第1039話 晩餐を取って一日が終わる
お風呂から上がり、205号室でしばらくのたのたした後、エレベーターホールに行って派閥員と合流した。
「カロルは今日何してたの」
「地道に錬金よ。大分備蓄が増えたわ」
そうか、ガドラガ行きの為に頑張ってくれい。
「というか、ガドラガ行ってる間、だれが販売するの?」
「護衛女騎士さんに話を通してあるわ。受付で売ってくれるそうよ。男子寮は別に販売してくれる人が居るしね」
「そうかそうか、アンヌさんも居ないと困るしね」
「そうそう」
というか、カロルと二人きりでガドラガ行きだーと、燃え上がっていたのだが、別にダルシーも居るしアンヌさんも居るんだよな。
見えないだけで。
あと、ヒューイもいるな。
まあ、ちっとぐらい仲が進んだらなあ、とは思うけど、一気に詰める気はないな。
なんか照れくさいしね。
焦らなくても卒業までに堅い絆を結べば良いのだ。
うんうん。
ヘタレとか言うなよ。
みんなで食堂に入る。
「今日のお献立は、クララ?」
「今日は、チキンソテー、オニオングラタンスープ、豆サラダ、黒パンだよ」
「鶏か」
私はトレイに料理を乗せて、ケトルからカップにお茶を注いだ。
チキンは胸肉では無くてレッグだな、美味しそう。
カリカリに焼けている感じで良い匂い。
テーブルに持っていく。
ああ、お腹が空いたな。
婆っちゃのジャーキーは囓ったのだがね。
みなが席に付いたのでお食事のご挨拶。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
ナイフでキュッキュと切ってパクリと一口いただく。
ん~~、外はカリカリ中はジューシーで美味しいねえ。
ぱくぱく。
「そういえばガドラガへの編成とか決まったのヒルダさん」
「聖女派閥は固まって一パーティで動く予定ですわ。私、オスカー、ライアン、という感じですわね」
「戦闘職多いね」
「あと、マーラー家子飼いの騎士たちが若干おりますので六人パーティですわ」
聖女派閥は一年が中心で、二年生はあまり居ないからね。
「ポッティンジャー派閥はデボラがおりませんので、あまり活動はしないでしょう。ケリー・ホルストは黒豹と共にストライダー隊と一緒に動くようです」
あー、あいつらもいるのか。
面倒くさいなあ。
「とはいえ、ガドラガ実習は二回目ですから、まだまだ、迷宮の浅い階での実習ですわね」
「私らはベロナ隊と一緒にレアキメラを追うと」
「そうね、マコトが居るなら回復は問題無いでしょう」
「回復どころか、障壁もありますので、過剰防衛力ではありますが、上手に追い込んでくださいませ」
「がんばるぜ」
そういや、カーチス兄ちゃんも私費で参加するとか言ってたなあ。
面倒臭い奴じゃ。
「明日のお昼に、ベロナさんと上級貴族レストランで顔見せしようか」
「そうね、そろそろ顔を合わせた方が良いかも」
まあ、ガドラガには五本指の連中もいるし、戦力に不足は無さそうだね。
「良いですわね、一足先にガドラガ行き」
「私は二年の事を考えると怖くて気が遠くなりそうですわあ」
マリリンは平気だと思うんだが。
メリッサさんは心配だな。
あと、コリンナちゃんは戦力じゃなくて体力が心配だ。
「ガドラガで何かありましたら、お気軽にお呼び下さい、派閥の敵は血の海に沈めますわ」
ヒルダさんが言うと冗談にならないから怖いなあ。
「とりあえず、一回先に行って、ガドラガを見てくるよ」
「そうね、予習に良いかもしれないわ」
カロルと二人きりで蒼穹の覇者号泊まりだしなあ。
うっしっし。
「マコトがまた変な事考えてる」
「ええっ、考えてないよう~」
「表情でばればれですわ」
「淑女のする表情ではありませんわね」
「メスの顔だ」
うるせいやい。
そんなこんなで完食した。
あー、美味しかったなあ。
食器を返却口に持って行く。
テーブルに戻るとダルシーがお茶を入れてくれていた。
ありがとうありがとう。
「知ってる? ガドラガの教会、酷いって」
「すごい大金をせびられるって噂よね」
「教会本部は何をしてるのかしら」
ややや、なんか興味深い話が聞こえたぞ。
ガドラガの教会は評判が悪いのか?
ふーむ。
週末にクヌートを拾って影洞窟に行くから、その時聞いてみようか。
ガドラガの教会はどこの派閥の司祭さんなんだろうか。
教会も派閥多いからなあ。
「ヒルダさん、何かガドラガ教会について噂とか知ってる?」
「さあ、前回は教会のお世話にはなりませんでしたからね」
ガドラガの教会は、どっちかというと病院施設な性格が強い。
治癒魔法で怪我を治す系の教会だね。
あと、まあ、ミサとかもするけどね。
前回のガドラガ実習はベロナパーティ以外は迷宮の概略の講義だったから、教会とは関わらなかったのか。
教会の事情通はやっぱリンダさんかなあ。
うーん、正直めんどうくさいな。
週末、クヌートに話を聞いてから裏取りするかなあ。
あまり最初からリンダさんに頼ると流血沙汰になったりして面倒だしな。
そうしよう。
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