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第1003話 月曜の午後は錬金授業

 ランチが終わったので、学園に戻った。


「午後は錬金授業ね、サーヴィス先生はちゃんと学校に来ているかしら」

「ホルボス山基地には居なかったけどね」


 あの先生は生活が乱れておるからなあ。


 皆で無事に学園へと着いた。

 A組から個々の属性クラスへと生徒が移動していく。

 私もカロルと一緒に土属性の教室に向かった。


 土属性実習室にはコリンナちゃんがいた。


「お、早いね」

「まーねー」


 みんなで待っていたのだがサーヴィス先生がなかなか来ない。


「今日は中止かな」

「サーヴィス先生はだらしないからねえ」


 実習室のドアが開いてよれよれのサーヴィス先生が入って来た。


「しょ、諸君、ごきげんよう。遅れてすまない」


 また何か研究で徹夜をしてたな。

 目が真っ赤だ。

 私は黙って教壇に近づき、サーヴィス先生に『ヒール』を掛けた。


「あっ、ありがとうマコトくん、元気になった」

「もう、ちゃんとして下さいよ」

「いやあ、溶解液がいっぱい手に入ったのでこれまで出来なかった実験をね」


 ああ、ミリヤムさんのせいか。

 というかずっと実験してたのかこの人は。


「ちゃんと寝ないと死んじゃいますよ」

「わかったわかった」


 解って無いなこれは。


 ともあれ錬金の授業が始まった。

 前回摘んできた毒消し草を錬金薬にする実習だ。


 大体の手順はポーション作りと一緒だね。

 薬草と違って、毒消し草は細かいみじん切りにするらしい。


 グループに分かれて毒消し草をみじん切りにする。

 なんだか、実習室の包丁は良く切れないね。

 調理実習あるあるが異世界でも効くとは。


 カロルは綺麗に切るねえ。

 コリンナちゃんはバラバラだな。


「先生、砥石はないですか?」

「んー、切れないのか」

「切れるけど切れ味悪いですよ」

「ちょっとまってなさい」


 サーヴィス先生が準備室から砥石とオイルを出して来た。

 うわ、油性の砥石か。

 どうやって研ぐのかな。


 と思っていたらカロルが包丁を受け取って、砥石に油を振りかけてシャッシャと研いだ。


「はい、コリンナ」

「あ、ありがとう」


 お、良く切れるようになったっぽいな。


 その後、カロルは実習室中の包丁を研いだ。


「おお、カロルすごいなあ」

「錬金術師の基本よ」


 そう言ってカロルはふふんと笑った。


「ありがとう、オルブライトくん」

「粗悪な包丁が混じっているので、一度鍛冶部に見せて整備してもらった方が良いですね」

「わかった、頼んでおくよ」


 カロルは錬金作業に気合いが入ってるなあ。

 さすがはプロである。


 刻んだ毒消し草を釜に入れ、エルマーに純水を注いでもらって、火をつけてかき回す。

 コリンナちゃんにかき混ぜは任せた。

 光属性魔力を入れると、なんか高性能な毒消しができそうだし。

 コリンナちゃんは基本の土属性だからいいでしょ。


 ぼわんと煙を上げて薬液が真っ青に変わった。

 きれいな青だなあ。


「できあがったら薬瓶に詰めてくれたまえ」

「先生、毒消しはどれくらい持ちますか」

「まあ、二週間という所かな」


 みじかーい、とかの失望の声が漏れた。


「希望者は瓶の中の時間を止めて永続化しますよ」

「「「「「!!」」」」」

「ほほほ、本当かね、私の研究室に永続瓶にして欲しい物が沢山あるのだがっ」

「先生の研究は知りません」

「ぐぬぬっ」


 毒消しが永続瓶だと、いろいろと便利だしね。

 あと、毒飼い令嬢も居ることだし。


 全員の毒消しの瓶を永続化するように頼まれた。

 テーブルに並べて貰ってと。


「一本一本時間を止めるの?」

「いや、いっぺんにやる」


 全ての瓶に被さるように厚みのある障壁を出してと。

 んで、瓶の外の障壁を消す。

 これでどうかな。


「お、凄い、簡単に時間が止まるのだね」


 サーヴィス先生が毒消しの瓶を逆さにして調べた。

 中の空気は無事に動かない、成功だね。


「これは素晴らしい、今度魔法塔に時間を止めに来てくれたまえ」

「普通にお断りです」

「もー、頼むよう」


 サーヴィス先生はなんだかなあ。


「とりあえずペットの毒殺事件も増えているそうだ。動物にも毒消しは作用するから何かあったらためらわずに使いたまえ、開封すれば時間停止は解消されるからね」

「「「「はーい」」」」


 うんうん。

 結構、寮にも従魔を飼ってる人が結構いるしね。


 そうこうしているうちに午後の錬金授業は終わった。

 やれやれだよ。


「なあ、たのむよたのむよ、マコトくーん」

「ああ、また今度に呼んでください、時を止めたい瓶を揃えて」

「本当かい、希望者をつのっておくよ」

「有料」


 コリンナちゃんが鋼のような厳しい声を出した。


「ぐぬぬ」

「カロル、時間停止瓶っていま、相場幾ら?」

「一瓶三金貨かしら」


 結構するんだなあ。


「学術だから割り引くけど、一瓶金貨一枚で」

「コ、コリンナくん~~」

「マコトは気が良いからほいほい無料でやるから困るんですよ、有料ですっ」

「わ、解った、時間停止瓶が金貨一枚で出来るなら確かにお得だ」

「魔法塔の予算から出してくださいよ」

「解った、長官に相談してみる」

「大人なんだからちゃんとして下さいよ」

「わ、わかった」


 うむ、コリンナちゃんは有能で助かるね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 毒飼い令嬢って優先順位低いようですが、聖女号の本気出したら半日で解決するのでわ?
[一言] これはコリンナちゃんが正しいな。 マコっちゃんは超絶的な魔法をバンバン人のために使いまくるからね。誰も彼もが求めるようになったら市場がおかしくなっちゃう。
[一言] 魔法塔の人達は大人げないからな、瓶が山になってそう
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