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第103話 新入生歓迎ダンスパーティの準備に着手する

 クレイトン親子の実験を沢山こなしたのである。

 最近は、一つ一つの魔法の特性を確認するような実験が多くなってきたな。

 どうか、ヒールの魔法が時空間魔法だと気がつかれませんように。


 というか、光魔法は基本的に全部、時空間魔法のようだね。

 結界障壁もどうやら空間の時間を止めてるっぽい。

 ファンタジーというよりもSFっぽいな。

 障壁バリアが衝撃を受けるとバリンと割れるのはなぜかは解らないけどさ。


 六時間目の終業の鐘がなった。

 このキーンコーンカーンコーンという親の小言よりも聞いたメロディは、別に魔導スピーカーから流れているわけじゃなくて、学園の東端にある鐘撞き堂から鳴る生音であるよ。

 自動で鳴らしているわけじゃなくて、鐘つきの人が居て紐を引っ張って鳴らしているらしい。


「今日はこの辺にしておくか、マコトくんお疲れ様」

「お疲れ……」

「エルマーも、ジョンおじさんもお疲れ様」

「今日も光魔法の事が色々と解ったな」

「貴重……、な、データ……」


 この二人は、魔法好きだなあ。


 ジョンおじさんと別れて、A組に戻る。

 ドアを開けたら、カロルが小走りで寄ってきた。


「どうだったのマコト?」

「ん? 神学校へ転校しろって言われたよ」


 席に戻りながら、カロルへ答えると、彼女は怒りの表情を浮かべた。

 何時もほがらかなカロルにしては珍しい、レア表情だな。

 きりっとしてて可愛い。


「ゆるせない、学校内へのポーションの供給を止めてやるわ」

「必要ないよ、転校は撤回させたから」

「本当? よかったー、どうやったの?」

聖戦ジハード掛けて、ポッティンジャー公爵家第二公邸を更地にして、ビビアン様の首級しるしをあげる、と言ったら撤回した」

「……」


 カロルが黙った。


「だ、大丈夫そうね、よかった……」

「学園長を脅しつけたら、学園側はどちらの派閥にも肩入れしない、中立を貫く、だそうよ」

「マコトが凄い武力を背景に出来るって忘れていたわ」

「実は私も」


 二人で顔を見あわせて笑った。

 会話内容はぶっそうだが、見た目はほがらかだな。


聖戦ジハードやるやる詐欺……、だが……、マコトは優しいから……、実際に宣言できない……、だろう」

「それはそうだけど、やれるって解っただけで二の足を踏むものだわよ」

「これで、公爵家がおとなしくなれば、学園生活も静かになるかしら?」

「そうなるといいねえ」


 でも、そうはならないだろうなあ。

 グレイブを何とかしないとなあ。


 アンソニー先生がやってきた。

 私の顔を見て、ほっとしたような表情を浮かべた。

 心配させてごめんね、先生。


 帰りのホームルームを経て、放課後である。

 アンソニー先生が寄って来たので、先ほどと同じ説明をして、ほっとしたあとしかめっ面にさせてみた。


「武力を背景に恫喝はいただけませんね」

「他に思いつくトンチが無かったので」

「ですが、まあ、仕方がありませんか、キンボールさんが学園に残る事になって嬉しいですよ」

「至らない生徒ですが、今後ともおねがいします」

「もうすこし穏便な解決法を思いつくようにがんばりましょうね」

「はい」


 まあ、ポッティンジャー公爵家派閥は止まらんだろうけどなあ。


「マコトは集会室?」

「そうするかなあ、新入生歓迎ダンスパーティの事もあるし」

「マコトは出るの?」

「一応出ないと、派閥の子が虐められてもかなわないし」

「あ、そうね、メリッサさんとか、マリリンさんとかダンスパーティが好きそうな子もいるしね」

「カロルも一緒に出ようよ」

「私は……」

「あ、そうだ、私が男装してエスコートするよっ」

「あはは、それは良いけど、また変な噂を立てられちゃうわ」

「ちえ、良い考えだと思ったのになあ」


 お、カーチス兄ちゃんと、メリッサさんと、マリリンさんと、エルザさんが来たぞ。


「マコト、集会室いこうぜ」

「部活に行かないの?」

「メリメリが歓迎ダンパに行きたいって言うから、その打ち合わせだ」

「カーチスさま、私はメリメリじゃありませんわっ」

「なるほど、じゃ、行こうか」


 みんなで一緒に集会室へ向かう。

 エルマーも付いて来てるのはなぜだ?


「マコトも出るのか?」

「一応ね、領袖が居ないとメリッサさんも困るでしょ」

「助かりますーっ、マコトさま、大好きっ」

「社交好きな人にとっては大事な行事だしね」

「マコトは、エスコートする奴いねえだろ、俺がなってやろうか」

「カーチスはエルザさんと行かねばならないじゃんよ」

「そうですわ、カーチスさま」

「うぐぐ」


 エルマーが前に出てきた。


「僕が……、マコトをエスコート……しよう。……したい」

「あ、エルマーずるいぞ、お前だって婚約者がいるだろうよ」

「ふふ……、プリシラは……、来年入学……、その間は、僕は……フリー」


 珍しくエルマーがカーチスに向けてどや顔をした。

 カーチスは悔しそうだ。


 エルマーと一緒にダンパかあ。

 まあ別に良いんだけどね。


「ちなみにメリッサさんとマリリンさんはエスコート役の男の子は?」

「いないです」

「いませんわー、困ってますの」

「エスコートの男の子の調達もしないとだめかあ」


 隣の『ペンティア同好会』の奴らでも誘うかな。

 オタクなら無害そうだし。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  お隣の同好会でぶるるるるっと震えが走ってる頃ですね(笑)
[良い点] 光魔法が想像と全然違う!?まさか正体は伝説のチート·ロマン·的な時空魔法とはすげえです! 公爵家からの仕掛けが頻繁過ぎるの所為で、先頃はマコトさんが凄い武力を背景に出来るって忘れていたです…
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