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第1048話 ガドラガ大通りを行く

 街門をくぐるとガドラガの街である。

 なんとなく、火薬みたいな匂いがするボロい街だな。

 高い建物とか、高級そうな酒場とかあるんだけど、妙に煤けた感じがするね。

 あれだ、西部劇に出てくる街みたいな雰囲気がするよ。

 歩いている冒険者たちの目付きも悪いなあ。


「た、助けてくれっ! 弟が弟が死んじまうっ!! なあ頼むよっ」

「金を持ってこい、前金だ」

「い、今は無い、だけど明日かならずっ」


 ガシッ。


 うお、太った坊さんが泣いている冒険者を足蹴にしたぞ。


「聖女さまが守護竜の洗礼式で金が要ると申されているのだ、金が無い奴は死ね」

「そんな、弟が弟が」


 私はヒューイをとっとと冒険者に近づけた。

 うわ、迷宮出たてかな、臭いぞ。


 ピッと『オプチカルアナライズ』する。

 あー、弟さんやべえ、体の傷もヤバイが、脳出血している。

 ほっとくと死ぬな。


「通りがかりの僧侶なんだけど、治す?」

「な、なんだっ! 貴様、神学生かっ!! 聖女様の決定に逆らうというのかっ!」

「たのみます、学生さん、頼みますっ!!」

「ほいよう」


 私はヒューイから飛び降りて、弟さんの頭に手を当てた。


「あ、頭ではなくて、腹の……」

『ハイヒール』


 ジョワッと光が手からあふれ出て脳出血が止まった。


「はっ! 傷の見立てもできぬ劣等生かっ!!」

『ヒール』


 腹の傷は出血が凄かったが、まあ、ヒールぐらいだね。

 弟さんが目を開けた。


「君は……」

「通りすがりの神学生だよ、神父さんがけちん坊な事を言うから治した」

「す、すまない……」

「ありがとう、学生さんありがとうっ!! お、お金は必ずっ!!」

「ああ、いらんいらん、基本的に回復魔法ってのは女神様が世のため人のために授けてくださったもので、金儲けにするもんじゃあ無いです」

「貴様っ!! 無許可で治療をするとは不届き千万だっ!! どこの神学校かっ!!」


 うるせえなこの神父、こらしめるか?


 ビュウと風が吹いて土埃と共に目付きの悪い帽子の神父が歩いてきた。


「神父カラス、ひかえたまえ」

「で、ですが、ベルモント司祭、この学生が勝手に治療をっ」


 ベルモント司祭は私の前に片膝を付き頭を下げた。


「お目にかかれて光栄でございます、聖女マコトさま」

「げええええっ!!」


 カラス神父はのけぞって驚いた。

 ベルモント司祭は目を伏せている。

 こいつー、くわせもんだな。


「ぞ、存じ上げなかったとはいえ、大変な失礼を、平に平におゆるしください」


 カラス神父は地面に額をこすりつけて土下座をした。


「ベルモント司祭さま、あなた、私の名前を出してお金儲けをしているの?」

「……左様でございます」

「なぜ?」

「ガドラガは冒険者の街です、甘い事を言うとかならず冒険者はつけあがり教会が立ちゆかなくなります。治療費をきちんと取るのは冒険者のためなのです。そして、おそれながら、聖女さまの為と言えば、冒険者どもの財布も緩むのです」


 まー、筋は通ってるけどなあ。

 大神殿でも貧民には施しをするが、ある程度で線をひいている。

 まあ、庶民は只だとどんどん来るからね。


 しかし、このベルモント司祭、くっそ怪しい。

 聖職者にしてはやばげな匂いがぷんぷんする。

 しかも、悪だとすると、かなり格上の悪だ。

 簡単には尻尾を掴ませるタイプではないな。


 私は冒険者兄弟を立たせた。


「あんたたち名前は?」

「ミルガンに、タイタンです」

「そか、まあ、治療費はヒール代を教会に納めといてね」

「は、はいっ、聖女さまっ」

「かならず、明日にはっ」


 あら、こっちも土下座した。

 まあいいや、行こう。


「じゃあ、ベルモント司祭、あんまりアコギに稼ぐのはやめるのよ」

「ははっ、聖女さまのお言葉、胸にしみましてございます」


 嘘吐け、目が笑ってねえぞ。

 こいつやべえな。


 私はヒルダさんに手を引いて貰ってヒューイに跨がった。


「ミルガン、冒険者ギルドってどこ?」

「ご案内しますっ!」

「私もっ!」


 ミルガンとタイタンが先導してくれる事になった。

 私はヒューイをとっとこ走らせる。

 後ろを振り返るとベルモント司祭は依然地面に膝を付いて頭を下げていた。

 ただ、こちらを見る視線が冷たい。


「すこし荒事の匂いのする司祭ですね」

「どこの派閥なんだろう、あとでリンダさんに聞かないと」

「リンダ師に言うとベルモント司祭を斬りに来かねませんよ」


 まあ、そうだが、教皇様に聞くのも違う感じがするしなあ。

 なんか怪しいからずっぱり斬っても良い感じもするが。

 まあ、様子を見ましょう、助さん角さん。


 しばらくヒューイを走らせると冒険者ギルドの看板がついた建物が見えて来た。

 さすがに迷宮都市だけあって大きいね。

 でも煤けている感じ。


「ありがとう、たすかったよ」

「いえ、とんでもないっ」

「しばらくガドラガにいらっしゃるのですか、聖女さまっ」

「いないよ、すぐ行っちゃう、来来週ぐらいにまた実習でくるけどね」

「お待ちしていますっ!」

「なにか用があったら、なんでもお申しつけくださいっ」


 うひひ、さっそくガドラガにファンが出来たな。

 情報収集が楽になりそうだ。


 私はヒューイを馬繋ぎ柵に繋いでヒルダさんと一緒に冒険者ギルドの中に入った。

 さて、ギルマスはどんなハゲだ?


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― 新着の感想 ―
[良い点] 清々しいアコギさ。 リンダさんだとバッサリならちょっと肥えたローランさんに運動してもらう? [一言] ハゲはヅラかも|ω・`) ギルドがあるなら医療保健的な積み立てとかあると良いのだけど…
[一言] 早速嗅ぎ付けましたよ悪の匂いを。聖女様からは悪人を引き寄せる磁力でも出てるんです? ガドラガ教会は案の定真っ黒くろすけの模様。ベルモントの言うこともまあ正論ではあるんだけどね。だからってやり…
[一言] 技術料を取るのは何もおかしな事ではないし、マコトはマコトで個人で完結している信念だから何もおかしな事でもないんですよね。それを押し付ける訳ではないし……ただアコギなことはするなってだけで。 …
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