エピローグ
こうして戦争は終結した。犠牲者シュワナ軍二百五名、リーベルテ軍二千七百二十四名。リーベルテの敗北は誰の目にも明らかであった。
祐樹はリーベルテを手中に収め、リデビュ島を統一した。そして、大陸との貿易を始めるための準備を進める。それは奇しくも葦塚湊があの日、兵士たちにお願いしたことと一緒であった。
また、アン・インカ―ベルト、ライン・アズベルト、ネルべ・セイアリアス、アスバ・アイス、ランリス、葦塚桜、また五名の兵士たちは森の中ひっそりと生活を始めた。いつか戻ってくる「希望」を信じて。リーベルテを再び、取り戻すために。
元リーベルテ領では祐樹の支配による反発が起こったが、そのたび、粛清が行われ、すぐに誰も何も言わなくなった。完全なる恐怖政治に祐樹は一人満足している。
シュワイヒナ・シュワナは大陸でもう一度凛に出会うため、行動を開始した。それはあまりに厳しくつらい道のりとなるであろう。
最後の希望、佐倉凛は大陸で祐樹への復讐を、また、自らが希望となるため、戦いを続けていく。運命に抗うと誓って。
しかし、それこそが運命である。すべては神である私の決めたレールの上で行われることであるのだが、彼女はまだ、それを知らない。彼女の運命が如何に厳しいものであるかを、彼女は何も知らない。
始まりの物語は終わった。始まりがあれば、終わりがある。最初から人々は終わりへと突き進んでいるにもかかわらず、彼らは先に希望を見出した。それがいいことであるか、悪いことであるか、私にはわからない。
終わりへと突き進むだけの物語。凛の終わりがどのようなものになるか。知っているのは私だけだ。いや、私さえも知らないのかもしれない。




