第5話 四宮と帰ってみたNo.1
思う以上に長くなってしまったので分割しました!
『いや〜なんだか異性の友達と一緒に帰るってなんだか緊張するな』
『そ、そうですね』
『……』
『きょ、今日は天気がいいなあ!』
『ええ……あ、はいそうですね!』
——見てくれ、これが異性と一緒に帰ったことがない非リアの醜態だ。
校門で待ち合わせた後、とりあえず四宮の家付近まで帰ろうってことになった。
俺と四宮は帰路が真逆なのだがそこは男を見せるべく俺が四宮の意見をやんわりと断って決めた。
そこまでは良かったんだ。俺にしては上出来だと思う。
だが問題はその後——
話題が出てこない。うん、これに限る。
妹ではない異性——さらに美少女という点で緊張感が増し、全く普段通り喋れないのだ。
まあ、そんなことは18時を上回っているにもかかわらず『今日は天気がいいなあ』などとバカな発言をした時点でお分かりだと思うが。
なんで教室では普通に会話できたのか不思議思うよ本当。
俺は四宮を横目で見る。
四宮に関しては楽しく会話どころかかなり気を遣わせてるし……ホント申し訳ないな。
そういえば四宮は顔を赤らめているもののあまり緊張した様子は見られない。
まあ慣れてて当然だよな、冷酷姫と言えどこんな美少女がまさか異性と帰るのが初めて……なんてことはあり得ないだろうし。
『はぁ……』
自分の情けなさに四宮がいることを忘れ、思わずため息をついてしまう。
そしてそれは、案の定四宮を勘違いさせてしまった。
『なんか……無理して帰ってもらってすいません』
四宮は自分に責任を感じたのか申し訳そうな表情を浮かべそう言う。
『あ、いやそういうわけじゃ……』
またやってしまった。
はぁ、何をやっているんだ俺は、ここまでくるとダメ男の域だよ。
『私が……誘ったので本来私が話題などを出さなきゃいけないのに』
『いやいや、そんな! 話題出せないのは俺もだし四宮は気にしなくていいから!』
四宮に気を遣わせまいと俺は勢いよく否定する。その焦っている俺の姿を見て四宮は何を思ったのか小さく『ふふっ』と微笑んだ。
とりあえず雰囲気は取り戻せたかな……? と俺は少し安堵した。
しかし、四宮ってこんな表情もするんだな。……なんというか結構、いやかなりいいな。
『あの……男の人と一緒に帰るのは初めてなので少し緊張感しますね』
四宮が微笑んだ後、数歩歩いたところで四宮が恥ずかしいそうな表情で話を切り出す。
だが俺はその発言に驚きと疑問を持ち目を丸くした。
『え、今日が初めてなのか!?』
『え……そんなに驚くことでしょうか?』
四宮の表情からしてどうやら嘘ではないらしい。
しかしそんな確証を得たところで俺の中に残るのは疑問のみだった。