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試験の対象である今回の新人であるヒフミと名乗った青年の前を歩きながら考える。


どうにもこの人物は殺人に対して特に何も思っていないらしい。そういった人物の大半は冒険者か裏の人間か、壊れた人間だ。チラリと後ろを見ると様子がわかるが、どうやら歩く音を消しているようで存在が希薄だ。見ただけでは裏の人間に近しいものを感じる。


この人物はどうもこういったことを過去にしたことがあるようだ。少し、この人物に興味が湧いてしまうの仕方がないのかもしれない。


「ねぇ、ヒフミってさ昔何してたの?」

「唐突だな……そうだな、色々やってきたな。人殺しから人助け、魔王になったり勇者になったり。ゾンビだらけの世界を一人旅したり、殺し合いを強制されたコロシアムで殴りあったり……場合によってはドラゴンを従えて神に喧嘩を売ったりもしたな」


夢人である彼らは様々な世界を渡り歩ける故の話だろう。神と喧嘩するなんてありえないし、そもそも不可能なのだ。他の言ってることもなかなか凄いが、それだけが特に異色を放っていた。

だがそんな事をやってのけた人物という事実に更なる興味が湧く。


「へぇ……どんな神様と喧嘩したんだい?」

「創造神が堕落した存在だったな。その力が反転して破壊神とかした神を、世界を守るために立ち上がった全種族でぶっ潰した」

「……どんな戦いだの?」

「その世界の生き物が5分の1にまで減るほどの激闘。天が文字通り裂け、海が常に蒸発していて大陸が宙を舞ったりした。全てをかけた最大の戦いだったよ」


懐かしむようなその視線を向けられると、とても胸を締め付けるような痛みを感じてしまった。何故だろう?なにか病気なのかな?そう思うも特に体に異常はない。

やはりこの男は……なにかが違う。私を惹き付ける何かを持っているのかもしれない、もっと……もっと彼を知りたい。


話は束の間、そろそろ最終試験たる暗殺対象が居る場所が遠目から見れる場所にたどり着く。


「話はこれでおしまい、ここから先は……一人で頑張ってね。はい、これが依頼書」

「説明は?」

「あると思う?」

「まぁないわな。そこまで甘えるつもりは無い」


その言葉を皮切りに彼は思考の海へと潜ってしまった。私はそれを眺めるしかない。


さて、どんな風に殺ってくれるのかな?















さて、とある邸を目の前に渡された依頼書を片手に俺は考え込む。この依頼書にかかれているのを要約すると


・男爵級貴族の男が対象

・バレないようにね、少し怪しまれてもこっちで処理するから

・条件は病死っぽく

・報酬は500万エテラ

・失敗したら……分かってるね?


とこんな風に書かれている。エテラって何と言われるとこの世界の通貨である。


この依頼の暗殺対象の人物はちょっとやばい仕事をやってるらしく、お国に殺害対象として認定された人物。勿論依頼主も国の上の人。

なぜ病死かと言うと実際病気にかかっており、それが悪化したことにすれば穏便に済むとの事。

500万エテラという価値を一言で言うと超高額である。この金額は暗殺依頼の中ではかなりの高額だが、誰もやりたがらなかったため試験として使おうとしたらしい。クリア出来れば才能あるやつが来るし、めんどくさい依頼が同時にクリアされるという旨みがあるらしい。


できるかと言われればできるが、道具が足りない、足りなさすぎる。手持ちにあるのは折れた剣に5000エテラ。それに適当に殺したスラムの住人のボロ布や錆びた探検に弱い痺れ毒。うーん……病死には見かけれるものは無い。それにこの人物の病気は単なる肥満によるものだ、心筋麻痺とかに見立てられるんじゃね?できそうだな……


「ちなみに道具の調達とかは?」

「ある程度こっちが用意してるよ」

「その中に超強力な麻痺毒は?」

「勿論あるよ、特別製のね!」

「注射器とかある?」

「あるよ」

「ならそれらと……鉤爪ロープに……黒いフードでいいか。それらをくれ」

「はーい、ポイッと」


雑だなぁ……渡された注射器とか諸々をストレージにぶっ込んでフードを被る。そして無音で走る。これは数日の間に取得したスキルだったりする、暗殺プレイとかするプレイヤーだったら必須レベルになりそうな物である。


こっからはお仕事のお時間だ!






「人殺しから人助け、魔王になったり勇者になったり」

ストーリー・ファンタジー

オフラインの一般向け初心者用アクションRPG、内容は至って単純で選択肢にそって物語を紡ぐだけ。主人公であるプレイヤーとその幼なじみと仲間が主なキャラクター、プレイヤーが選ぶ選択肢によって主人公が魔王か勇者になり、幼なじみがその反対の勇者か魔王になるという至って普通のファンタジー系のゲーム。



「ゾンビだらけの世界を一人旅」

トラベル・オブ・ザデッド

宇宙より飛来した未知のウイルスにより半分以上の人類がゾンビ化したという世界で生き残るサバイバルゲーム。日本だけ何故か世紀末となっているのは運営陣のせいであるが、むしろそこが1番安全という謎の国。クソゲーと普通のゲームの間をさまよっているゲーム。多分7d○ysに近い。



「殺し合いを強制されたコロシアムで殴りあったり」

コロシア厶・ローマ

ローマのコロシアムで戦う奴隷戦士という設定の格ゲー。多分このゲームで1番主人公は大暴れしていた、主に獣側で。このゲームで最大の特徴は獣側になり人側のプレイヤーと一騎打ちや、人側同士の一対一の勝負に割り込めるという割とクソゲーな雰囲気を漂わせるゲーム。だけどやはり人間は人間のため獣としての動きがぎこちないせいかほとんど人しかいないという至って普通の殺し合いのゲームになったが、よく介入する主人公のヒフミが獣側でやって見たらやばい事になった。



「ドラゴンを従えて神に喧嘩売ったり」

BAD・END・STORY

絶対にストーリーをBADENDにすると評判の会社が作ったMMORPG。そこに面白半分で主人公含めたプレイヤー達が抗ったら結果的にハッピーエンドでもなくバッドエンドでもないノーマルエンドを叩き出したという伝説ゲーム。ちなみに最終戦中に初ログインしてきた初心者はもれなく蒸発するという珍事が起きていた。後にネットで「初心者蒸発ゲー」「水の気分を味わえる」「0と1の空が見える世界」と言わしめたやべぇいやつ。サービスは終わっており、既に続編が出ているという……やっぱりBADEND直行らしいが近々プレイヤーが暴れるらしい。



設定考えんの楽しい。


AIに思考とかあんのかって疑問は無しでお願いします。そもそも世界観としてはAIに完全な自我が存在し、人権を与えられているというSF要素を持つ世界なんですよ。

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