5.門出は魔王の祝福と-2
◆王都付近の森
「ああ、やべぇ、<あの>感覚だ......ここらに居やがる。絶対殺す、アアアアアアア、、、、マッテロマッテロォォォォ」
森には1人の魔族が居た、彼は何かを求めていた、それが金であるのか暴力であるのかはたまた<快楽>か。
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◆森
「ゆーま、明日出発するんだよね!?王都に出ても良いんだよね!?」
「ああ、そうするつもり」
俺がこの異世界にに来てから18年がたった、時間の感覚は分からないが歳が上がるたびにシステムから経験値の増加、スキルの進化が与えられたため年齢だけが時間の経過のたよりになっていた。俺のもといた世界の記憶はだんだんと曖昧になってしまい、いまでは名前、死んだ理由、アニメの知識、程度しかのこらなかった。ちなみにアニメの知識はこの世界でも十分過ぎるほど通用した。
自分を育てた親と思われる人物達は8年前に消えてそれからは全く消息が掴めなかった。国の王都が近くにあるためそこにいって探してもらうように言えば簡単だったのかもしれないが何故か手紙を見てからは、森から抜けられない、というより森を抜けようとすると永遠に森が広がっていくように終わりが見えなかった。これは森に閉じ込められてから大分後になって気付いた事だが手紙には呪いがかけられていたようだった。
俺たちは<親>から様々なことを教えられた。料理や家事はてはモンスターの倒し方剣術なんかも教わった。それのおかげで俺たちは10歳からの8年間をどちらがかけることもなく暮らしてこれた。もともと俺のステータスは異常だったようで森にいるモンスター程度ではHPを削ることすらできないようだったが、問題はマリーだった、マリーは生まれつきHPがとてつもなく少くおまえけに年齢が上がっても増えることのないスペシャル仕様だった、一撃でも喰らえば即死、とういう状況であったため<親>はマリーに家事はほぼさせずモンスターを倒しても防御力を上げるように進めていた。居なくなってからはなにやら自分好みに振っているようだが死んでいないのなら良いとしよう。
「じゃぁさ、じゃぁさ今日はご馳走にしようよ、どうせ今日で終わりなんだから残りの食料ぜーんぶ使ちゃってさ!!」
「まぁ良いけど......マリーは手伝って....」
「......あげませーん!!」
「デスヨネ」
うすうす分かっていた返答にガックリとしながら今日使うぶんの薪を割り終え、俺たちは家へるために歩き出した。
「うーん、明日が待ち遠しいや!」
「さっきからそればっかりだな、お前」
「そりゃそうだよー、だって18年だよ!!町に出たらまずなにしよっかなー、洋服も買いたいしー、教会っていうのにも行ってみたい!!あ、あとあと、屋台っていうのも見てみたい!!」
「おーおー、次から次へと出てくるねえ、まぁそれよりも最初はギルドで母さんと父さんの捜索願いだろ?」
「あ、そっかゴメン。」
数年前から王都に出たときはまず<親>を探し始めることに決めていた。時々やってくる行商人たちの情報のおかげでギルドが有ることも確認済みだ。
「んー、でもとりあえずは今日のご飯食べなきゃ!!お腹すいたっ!早く帰ろっユーマ!」
そう言ってマリーは走って行った、マリーが走ると相当のスピードが出るわけだがこの森は長いためそうすぐには着かない、ちなみにマリーよりも30万ほど素早さは高いが薪の重みでデバフのような状態になってステータスが下がっているため追い付こうと思ったら苦労するのだ
「おい待てマリー!」
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◆勇者の家
「アアア.....コゴダ!!ごこに.....勇者イル!!狩りそこないコロス、オレサマ強い....魔王様ミテル.....」
勇者の家の前には巨大な体のモンスターがいた、皮膚は深い黒色に鋼のような光沢、顔はどこまでも悪を孕みまるで自分を誇張するかのように大きな角が生えていた。それは悪魔のような.....
彼は10年前とある小さな村を襲った。それも彼が一番尊敬している魔王の命令によって、最初にその村を襲えと言われたときは遂に自分に実力を見せるチャンスがまわってきたのだと思った。けれど村の人間達は自分の実力より遥かに弱く貧弱であった、しかし魔王の命令であったために彼は村の住人を全員蹂躙し殺害し山をなした。
そして彼は初の命令を完璧にこなし意気揚々と魔王の城に帰った、しかし彼に待っていたのは称賛でも褒美でもなく、ただのクズを見るかのような目線そして魔王の呆れたような言葉だった。
「ふむ、前々からお前はバカだとは思っていたが.....カハッ、よもやここまでとはおもわなんだ.....お前にはあの村で殺した人間の中に強者が居るように見えたのか?」
「いえ、見えなかったぞ、です。」
「クハハ.....そうであろうな...そうであろうなぁ.....このクズ虫が!!お前は勇者を狩り損ねたんだよ!!死にたくねぇなら狩りのがした勇者の首ひっさげて来やがれ!!!!!」
魔王の怒号にはじめて自分が命令を完遂できなかったことに気付いた、でも、しかし、勇者は一体どこにいたのか、なぜ自分には分からなかったのか。彼は悩み、挙げ句に城を去った。
そして10年間同じ勇者を探してはあちこちで暴動を起こしてまわりそのたびに1つずつ村を潰し、死体の山を築いていった。
「ヤット......ヤット壊せる!ユウシャコロスコロセル?コロス!!!!」
彼の情緒は10年で歪み曲がり言葉もたどたどしく退化した。しかし、彼は一撃で山を砕く程の力を手に入れた。だから、回想の間に触っただけのボロボロの家ももとから建っていなかったかのように崩れさった。
そんな所に不運な少女が1人、美しい触れば砕けそうな美貌をもった少女。まさに彼が求めていた人物、<勇者>の天職を授かった者であった。
「え?うん?家は?ていうかあなたどちら様?」
マリーには状況が見えなかった、なぜ自分の家が崩れているのか、家の前に立っている黒光りするゴキブリのような奴は一体誰なのかとにかく、お腹が減っていた。
「オマエ.....ユウシャ?死にニキタ?死ヌ?」
「えっと.....勇者だけど、死ぬってまた......え?」
最後まで言い終わる前に勇者は吹き飛んだ防御力のお陰でダメージは1しかないが後方へと吹き飛んだ、ちょうど壁のような人間がいる場所へ。
少年は驚いていた、空から少女が降って来たのだから無理もない。これではまるでラ○ュタの再来である。受け止めなければいけないことは確かだがなぜ飛んでいるのか分からなかった。
「っておいマリィィッィ!!???<スキル>絶壁!!」
マリーは少年の壁に助けられ何とか死には至らなかった。
そして、少年少女はひとこと
「「意味わからん!!」」
「アー、ユウシャシナナナイ、イヤダコロロロロロロス!!!ガアアアアアアァァァ!!!」
悪魔はキャノンと言う名前だった。名前の由来は、真っ直ぐ強く爆発的に。であった。
「ユーマ!!気をつけて!!アイツ力ヤバイよ!」
「は?ちょっとまて、アイツなに!!?まぁいいか....」
ガッッ
鈍い音が響いた、悪魔が人を貫いた音だったのだろうか。それとも......
暫くの間忙しく投稿が大幅に遅れました。
この話で終わるとおもってましたが終わりませんでした。
次話投稿は未定です。