95話 逃げるために
マラソン大会が終わり、羽島、平山、紗羅、水嶋、如月と一緒に下駄箱に戻っていた。
「結局優勝は松川生徒会長かぁ。三年連続だな。」
「三年連続!?一年生の時も優勝してるなんて凄いんだね。」
みんなが話してる時に自分は下駄箱に入っている靴を取ろうとした。すると中から何かが落ちた。
「ん?奏、なにこれ?」
「…手紙?」
平山が拾ったものを見てみると、普通の白い手紙だった。
「え?それ、奏の下駄箱に入れてあったのか。まさか…」
「……何なんだ?」
「なになにどうしたの?…それ…もしかして…」
羽島や水嶋が手紙を見て声を上げる。平山や紗羅、如月も驚いていた。どうしたんだ?意味がわからない。
「だから、これは何なんだ?」
「分からないのか!?」
「…ああ。」
羽島が本気で言っているのか、と言うふうに聞いてくる。
「ま、まあとりあえず中身を見ようよ。」
「…そ、そうだね。奏くん宛とは限らないし。」
「…奏、見て。」
「わ、分かった。」
……本当に意味がわからない。手紙に驚いたと思ったら、今度は中身を開けろと急かしてくる。
紗羅に言われた通りに中身を見る。中には綺麗な字で文章が書いてあった。『春祇奏さんへ』とも書いてあって自分あてには間違いなくなった。
手紙には、こう書いてあった。
春祇奏さんへ
今日の放課後、マラソン大会が終わった後お話がしたいので屋上に来てください。
待っています。
「…誰宛かは書いてないね。」
「や、やっぱりこれはラブレターだ!」
「………は?」
羽島が言った言葉の意味が分からなかった。
ラブレター?嘘だろ。何かの冗談だ。
「…何言ってんだ?そんな訳ないだろ。」
「いやいや、これは間違いなくラブレターだって。字も女子っぽいし。」
「確かに。ついに奏にも春が来たんだ!」
羽島たちがワーワー言いだす。自分はその考え方に自分は納得できなかった。
「ただの呼び出しって線もあるだろ。」
「…そうだ。」
「うん、うん!そうだよ、ただの用事かもよ。」
自分が否定すると紗羅と如月はそれに便乗する。やけに必死だ。
「…まあ、とりあえず行ってみないと分からないんじゃない?」
そこで水嶋が少し俯きがちに言う。
その表情の色は…迷い?
自分は水嶋が何故こんな表情をするのか気にしようとした。
逃げるために。
この状況を、理解したく無いから。
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