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既にゲームを始めてから数時間、ゲーム内時間では既に2日ほど経っていた。
最初の町であるアルファ街で、このゲームの特徴でもあった裏ギルドを探している。一応住人に存在を聞いて、この街にあるって知ったのででスラム街を見つけて探索して、そこらのチンピラを蹴散らしながら勧誘が来るのを待つ。明らかに挑発してるからそろそろ来ると思うんだけど……
「ちょっとそこの兄さん……美味い話あるんだけど乗らない?」
お、きたきた。見るからに怪しいと言った風貌の……少女?かな、よく分からない狐耳を持つ人物が話しかけてきたので、話に乗ってみる。
「遅い、ずっと待っていたんだが?」
「いやぁ、幹部たちが勧誘するか論争しててね、さっき決まったばっかなのさ」
声が高いから結構聞き取りづらいが困っている様子。確かに裏ギルドとはいえ管理している者もいるはずだ、なら納得……かな?
「とりあえず裏ギルドに案内してもらおうか」
「あ、裏ギルドなんて古い呼び方しないでよ。暗殺ギルドって呼んでよ」
「暗殺に特化したのか?」
「みたいなものでしょ。証拠なく事を終わらせる事が私たちの仕事だからね」
なるほど、でも名前の印象は正直悪くなったぞ。
それより暗殺……ねぇ?まさかだと思うが……
「私に着いてきてね。極力跡は消していくから」
ですよねー、この程度出来ないとダメってことかな……?そんなことを考えているうちにいつの間にか目の前にいた人物は消えていた。
よくよく見ると痕跡が残っているが……まだまだなのかな、それともわざとかな。簡単にわかってしまうぞ。スキルかなんか必要かと思ったが普通にリアル技能で対応出来たのは良い情報だ。
「さて、追いかけますかね」
そっと、埃すら舞ってしまわないように屋根へと移る。遠目にはこちらを見て挑発するような視線を送る│黒装束《雑魚》がいる。
「まさか普通に追いつくとは思わなかったんだけど……」
「途中から痕跡をほぼほぼ消しただろ、あれがなけりゃもっと早く追いついたんだが……まだ若いのかね、お前さん」
「そりゃ……ね、使い捨てだし……」
おっとこの話題は禁止だったか。使い捨て、か。ちょっとその意味を測りかねるが大方勧誘した人物に殺されてもいい存在ということだろうか。
ちょっと想像してたよりやばいところか?まぁ……牛耳れば関係ないか。
「とりあえず案内してもらおうか」
「その前に意思確認をするよ、本当に、本当に暗殺ギルドでいいの?他のギルドもあるんだけどさ、ここから先は……血なまぐさいよ?」
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《ユニーククエスト:暗殺ギルド加入試験》
クリア条件:暗殺ギルドが作った試験場をクリアする
報酬:暗殺ギルド加入・専用装備・経験値
《受理しますか? YES/NO》
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「もちろんYES、だ。俺は暗殺ギルドを目的にここらで暴れ回ったんだぞ?」
「だよね、一応規則だから聞いただけだし」
そして目の前の人物は歩き始める。
「最後に自己紹介。私はコーネ……狐獣人の暗殺者だよ」
「俺はヒフミ、人族の……剣士の殺し屋志望だ」
「ふふ、物騒だね」
「お前に言われたかねぇよ」
《特殊職業:殺し屋の条件を一部クリア》
おっと?
こいつは基本的に格下だとわかった瞬間に思考中のみ人を馬鹿にします。表には絶対出ません、絶対に。
一部の職業ははっきり口にして第三者に伝えなければなれないものもあります。
殺し屋は利用者に知られていないといけないため知名度をあげるために裏の者に名乗りあげなければなりません。それが部分クリアの中身だったり。




