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第4話 告白の答え

『俺達まず友達から始めないか?』


 再び教室に俺と四宮以外の生徒達がいなくなった放課後。俺は今日、四宮に告白の返事をした。

 その目は揺るぎなく決意に満ちていた。


『それは……私とは付き合えないということですか?』


 そう言うと自分が振られたと思ったのか四宮はショックを隠し切れない様子だ。

 まあ、当然の反応だな。だが俺は四宮を振ったわけではない。


『違う、そういうわけじゃないんだ。まず理由を聞いてほしいんだ』


 四宮はまだショックを引きずっていたものの、コクリと頷いた。

 よし、ここからが俺の勝負だ。

 俺は四宮に伝える言葉を脳内で何度も繰り返しながら口を開く。その間鼓動が強くなっていくのを感じた。

 

『俺達まだお互いのことをあまり知らないだろ?』


『……知らない……か』


『うん? なんか言ったか?』


『……いえ、続けてください』


『そうか、じゃあ続けるぞ。だからお互いのことをもっとよく知るために友達から始めて、それから彼氏彼女とかそういう関係にならないか?』


『……え?』


『つまり付き合う前提に友達から始めないか? てことだ』


 これが時間を対価に俺が出した答えだった。

 告白を先延ばしするなど些か傲慢だと思われるだろう。だが俺は自分や四宮のことを考えた結果、これが今できる最善策の返事だと思ったのだ。

 意気地なしと思うか? そう言いたいなら言ってくれ、もう後悔はない。


 ただ気になるのは——


 四宮を顔を伺う。

 俺の想いを果たして四宮は受け入れてくれるだろうか?


『そうですか……』


 四宮は安心したような、だけど残念そうな読めない表情をしていた。

 やっぱりダメだったか? まあそりゃそうか、四宮の想いを無視して俺の想いを無理やり押し付けてんだもんな。

 

 しかしこれを受け入れてからなかったら俺は告白を断るつもりだ。それ程までに俺は恋をいい加減にしたくなかった。

 何故高校生の恋愛ごとにそこまで拘るのかと聞かれば、自分でも分からない。強いて言うならそれが本能だから、と思う。


『分かりました。ではよろしくお願いしますね、千田君』


 数分間の間が空き、ようやく何かを決心したのか、そう答えた四宮の顔にさっきのような表情はなく笑顔になっていた。

 よかった、どうやら受け入れてくれたらしい。


『ありがとな、四宮。そしてこれからよろしくな!』


『……はい!』


 さっきから返事に間があるのが気になるが四宮も緊張しているのか? まあ実際俺も見栄を張っているが今現在心臓バクバクだし四宮が緊張しててもおかしくないか。

 でもまあ、とりあえずこれで一安心だな。


 この時の俺はかなり油断していたと思う。いや、油断していなくてもこれは防ぎようがなかった。


『では一緒に帰りましょうか』


『ふえ!?』


 あまりの驚きに謎の擬音が出た。

 今何か、理解不能な単語が聞こえたような気がしたんだが。


『ごめん、聞き間違いかな。今一緒に帰ろうって……』


『はい、そう言ったのですが』


 ……駄目だ、全然理解できない。

 しかし四宮は自分がした発言に狂いはないようなケロっとした表情をしている。

 え、俺がおかしいの?


『何か問題でしょうか?』


 いや……問題大ありじゃないか?

 俺ちゃんと友達からって言ったよね? 四宮の言う友達って最初から一緒に帰ったりとかすんのか……いやハードル高すぎないか!?


『いや……その、こんな初めっから一緒に帰ったりするもんなのか?』


『え、違うのですか?』


『いや、そう言われましても……』


 敬語になってしまった。どうやら俺は自分が思う以上に動揺しているらしい。それもそうか、だって妹以外の異性に『一緒に帰ろ』なんて言われたこと今まで一度もなかったし。


 そして俺はその問いに答えることができなかった。

 それも当たり前な話で、恋愛経験が全くない俺は一緒に帰ることを変だと思っていても果たしてそれが間違いなのかが分からないのだ。


『ダメ……ですか?』


 その透き通った目に俺は引き込まれたらしく、【否定】なんて意思は俺の中から消え去った。


『いや……帰ろうか。いや是非とも帰りましょう』


『はい、ありがとうございます!』


 その時、彼女が見せる表情は今までとは比べ物にならないくらいに満面の笑みだった。

 そして、何故かその笑みから懐かしさを感じたのは何故だろうか。


『ぶ、部活している生徒にバレて野次馬が集まっても面倒くさいだろうし、こここ校門で待っているからな!』


 四宮の笑顔を見て命の危機を感じた俺はそんな言い訳を建前に急いで教室を出て校門に向かった、いや逃げた。


 我ながらこのチキン戦法は役に立つな、と思った千田だった。





 男子生徒が顔を真っ赤にして教室を出て行った光景を見ながら、1人残された彼女は不満を呟く。


『もう、千田君ったら本当に私のこと覚えてないんだから!』


 その長く艶がある髪を沈みゆく太陽に照らしながら彼女は頬を膨らませた。


『でも……一か八かで一緒に帰ってくれるか試してみたけどOKしてくれて嬉しかったなぁ……』


 そんな彼女の様子は、学校一の美少女なんて面影は一切なく、ただ恋する女の子のようだった。


『……よし決めた! 私が千田君の記憶を思い出させるんだから!』


『あ、千田君を待たしてるんだった!』


 誰もいなくなった教室にはただただ静けさだけが残る。


読んでいただきありがとうございます!

文章構成が変ですがこれから形を整えていきたいと思っています。

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