86話 青い鳥
…あいつはついてきてないな。そう思い話しかける。
「見てたんだろ、水嶋。」
「…分かっちゃった?」
自分が言うと、水嶋が笑いながら前に出てきた。まるで誤魔化すように。
「なんで、ここにいるんだ?」
「たまたま歩いてたら春祇くんがいて追いかけたら…てこと。」
…全部見られたのか。最悪だ。
水嶋は少しおどおどしながら聞いてくる。
「ねぇ、あの男の子と知り合いなの?」
「…ま、あ。」
「喧嘩、でもしたの?」
「喧嘩…」
喧嘩。それは自分が正しいとお互い思っているがために起こる争い。
なら、違う。これは自分が悪い。全部、全て、何もかも。
「…まあ、そんなとこだ。」
だが、水嶋が知ることではない。自分は息を吐いて嘘を吐く。
「そう、なんだ。仲直りしてね。」
「…ああ。」
水嶋の愛想笑いに応える。
「紗羅さん、待ってるんじゃない?行こうよ。」
「………ああ。」
仲直り、いや自分がもし赦されることは、
万に一つも…
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「…なんで水嶋がいるの。」
「さっきそこで会って私がついて来たの。」
「…はぁ。」
紗羅のところに戻ると、紗羅は水嶋を見てため息をついた。そして諦めたかのように言う。
「確か一組で劇があるとか。」
「あ〜如月さんが出てるらしいよ。」
「…じゃあそれ行くか。」
紗羅たちの提案に乗る。正直今は劇なんてどうでもいいが、断る元気もないのでついて行く。
学校内に戻り二年一組の教室に行く。どうやら時間的に最後の劇だ。
しばらく座って待っていると周りが暗くなった。
「では、始まります!劇『青い鳥』。」
青い鳥。
ある兄妹が幸せの青い鳥を探し行く旅の話。結局見つからず家に帰ると飼っていた鳥が青い鳥になっていたと言う。それは、本当の幸せはすぐ傍にあった…という話だった気がする。
劇では如月と赤崎がそれぞれ兄妹役を演じていた。
旅で青い鳥を見つけてもすぐに消えてしまう。だけど兄妹は諦めず探し続ける。
そして家に戻ると青い鳥が居た。
「ああ、本当の幸せはすぐ傍ににあったんだね!」
如月が演じている。
「春祇くん?大丈夫?」
幸せはすぐ傍にある。
確かにそうだ。そうだ、そうだったんだ。
でも、それでさえ消えてしまう。永遠では無いんだ。
そして、それは自分のせいでもある。
自分がもっとあいつの為に、幸福を、幸せを、与えてれば、あんな、あんな言葉を聞くことなんてなかった。
『黙ってて、ごめんね…奏、くん。』
なんで、だよ。なんでそんなこと言うんだ。
謝るのは、『俺』だろ そんなこと誰も責めてない
『ごめんね…!!』
違う 違うだろ お前は悪く無いだろ…!
なあ……!! 詩歌……!!!!!
「…奏!」
「…ねぇ、春祇くんてば!」
「…!!」
なにかよびかけるこえがきこえた。
まえをみると、しんぱいそうに、さらとみずしまがみていた。
「やっと気付いたよ。」
「…もう劇終わってる。行こう。」
「…あ…ぁ、そうだな…」
じぶんはたちあがり、あるく。
「ねぇ、大丈夫?」
「…さっきから暗い顔してない?」
「…なんで…もない。」
ひっしにとりつくろうとする。だが、ふたりのめはかわらない。
そのとき、ぶんかさいのしゅうりょうのおとがなった。
「あ、やっと終わったね〜。」
「…はぁ。疲れた。」
「…………………」
きづいたらそとはゆうやけいろだった。
青い鳥は、飛んでいなかった。
これで6章『祭り事』改め、『幸せ』が終わりました。どんどん春祇が病んでいきますね。
次回予告的なことをしますと、次の章は、『みぞれ』です。
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また、作品「二度も親を失った俺は今日も最強を目指す」もよろしくお願いします。




