうだ。

 影の中からショーミーを取りだしてなでなでしておる。


「マーラーのお嬢がいると楽だな」

「あの糸はマジに使える」

「ありがとう」


 ヒルダさんはにっこり笑った。

 とりあえず動きを止めると楽だな。


 さて、五階に降りよう。


 五階に降りると、たまに影犬が出てくるようになったが、なんかピンとこないので、逃がした。

 小さい個体が多いな。

 チワワとかスピッツ系だ。

 私は乗れるぐらい大きいわんこが欲しいのじゃいっ。


「あの、わたくしたちも試して良いですか?」


 隊長さんがおそるおそる聞いて来た。


「魔力量とか、向き不向きがあるから上手くいかないかもしれねえが、やってみたらいいんじゃないか」


 クヌートが笑って言うと、隊長さんも兵隊さんもにっこり微笑んだ。


「我らの進行を遅らせない程度であれば許可をするぞ」

「皇子、ありがとうございます」


 んで、みんなして小型影ワンコをテイムした。

 才能があるっぽい人もいて、隊長さん以下、半分ぐらいの人がテイムできたね。

 なにより。

 兵隊さんだったら、影ワンコ便利でしょう。

よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いつでもどこでも小型影ワンコと一緒! フオオオオ! もう地上の天国じゃん さすが聖女様!さすせじょ!!
[一言] 兵隊さんズ、影ワンコを何に使うんだろう?
[良い点] 隊長と兵士の皆さん、戦力とか偵察要員じゃなくてペット目的でテイムしたでしょ!怒らないから言ってみなさいww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ