84話 すまない
結局水嶋は置いていってしまった。と言うかさっきから紗羅の様子がおかしい。
取りあえず今も引っ張られている袖を払って止まる。
「…どうしたんだ、紗羅。」
「…それはこっちのセリフ。」
「どういうことだ?」
紗羅の言っている意味がわからず聞き返す。
「最近奏の元気がないから。それでちょっと…」
「…にしてもやり方ってものがあるだろ。」
紗羅の言いたいことは少しだけ分かったが、それとこれとは別だ。急に引っ張られて連れていかれると疑問しか残らない。
「…急に引っ張ったのはごめん。だけど…」
「………」
「奏はこうでもしないと…と思ったから。」
紗羅は顔を下に向ける。…何故そんな顔するんだ。自分は心配されるような人間じゃない。そんな資格はない。だから…
「…俺は疲れてない。」
「…うん。」
「でも、ありがとうな。」
「!…うん。」
今度は紗羅は顔を上げて笑顔で頷く。
「で、どこ行くんだ。」
「取りあえず屋台を回ろう。」
「分かった。」
屋台に行くという紗羅について行く。
…すまない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「一旦休むか。」
「うん。」
今は奏と一緒にベンチで座っている。
奏は最近暗い顔をすることが多かった。だから元気にしてあげようと思ったけど、どうすればいいか分から無かったので、何も考えず連れ出してしまった。
その結果、奏を困らしてしまったのは本当にどうしようかと思ってしまった。もし嫌われたら、これからどうすれば…なんてまで思ってしまった。
「どうした?」
「…なんでもない。」
無意識に奏の顔を見てしまっていた。慌てて逸らす。
でも嫌われなくてよかった。そして想った。
やっぱり私は奏の方が好きだと。
「……すまん、トイレに行ってくる。」
「うん。」
奏は少しキョロキョロした後、トイレに行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ…」
やっぱりか。いくら日本と言っても治安が悪いところは悪いな。
学校の目立たない場所に行く。さっき紗羅とベンチに座っていると周りが静かなものだったので、変な声が聞こえたのでそこに向かった。
そこには二、三人のヤンキーみたいな奴らと一人の少年がいた。
「だから、慰謝料払えよ!ぶつかったんだから!」
「そうだそうだ!」
「変な言いがかりはやめてくれ!」
見た所、あの強気な少年は中学生ぽい。そう観察していると少年が立ち去ろうとするとヤンキーが少年に殴りかかろうとした。
止めるか。
「おらぁぁ!」
「な!?…?」
「やめろ。」
そしてギリギリでヤンキーのパンチを受け止める。
さてどうするか。学校内だしあんまり大ごとにはしたくない。
そしてあることを思い出した。あれを使えば…




