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第1031話 聖女の湯でまったりする

「まあ、人の恋路を笑ってはいかん、ぷぷぷ」

「そうだな、マコト、ぷぷぷ」


 ヒルダさんがコリンナちゃんの胸元をちらりと見た。


「やっぱりあれは願い事のホーリーシンボルだったのですか」

「ヒルダさんは知っていたの?」

「え、願い事のホーリーシンボルが出てたんですかっ」


 メリッサさんも食い付いた。

 マリリンも前のめりだ。


「あら、あなたたちも知ってたんだ」

「有名な噂ですからね、お願いをなんでも一つ叶えて消えるホーリーシンボル」


 最初にメリッサさんとかに聞いておけば良かったな。


「何をお願いしたんですか? やっぱり恋愛関係ですかっ」

「いやあ、恋愛関係つうか……」

「まあ、なんだな……」


 うっかり馬鹿馬鹿しいお願いをしてしまったとは言いにくい。


「一回消えるとどれくらいで出てくるんですっけ?」

「半年から一年って言われているわね」


 うはあ、さすがにそれくらいの間隔なのか。

 もったい無かったなあ。

 次に手に入ったら有効活用しようっと。


 さてと、お風呂に入りに行こうかな。

 最近は夜に入ったりでゆっくり入れなかったからね。

 というか、水曜日だから聖女の湯の日じゃん。


「お風呂に行きますか、マコトさま」

「うん」

「それでは」


 そう言ってメリッサさんは金庫から聖女の湯の素を出して来た。

 ああ、助かるねえ。


「一緒に行こうか」

「はい」

「私もいきますわあ」


 ヒルダさんも立ち上がった。


「私も入るかなあ」


 コリンナちゃんも立ち上がる。


 集会室に誰も居なくなるのでドアを施錠して女子寮に向かった。


 む。


 ケルピーに乗ったパスカル部長と、黒馬に乗ったナージャがきおった。

 なにげにナージャの頬が赤い、ような気がした。


「ごきげんよう、パスカル部長、ナージャ」

「ああ、今日は良い日だな」

「……ごきげんよう」


 うはは、距離は詰まったがなんかぎこちないという感じだな。

 初々しい事だ。

 コリンナちゃんが笑いをこらえていた。


 私たちは二人とすれ違い、女子寮に入った。


「パスカル・ガトリングとナージャ・キルヒナーが遠乗りですか、意外な組み合わせですわね」

「どっちも専門馬鹿だから気が合うんでしょう」

「なるほど」


 ヒルダさんは納得した。


 地下大浴場に行き、服を脱いで籠に入れた。

 ワンコとかフクロウを影から出せなくて寂しいなあ。


 水曜日の午後だから、浴場には私たちだけだった。

 聖女の湯の日ルールはちゃんと守られているようだね。


 私は聖女の湯の元を湯船に投下してかき回す。

 さっぱりとした良い匂いがする。


 かけ湯をして湯船に浸かる。

 ああ、良い湯だなあ。

 疲れが抜けて行くようだ。

 あんまり疲れてはいないけど。


「皇弟がらみのトラブルはこれにて終了ですわね。あとは秋のギュンター皇子の編入までジーン皇国の動きは無かろうかと思われます」

「何よりだね」

「ディラハン騒ぎも決着し、ヒューイ号を手に入れて、マコトさま大勝利でした」


 毒飼い令嬢事件も収束したし、あとはガドラガ実習に向けて準備をするだけだな。


「週末は影魔物をテイムしに参りましょう」

「そ、そうね」

「影魔物ですかあ、良いですわね、ポーポーちゃんとかペスくんとか」

「影に潜んでいつも近くに置いておけるのが良いですわね」

「ボディガードにもなるからね、便利よ」

「古式テイムすれば諜報戦に使えるのが良いですわ。ああ、私のフクロウさん、まっていてね」


 またレア魔物の影フクロウを渇望しているなヒルダさんは。


「コリンナちゃんも行かない?」

「え、ペットに興味とかないから」


 んもうつれないなあ。


「コリンナさまは、マクナイトさまとどうなんですの?」

「え、どうって、ええ、その、まあまあかな」

「まあ、素敵ですわねっ」

「コリンナさまは優秀なお方だから、派閥の屋台骨ですわ」

「あはは、やめてよ、メリッサさま」


 コリンナちゃんは照れて顔にぱちゃぱちゃとお湯を掛けた。

 メガネをしてないコリンナちゃんはびっくりするほどのかわいさなんだけどなあ。

 普段はぐるぐるメガネだからなあ。


「ポッティンジャー派閥はどうよ?」

「動きを止めていますね。ビビアンさまは相変わらず練り歩いておりますけど、取り巻きの数も減っているようです」


 まあ、麻薬禍でケチが付いたしなあ。

 二年になったら盛り返せるのかな。


「まあ、ちょっとした凪の時期ですから、力を蓄える事が肝要かと思われます」

「私たちも、壁新聞の記事を頼まれましたわ」

「次は私が書きますわ、北海のウールの織物が次の流行ですわ」

「そっかー、今年の冬はウールか」


 ウールのショールとかの織物は定期的に流行るね。

 北海産の奴は目が詰まっていて温かいのだ。


「冬は派閥の皆で揃いのマーラー外套で決めますわ。現在鋭意制作中ですわよ」


 おお、マーラーの外套、出来つつあるのか。

 中世の着る物って、出来るのに時間が掛かるから、出来てくると嬉しいんだよねえ。


 まあ、冬の前に秋、秋の前に夏、夏と言えば夏休みだね。

 なんとかしてカロルをごまかして、ファルンガルドに行きたいのだが、何か手はないだろうか。

 どうしてそんなに私が行くのを嫌がるのだろうか。

 故郷に恋人とかいるとか?

 いやいや、カロルに限ってなあ。


 最悪の場合、教会の巡礼に混じってファルンガルドの大聖堂への旅に出て、こっそり入るとかもできないかな。

 今度リンダさんにでも相談してみようか。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 カロルが嫌がる理由かぁ···やっぱり彼女がマコトと親友になる以前の境遇を形作った、例の事件の原因が其処に在るからとか? もしそうなら別の意味でマコトは行きたがりそうで…
[一言] お願いをなんでも一つ叶えて消えるホーリーシンボル・・・さすがに過去は無理かな?
[一言] ファルンガルド絡みの話はどうも厄ネタなんじゃないかって気がするからやめといたほうがいい気がする。 カロルと添い遂げるつもりならいつかはけりをつけないといけないんだろうけどね。難しいね。
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