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サバイバル開始から1日目は順当に塒となる岩山の洞窟を確保した。あとは食糧のために鹿など狩ってした。そしてこのエリアの特異性も知った、どうやらここ、思考加速時間がアホみたいに早いらしい、具体的には1時間で1ヶ月という期間だ。つまり12時間で1年となる……休まず無休でできるな。
サバイバル開始から2日目、何となく奥地が気になったので突っ込んでみた。結果。
「う、うは、うはははは!?」
頭おかしいんじゃねぇのこいつ!?なんで甲羅が大砲になってんの!?ひっさびさに現代兵器で狙われたわ!しかも亀だ!どう対処すんの?てか武器が貧弱すぎてダメージ自体入らねぇ!
んぁ!?グレネードッ!?
ちょっおま──
普通に死にかけた、別に死んでもいいが、死んだらクエストは失敗らしい……酷いな。
のちのち知ることになるがこいつはキャッスルタートルという種で最低でも三体以上で群れる種らしいが、今回は幸運なことにはぐれたやつしかいなかった。
サバイバル開始から一週間、奥地に行くことを諦めた俺は知識の収集に移る。魔法の使い方を覚え始めた。
最初は魔力とはなんぞや、と思ったそういった類の感覚を覚えさせる教材があったなと思い出し、急遽取り出してやって魔力を扱う感覚を覚えた。リアル系統によってるファンタジーゲームを作ってる会社が売っていたのだが、買っといてよかったと思った。この数日の成果は初級魔法全種を扱う程度だった。
サバイバル開始から2週間。魔力を扱うのはいいが総量をどうすればいいのか、そう思っていたがどうやら枯渇した分だけ成長するらしい。筋肉かな?と思い出したはいいが、近接もできるように体を仕上げなければいけないのだった。
ということでサイクルを作ることにした。
魔力枯渇と筋トレ→魔法練習しながら魔物狩り→奥地の探索→最初に戻る
というペースにやっていく。正直ゲーム内とはいえ疲労はたまるが、そこは慣れたものだ。頑張ろうと思う。
サバイバル生活から1ヶ月、面白いものを見つけた。
「ほー……廃村、ねぇ」
自然に巻き込まれたような廃れた村に辿り着いた。位置的にはモンスターが強い所と弱いところの間らへんかな。横に探索範囲を広げたらこんな場所を見つけるとは……
「1番今やりたいのは武器の強化だがなぁ」
モンスター素材は大量にあるのに消費できないから困ってるんだよ。それにある程度進むと一気に強くなるから攻撃が通らんし。
「力が強くなってるのは分かるんだ、ただそれだけで獲物は量産品の剣だけなのがいけない」
つまり鍛冶屋とか探してみる。
あった、普通にあった。ならまずは素材をここに集めたいのだが……家があるならここを拠点にできるな?しかも奥地に行きやすい場所にあるし。ならしばらくはここに荷物を集めるか。
サバイバル開始から1ヶ月半、順調に武器の強化などを行っている。この心得はほとんどが別ゲーの知識だったが問題なかったようだ。普通に鍛冶や錬金を進めていく。なぜ錬金か、それは魔法の中には錬金素材が必要な場合もあるからだ。いわゆる触媒だな、それに魔法陣を必要とする禁忌魔法もあるし。特殊な塗料を使うからな。まぁ一応知識にはあるってだけだが、まだ実行段階には移れない、ていうか移りたくない。
それから数日、村に異変が起こる。なんか妙に地鳴りが多い。そもそもここは地震がほぼない地域らしく、こういったことはありえないらしい。おまけに一定間隔で揺れる為生物だとわかる。そしてこんな振動を鳴らすのはここら一体では一体しか知らない。
「キャッスルタートル……!」
クソが、せっかくの拠点なのに潰されてたまるかよ!
徹底抗戦。作戦は特大の穴を掘りそこに落として焼く。確か亀って熱に弱いらしいからな!
「まだ距離はあるから間に合う。基礎魔法『掘削』合わせて『拡大』」
『掘削』の魔法を『拡大』を使い範囲を拡大し、あのアホみたいにでかい巨大な亀が入る大きさにする。普通に小山程度にはでかいから……
「間に合ったァ!そして射撃も来た!」
誘い出す方法も考えてある!
「基礎魔法『人形』、陣魔法『発情』!」
『人形』を使い生み出した木製の人形に陣魔法の『発情』を刻んであの亀の発情フェロモン的なもんで誘うんだよ!
「落ちろマヌケめ」
そしてあっさり落ちるキャッスルタートル。あとは上から焼きましょうか。
「基礎魔法『火種』。木・火混合魔法『木炭』」
キャッスルタートルの下に火種を用意して木炭を大量に生成。この時点で魔力がカツカツだ……一体でこれかよ。穴の中で暴れまくっているキャッスルタートルを見る。
ハチャメチャな方向に砲撃をしまくったり、下に向けて砲撃しているが己の巨体のせいで下にはほぼ行っていない。あとは放置するだけで終わりそうだ。
主人公だけずるい、って思うじゃろ?
他のギルドでも似たような期間で修行するフェーズがあるのじゃよ、だから別に特別じゃない。本来はもっと後のクエストだから特殊ではあるけども。




