78話 バッチ
「はぁ。」
「どうした春祇?」
「いや、やっと終わったなって。」
そう言いながら自分と柏木は顔のメイクを落としていた。
結局今日は特に何事もなく1日目は終わった。あの後も平山と水嶋の人気はなかなかのものでそれ目当てで来る人もいた。
「あー俺も女の子たちにちやほやされたかったな。春祇もなんだかんだ言って人気あったし。」
「…そんなことないだろ。」
「いやいや、俺聞かれたぜ。『あの黒髪の人ってどんな人』とか。」
「…他の人だろ。」
そんなかとあるわけない。自分は普通の顔だ。イケメンでもない。
そんな冗談めかした話をしているうちにメイクも落ちた。そう思っていると柏木がこちらの顔を見て言う。
「あ、髪も戻すのか。せっかくよかったのに。」
「…前髪がないと落ち着かないんだよ。」
「でもそれって見えにくくないか?」
「そんなことな…」
否定しようとすると突然自分の携帯が鳴った。
「…電話だ。」
「ああ。」
少し柏木から離れ携帯を見るとあいつからだった。
「…もしもし。」
『よう春祇。今時間あるか?』
「…なんか用なのか?」
『いや、あまり大したことじゃないが渡しておきたいものがある。』
「…分かった。」
場所を聞き電話を切る。そして柏木に一言言う。
「知り合いに呼ばれたから行ってくる。」
「ああ、行ってら。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「来たな。」
「で、なんだ。」
呼ばれた場所に来る。そこには前に呼ばれた時と同じように蓮がいた。
「どうだ、文化祭は。」
「…別に普通だ。」
「そうか、まあそれはいいとしてお前に聞きたいことがある。」
蓮は少し改まった様子で言う。
「生徒会に入らないか?」
「…それはまたなんでだ。」
「俺もこの文化祭が終われば引退だ。今の生徒会のメンバーも優秀だが、お前が入ってくれたらさらに良くなると思って。」
「…………」
生徒会に勧誘されるなんて、自分の人生も変わってしまった。
自分は当たり前の返答をする。
「断る。」
「一応理由を聞かせてくれ。」
「…目立つから。」
「…まあそうだろうと思ったよ。」
どうやら蓮も自分の返答には予測がついていたらしい。じゃあなんでわざわざ呼び出したのだろうか。
「まあこの話はおまけだ。…これを渡そうと思って呼んだんだ。」
そう言って自分の手に何か渡して来た。見てみると何か赤いプラスチックのバッチだった。どこかで見たことあるような。
「なんだ?」
「知らないのか。生徒会が持っているバッチだ。」
「…だから入らないって…」
「違う。別に持ってるだけでいい。」
「…じゃあなんで?」
「俺は明日と明後日用事があって行けないんだ。だから代わりと言ってはあれだが見回りしてほしい。ついででいいが。」
「…はぁ。」
なら別に自分に渡さなくてもいいんじゃないか、そもそもそんなもの渡してどういうつもりなんだ、そういろいろ思ったが、疲れもたまっており、これ以上何か言うのも面倒になったので素直に受け取った。




