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第1054話 ご飯を食べて寝てしまおう

「お、ポトフ良い味だなあ、ほっとするぜ」

「聖女なのに意外に料理がうまいな」


 マヌエルがチーズトーストのチーズをみょーんと伸ばしながら言った。


「なのにとはなんだ」

「ははは、ごめんごめん」


 ヒルダさんがワインを私と自分のグラスに注いでくれた。

 お茶がいいんだけど、まあいいか、たまにだからね。

 アンドレア領の新酒の赤で深みはないけど、フレッシュな感じで美味しい。


「うんうん、こういうので良いんだ。美味しいなあ」


 エバンズもエンジンルームから出して来て晩ご飯を食べさせた。

 ほっとくとずっとメンテナンスしてるからな、こいつは。


《おいしそう》


 ラウンジの甲板側の窓からヒューイが顔を突き出してきたのでチーズトーストを口に入れてあげる。


《うまいうまい》

「そういえば、ヒューイのご飯を積んでなかったわ」

《鱒を食べた、ご心配無く》


 さっき泳いでいたときに漁りしたのか、器用だなあ。


「ここの鱒美味しい?」

《脂がのって美味しい、取ってくる?》

「今日は食糧があるからいいわ、今度、取ってね」

《わかった》


「聖女のテイムは凄いな」

「ああ、テイム速度も凄いが、テイムした対象が進化しやがるぜ」

「やっぱりか、隷属の首輪とは比べものにならないな」

「首輪なんざ、古式テイムにもかなわないぜ、唯一の利点は手軽ってだけだ」

「まったくな、パスが通るとここまで有用とは思わなかった。騎獣に使ったらすごそうだな」

「マヌエルはどれくらい古式テイムができるようになったの?」

「覚えが早いんでなあ、基礎は大体教えたぜ、あとは実践で伸ばしていくだけだな」

「お、師匠、俺は皆伝か」

「まあなあ、師範代ぐらいにはなったぜマヌエル」

「ありがたい、師匠と出会えてよかったぞ」

「こいつめっ」


 クヌートは苦笑した。

 よしよし、師範代ぐらいになったか、パスカル部長に教えられるな。

 古式テイムで騎乗部を立て直して、ハゲを打倒しよう、そうしよう。


 結構多めに作ったのに、みんなパクパク食べて完食してくれた。

 朝ご飯用のパンが無いなあ。

 ちょっくら買ってくるか。


「ダルシー、片付けはお願いね」

「かしこまりました」


 ラウンジの戸を開けて甲板に出る。

 空にはぽっかりと大きな月が出ている。


《どっかいく?》

(朝ご飯のパンを買いに行くわ)

《解った》


 私がヒューイに鞍を付けていると、クヌートが出て来て手伝ってくれた。


「町までいくのかい?」

「パンを買ってくるわ。あとあったら卵と牛乳」

「そりゃ嬉しいね」


 私はヒューイによじ登った。


「じゃあ、ちょっと行ってくるね」

「いってらっしゃい領袖」

「行ってこい」


《飛ぶ》


 ヒューイはひらりと夜空に飛び上がった。

 ふおー、夜景が綺麗だなあ。

 遠い県都まで見えるな。


《夜、飛ぶのは気持ちがいい》

「本当だねヒューイ」


 レンフートの町まで一っ飛びである。

 まだ宵の口だけど、パン屋は開いてるかな。

 町に降りると、町民がびっくりして大声を上げた。

 無視してたったか走らせる。


 パン屋はギリギリ開いていた。


「あら、聖女さま」

「パンを買いに来たわ」


 ダルシーが居ないので自分のお財布をだして、丸パンを四つ買った。

 ここの丸パンは美味しい。


 隣の雑貨屋さんは半分閉まっていた、が、卵と牛乳をばあちゃんが売ってくれた。


「ありがとうねー」

「なんのなんの、聖女さまだしね」


 収納袋に荷物を入れて、ヒューイに跨がる。


「さあ、帰ろう」

《わかった》


 ヒューイが夜空に飛び上がると、集まった町民たちから拍手と歓声が上がった。


 さて、夜の湖畔とか森とかは真っ黒で見分けが付きにくいが蒼穹の覇者号は所々に灯りが点いているので解りやすい。

 夜の飛行はなかなか良い感じだな。


 ヒューイと甲板に降り立った。


「お帰りなさい領袖」

「ただいまー」


 みんなはラウンジでワインとか飲んでいた模様だ。

 マヌエルの頬が赤いな。


「聖女さん、つまみとかねえの?」

「ねえよ」


 何を言っているか、とっちゃん坊やめっ。

 守護竜牧場のチーズの固まりを収納袋から出してやった。


「あんたたちも適当な所で寝なさいよ」


 そう言って私は収納袋からアンドレアのワインの白を出して置いてやった。

 やったぜ、と言って、マヌエルとクヌートが飛びついた。

 エバンズも珍しく飲んでいるようだ。


 ヒルダさんと連れだってシャワーブースでさっぱりして、ダルシーにパジャマを出して貰って着替えた。


「領袖の寝間着は可愛いですね」

「ヒルダさんはネグリジェで色っぽい」

「そんな」


 ヒルダさんはまんざらでも無さそうに、うふふと笑った。

 あんまり透けてないけど、色っぽい黒のネグリジェであった。


 スイートに入ってベッドに倒れ込む。

 やれやれ、今日は飛行でちょっと疲れたな。

 船のわずかな揺れが気持ちが良いね。


《おやすみ、主よ》


 ヒューイは甲板に毛布で寝床を作ってもらってそこで寝るようだ。


(おやすみヒューイ)


 パチリと魔導灯のスイッチを切って私は眠りについた。

 ああ、このベッド良い感じの寝心地だなあ。

 ビアンカさまもここで寝たのかな。

 きっととんでもない高級ベッドなんだろうなあ。

 すやあ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] フットワークの軽い聖女さま。 なんとなくおかんポジション(*'▽'*) [一言] 夜の湖に飛空艇。 いざとなったら漁もできる。 エイダさんの24時間セ◯ム付き。
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