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サバイバル開始から2ヶ月。基礎魔法と陣魔法はもう既に網羅したため中位魔法を覚え始める。ついでに並行して禁忌系統の魔法、錬金も覚えていく。既に森の中層には入れるようになったが常に死と隣合わせのため油断が全くできない。一応キャッスルタートル相手に真っ向勝負で勝てるようになった、半日かかるけど。
サバイバル開始から2ヶ月半、ここで初めて……ボスという存在に出会った。
「なるほどぉ……てめぇがここの縄張りの主か」
場所は湖畔、その湖畔には一体の巨大なモンスターがいた。図鑑によるとこいつ、ラブラーバと呼ばれる龍の一種らしい。似た見た目だと……ナッシーか。首長竜だこいつ。
「初手から水鉄砲だぁ!?」
威力的にはレーザーだろうがなぁ……!
水のレーザーを避けるため湖畔の周りを走る。へいへい!どこ狙ってんだっよぉ!定期的に片手で短剣をなげつけ牽制するも普通に弾かれる、硬いと言うよりは単なる威力不足……!
次ぃっ!
「中位魔法『土槍』!」
走ったあとからズズズ、と槍がラブラーバに標準され。射出。まだまだ大量に作る。もうそこら中が槍の山になってしまえと言わんばかりに作る。
「有効打にすらならないか」
傷は付けられる。だがかすり傷程度だ、相手の命に届きうる攻撃とは言えないな。そんなことを考えていたらラブラーバの攻撃が変化した。
「っぉ!?」
言うなれば氷の砲弾、水面から浮き出した水が凍り、音速を超えて飛んできたのだ、ソニックブーム出てんぞ……下手すれば一撃死である。
「本気で……!殺しに来てるなァ!」
着弾の爆風でダメージ入るか、さすがは音速越え。着弾時に飛んできた石すら凶器だ。ちょっとこりゃいかんなぁ……
「死ぬ訳には行かないのがこのクエストの悲しい所……!」
シャオラァ!やってやんよォ!両手を下げ、足に合わせて疾走する。気分は獣だな、かつての記憶を引っ張り出して走りましょう。
「この状態の俺は人類最速だ……!」
数十年前から塗り替えられていないウサイン・ボルトの最速記録は二足歩行の物だ。だが今の俺はリアルで四足歩行で100m走7秒96。ゲーム内ならもっと身体能力高いからなぁ……!もっと速い!
「音速だろうがなんだろうが偏差撃ち出来ねぇなら当たらんわ!」
服や靴に刻まれた陣魔法『暴風』を発動。今の俺は空をも飛ぶ!若干きりもみ気味だがそんなもん慣れたもんだ。
「中位魔法『硬化』。その頭かち割ってやらァ!」
ラブラーバの上に来た瞬間上方向へ『暴風』を発動し下へ加速する。それと同時に体を硬くする『硬化』を発動してラブラーバの頭に叩きつける。迎え撃たれるように氷も飛んできていたが全部見当違いなところに飛んで行っていた。狙い甘すぎぃ!
「くたばれや」
どんだけ身体が硬かろうが脳が潰れれば生き物は生きていられんからな。
「討伐完了……あ゛ぁ゛……体がバッキバキ言う」
湖に浮かぶラブラーバの体に寝っ転がって体力を回復させる。しばらく寝ても問題ないだろう。




