第1006話 マヌエルに現在のヒューイを見せる
「なでるなと言うんだ」
「あ、ごめん、ついつい」
なんだか見た目は可愛いショタなのでついつい頭を撫でてしまうな。
気を付けろ、中身は三十五のオヤジだぞ。
「それで、何の用だ」
「人物を見極めに面接だな」
「面接? なぜだ?」
「ウエストン家もアライド王国も、あんたは要らないらしい、おもしろい奴なら教会が拾うし、そうでなければどっかに捨ててくる、その為の面接だよ」
「侯爵家が……、何か言っていたか」
「あいつはもう廃嫡したから竜馬を返せって言って来た」
「……ちっ。チェスターめ」
マヌエルは舌打ちをした。
険しい表情でも美少年なので絵になるなあ。
うひょひょ、腐れ妄想が走りそうだ、だめだ、カーチス兄ちゃんと組ませては。
うぇひひ。
どうもウエストン家が公認で今回の作戦を実行したっぽいな。
アダベルを隷属の首輪でテイムできる可能性が高かったのだろう。
属性を変えてくれた女神様に感謝だなあ。
「一世一代の賭けに負けたのだ、殺せ」
「もったいねえから」
うん、でくの坊の弟と比べるとマヌエルは中身が尖っていてなかなか良いな。
まあ、一番は外見が可愛らしいだが。
ミーシャさんもそうだがハーフリングの人の可愛い人は殺人的なのよね。
「ヒューイは元気にしているか? 白くなったが体に異常は」
「……ヒューイってあんたが付けた名前なの?」
「あ、ああ、あいつは亡きオヤジが小さな俺に買ってくれた相棒だったからな」
「そうかー、ヒューイはテイムされるとき、真の名前にそれを選んだよ」
「……」
マヌエルはぎりっと歯ぎしりをした。
「侯爵家もアライドもあんたを捨てたんだから、自由に生きていいんだぜ」
「自由なぞ、ウエストン家の当主になって成り上がる事に比べたら根無し草の喜びだ」
なかなか芯のある貴族根性だなあ。
何事にも自由なハーフリング気質は彼には無いようだ。
結構面白い奴だなあ。
「よし、馬丁をやれ」
「なんだと、俺に卑しい馬丁になれと言うのか」
「そうだ、ヒューイの馬丁になってくれ、気心がしれてるからあいつも喜ぶし」
「……俺は」
「古式テイムを覚えてヒューイを従えられたら彼を返してやる」
「そんな古くさい技術なんか……」
「古式なら念話ができるし、視界の共用もできるよ」
マヌエルは驚愕の表情を浮かべた。
「文献上の伝説じゃないのか?」
「ああ、今、私はヒューイと念話することができるよ」
「真の人馬一体が……、まさか、そんな」
「隷属の首輪でのテイムとは比べものにならない境地があるんだよ」
「……」
マヌエルは考え込んだ。
こいつがいると色々と騎乗を教えて貰えるかもだしな。
このマニア気性だとパスカル部長とも仲良くやれそうだ。
騎乗部の騎獣も隷属の首輪で従わせているからね。
こいつは専門家なので一石三鳥ぐらいだな。
「今のヒューイを見られるか?」
「ああ良いよ、ここへは乗ってきたし。ギヨーム団長、かまいませんよね」
「ええ、かまいませんよ」
三人で馬屋に行くことになった。
トコトコ歩く姿も可愛いな、おい。
馬屋でくつろいでいたヒューイは私たちを見て立ち上がった。
「ヒューイ、マヌエルを連れて来たよ」
《前の主だ、げんきか?》
「元気かって言ってるよ」
「あ、ああ、元気だ、お前はどうだ、聖女に虐められたりしてないか」
《だいじょうぶだ、しんぱいするな》
「心配するなってさ」
「そうか……」
ヒューイは馬房から顔を出してマヌエルに頬ずりをした。
仲良しだったのは本当みたいだね。
「ヒューイは俺がまだ子供だったころ、オヤジが大きくなれって、竜馬にふさわしい立派な当主になれって、そう言って買ってくれた」
《我もちいさかった》
「ヒューイで色んな騎乗を覚えた、敵の殺気を感じて避けることも、壁面を登って後ろを取る事も、ヒューイと一緒に編み出したんだ」
《楽しかった》
そうかそうか。
マヌエルの超絶騎乗はヒューイと一緒に編み出したのか。
マヌエルは馬房に入り、ヒューイの体をチェックした。
「筋肉が二割ほど膨張しているな。特に羽周りの筋肉が凄い、色も真っ白でむらも無い、生まれてから純白だったみたいだ」
《体の調子はいい》
「本当に、古式テイムでヒューイをテイムできれば返してくれるのか?」
「ああ、いいよ」
《え、やだ、主がいい》
ああ、こら、身も蓋もない結論を言うんじゃないですよ。
まあ、マヌエルには聞こえてないけどね。
「古式テイムの先生も紹介してあげるよ」
「本当か」
というか、クヌートの奴、まだ大神殿に居るよな。
もうガドラガに出発して無いだろうな。
「というわけで、マヌエルを貰っていって良いですか、ギヨーム団長」
「それはかまいませんが、二三書類にサインをお願いします」
「わかりました」
私たちは事務所に行って書類を作った。
よしっ! ヒューイの馬丁ゲットだぜっ。
「さあ、ヒューイに乗って大神殿へ行くよ」
「わ、判った、あんたはいきなりだな」
「時間は有限なんだ」
ヒューイにマヌエルと二人乗りして、私たちは空に飛び上がった。
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