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第1026話 ジェラルドはコリンナの願いが気になっている

 階段を上がり、A組の教室にカロルと共に入る。

 クラスのみんなはテスト順位の話題であちこちで盛りあがっていた。


 そんな中、ジェラルドめが妙にそわそわしている。

 なんぞ?

 クールでないイヤミメガネなんぞ一ドランクの価値も無いぞ。


 やがて、意を決したように私に話しかけて来た。


「コ、コリンナくんは何を願うのだろうか、真面目な彼女の事だ、やはり学業成就であろうかね?」

「……」


 願いは昨日無駄うちをしてしまったのだが、なんだか面白いので黙っていようか。


「コリンナちゃんがなんか恋愛の事を願ったら、あんたどうするの?」

「そ、それは僕に対してかねっ、そ、それは困る、困るなあ」


 さも困惑したようにジェラルドはつぶやいた。


「あんたじゃないかもよ、財務局局長をたらしこんでさ、卒業後に有利になるようにするとか」


 するとジェラルドは真顔になった。


「彼女はそんな不正な事はしないよ。僕は知っている」

「いや、私も知ってるけどさ」

「気になっているなら行動すれば良いと何時もジェラルドには言っているんだけどね」


 ケビン王子が席から振り返ってそう言った。


「そ、そんな、私は別にっ」

「まあ、コリンナちゃんだから変な願いはしないよ、信頼しとけ」

「そ、そうだな、失礼したキンボール」


 というか、変な願いをもうしてしまった後だが。

 馬鹿な願いじゃなくて、コリンナちゃんの好きなお願いを叶えさせてやりたかったなあ。


 ……。


 ぜったい学業成就を願ってたな、あいつ。

 あいつはそういう女だ。


 今日の授業は、地理、音楽、社会だ。

 まあ、そつなくこなす。


 そして体操着に着替えて武術場へ行き武術の授業を受ける。


 バッテン先生に盾剣を捨てて、小太刀一本にしたいと相談すると賛成された。


「キンボールは器用だから双剣でも行けると思うが、たぶん小太刀一本の方が戦闘力は伸びそうだな」

「お兄ちゃんから贈られた盾剣がもったい無いですが」

「なに、サブ武器として収納袋につっこんどけ、何かの機会に使う事もあるだろうよ」


 私もそう思う。


 小太刀一本でコイシちゃんと対面してカンカンやる。

 ああ、やっぱり一本で取れる手の方が多いな。

 コイシちゃんに体の切り返しで切る技とかを教えてもらう。

 武術ってのは奧が深いな。


 熱中して乱取りしていたら、武術の時間は終わった。


 制服に着替え直してA組に戻るとちょうど終業の鐘が鳴った。


「さて、今日はどうする」

「どうしようかな」


 外食をする曜日だが。


「そういやあんたら、昨日、ビビアンさまとの会食さぼったでしょ」

「「うっ」」


 王家主従がすくんだ。

 隙あらばさぼるのだからなあ。


「とりあえず、ひさしぶりにツバメ食堂に行こうか、混んでたら他の店で」

「そうか、そうだな、俺は今度はウナーギを食べよう」


 あそこのウナギは美味いからな。


 派閥員を加えながら玄関まで移動する。

 王家主従もちゃっかり付いてきおった。


「コリンナくん、まだホーリーシンボルは存在するのだな、まだ願っていないのか」

「いえ、その、成立していませんので、これからだと思いますよ」

「そうか、願ったのか、そうか」


 まあ、午後の遠乗りでチューとか交わして成立、消滅だろうなあ。


 で、校門まで出ていくと、ニコニコ笑ったジーン皇国の皇帝陛下が待ち構えておった。


「やあ、聖女殿、ランチはいかがかな」

「国賓が良いんですか、そんな勝手な事をして」

「なあに、ローマンやギュンターのしかめっ面を見ながら食事もつまらんでな。お友達もどうだ、ジーン皇国と外交しようぞ」


 私も皇弟とか、ギュンターとかと飯は食いたく無いのだが。


「どうする、ケビン王子」

「断るのは失礼だね、だけど、二十人の学生を交えたランチとは、前代未聞だね」「まあ、皇帝陛下がお誘いに来る時点で異例中の異例ですな」


 しょうがねえなあ。


「まあ、ご馳走になろうかな」

「おお、そうでなくては」


 馬車で王城に乗り込もうという皇帝陛下を制して学園の中から行く事にした。

 こっちなら歩いて王城に入れるしね。


「ほっほっほ、学園から王城に歩いて行けるのか、アップルトンの教育熱心な事じゃな」


 元は悪聖女の邸宅があったから王城に隣接してるんだけどね。

 ビアンカさま時代の学園は時計塔の近くにあったらしい。

 水晶宮ってダンスホールがあったそうだよ。


 学園門の門番さんにケビン王子が挨拶をして、みんなでぞろぞろと入って行く。

 皇帝陛下は一人ではなくて、ハゲの宰相とか、ナージャとかもいるな。

 ナージャは事あるごとにコリンナちゃんを睨んでビビらせていた。

 はやくパスカル部長とチューしてジーン皇国に帰りやがれ。


 王城に入ると、侍従長さんがやってきて私たちを三階ホールへまで案内してくれた。


「おお、聖女マコト、どうしたのだね?」

「ありがたくも皇帝陛下に昼食のおさそいを頂きましたので厚かましくもお伺いいたしましたの」

「そうか、賑やかで良い、さあ席につきなさい」

「はい、王様」


 王様も王妃さまもにこやかに迎え入れてくれた。

 酢を飲んだような顔をしているのは、皇弟とギュンターだけだな。

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― 新着の感想 ―
[一言] こりゃ大人になってもちょくちょくマコトに相談しに来るのが見える見える…
[一言] 早く告白しろーッジェラルドーッッ! 間に合わなくなっても知らんぞーッ!! んー、このままもやもやのアオハルを続けられればいいんだけどさ、万に一つナージャに討ち取られる可能性だってあるんだし。…
[一言] うな丼は中止かー まさかナージャもチューしたらバレるとは思ってもいるまい。しかしチューは秋の再訪の時の可能性のほうが高いのではないかな?昨日の今日で一応は敵対する事も多い国の人間とチューは早…
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