第7話 咲の心情
やってしまいました……小説置換という機能を知らず前回の話を消してしまいました……。
本当にすいません。
今後とも宜しくお願い致します。
題名が【やっぱり咲は兄弟想い】と書かれていますが正しくは【咲の心情】です。
『兄ちゃん遅いな……』
千田が四宮と下校をしている中、咲は1人自室のベッドに横たわっていた。
『もう……どうしていいかわかんないよ…………』
【恋がこんなにも苦しいものだったなんて】
*
『貴方達兄弟は本当に仲がいいねぇ』
小さい頃から高校1年生の今に至るまで私と兄ちゃんはそう言われ続けていた。
そのことについて私は誇りに思っていたし兄ちゃんは私にとって宝物のような存在だった。
……けど、けどいつからだろう。
——兄ちゃんを独占したくなったのは。
『ねえ兄ちゃん』
『ん? なんだ?』
『私に似合う服あるかな?』
『そうだな……これなんてどうだ?』
『そっか、じゃあこれにする!』
『え、ちょっ、いいのか? 俺が選んだやつで』
『いいのいいの! ちょうど私もこれいいなって思ってたし』
2人きりで買い物に行ったりもした。
『兄ちゃん……』
『どうした? こんな時間に』
『さっき見た番組が怖すぎて寝れないんだよね、一緒に寝ちゃダメ?』
『おいおい……夜にそんなもの見るなよ、それにこの歳になって一緒に寝るのは——』
『そこをなんとかお願い! 本当に寝れないの』
『…………しょうがない、分かったよ。けどめんどくさくなるから母さん達には言うなよ?』
『やった! ありがと!』
すごい緊張したけど一緒に寝たりもした。
どれもこれも本当にいい思い出で、楽しかったり、嬉しかった。
そしてそんな日々を過ごしているうちに、いつの間にか私は兄ちゃんのことを家族としてじゃなくて異性として好きになっていた。
……けど、そんな感情を抱き始めると同時に鎖が私を縛り付ける。
家族内の恋愛は常識的にダメだと。
なんで? なんで私と兄ちゃんは血が繋がってるの?
兄ちゃんを好きだという気持ちは他の誰よりも優ってるというのに、今すぐにでも付き合いたいのに。
そうやって何度も何度も兄弟だということを恨み続けた。
けど何度願っても、もう変えられない事実だし、いつまでもそんなことを思ってちゃ私も前に進めない。
だから私は覚悟を決めた。
【私は兄ちゃんのことを想っているだけでいい、それ以上は進んじゃダメだ】
と。
…………なのに、なのに……
——そう決めたのにどうして?
『実は俺、クラスの女子に告白されたんだよ』
兄ちゃんの口からその言葉が出た瞬間、私が決めた覚悟など一瞬にして崩れ落ちた。
『おー……い……咲…………』
頭が真っ白に埋め尽くされる。
ダメだ、兄ちゃんの声が全く聞き取れない…………どうしようどうしようどうしよう。
兄ちゃんが誰かに取られたら私…………
『助言がほしいんだが、一体俺はどうすればいいと思う?』
…………え?
他の言葉は聞き取れなかったのに何故かこの質問だけはハッキリと聞こえた。
なんで……そんなことを私に聞くの?
私は兄ちゃんのことを諦めるためにいっぱい悩んで悩んで辛い思いをしたんだよ?
なんでなんでなんで?
私の……私の気持ちも考えないで!
心の中の何かが爆発した。
私は怒りに身を任せ兄ちゃんに言いたくもない言葉を次々とぶつけてその場から逃げた。
『帰ってくんなバカ兄』
そんな最低な一言を加えて。
————本当は、こう言いたかったわけじゃないのに。ただ『告白!? いいじゃん付き合っちゃいなよ!』って言えば私と兄ちゃんの関係は【仲のいい兄弟】で終わったのに。
私が決めた覚悟なんて、その程度で崩れ落ちるものだったんだね…………ううん、もう遅かったんだ。
心が、体が、脳が、私の全てが兄ちゃんを否定できないまでに好きになっていたのだから。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次話も咲編です。