いじめの発覚
入学式が終わってから大体2週間ほど経った。
2週間も経ったのである程度教師としての仕事が板についてきた。それでもまだ先輩の先生達には及ばないとは思う。
しかしそれでも一年生に数学を教えているのは私だけで責任は重大だ。新任だからといって言い訳はできない。私が出来なくて困るのは私じゃなくて生徒達なんだから。
私はそんなことを考えつつ日々の授業に真剣に取り組んでいた。
一方の生徒は2週間で学校に慣れ、部活動にそれぞれ加入して各々充実した生活を歩めているようだ。
うちのクラスの雰囲気は良く、それぞれが上手く協力しあってクラスが回っている。
あまりにも上手く回りすぎていてこちらが手助けするようなことがないようなレベルだ。
最初がこのクラスでよかったと思いつつ、ある程度委員長達に一任していた。
私は放課後いつも通り次の授業の準備を進める。
そんな中で私は教室に忘れ物があることに気づき取りに行った。
そして私は通り道で最悪の光景を目にしてしまった。
「おいお前。金よこせ」
「とりあえずお前の全財産だな」
「やめて、お金取らないでください」
「知るか、お前のもんは全て俺達の所有物だ。文句言うんじゃねえ」
5人で1人に対して金を揺すっていた。カツアゲが行われていたのだ。
周囲の人々もこの状況に気付いていたが、全員見て見ぬ振りをしていた。
これはいじめである。
私は教師としての責務を全うすべく止めに向かった。
「おい、そこで何をしている」
「ちっ、教師かよ。ずらかるぞ」
いじめをしていた5人は私の声に反応しすぐに逃げていった。
1人座り込んだままの生徒に対して私は声をかけた。
「大丈夫?怪我とかはない?」
「は、はい。怪我とかは無いです。ただ、お金を取られてしまいました⋯⋯」
そう言った生徒は酷く怯えていた。いじめられていたのだからしょうがない。
彼は部活には入っておらず今から帰るところだと知った私は安全のために帰宅に付き添うことにした。
その帰り道の中で私はいじめに対して詳しく話を聞いた。
それによると、
いじめは1週間前に始まった。
主犯格はカツアゲしていたあの5人である。
その5人は一年一組の同じクラスの生徒で日常的にいじめがあっている。
教室でもいじめを受けていてクラス全員この状況を知っている。
私はこの状況を知り、なんで気付かなかったんだと反省しつつも絶対解決しなければと決意した。
ひとまず安全な所まで来たので私はとりあえず彼と別れた。




