77話 見惚れて
11時頃、客も少しづつ増えて来た頃、普通に客の注文を受け取ろうとした。
「注文は…」
「あ、奏くんだ!」
「え、あ、本当だ、春祇先輩だ。」
運が悪かったのか、なぜか如月と浦澤が一緒に来ていた。
「…なんで二人がここに。」
「いや〜、たまたま廊下で如月さんと会って、どうせなら一緒に回ろうって話になりまして。それにしても似合ってますね!ね、如月さん。」
「え!あ、う、うん、かっこいい…」
「…はぁ。」
如月は何故か顔を赤くして言う。…そんなにいいたくないなら言わなくていいのに。
自分は仕事を思い出し、注文を聞いて後にする。
「頑張ってくださいね〜。」
「…ああ。」
浦澤がそう言う。対して如月は自分をぼ〜っと見つめていた。
自分はその視線の意味が分からず、変な気分で仕事を続けた。
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「…お〜い。如月さん?」
「へ?な、なに?」
「さっきからずっと先輩のこと見てますね。もしかして見惚れてました?」
「え、いや、そ、そ、そんなことは…」
「…分かりやすいですね。」
「うう…」
浦澤ちゃんが言ったことが図星だった為、つい下を向いてしまった。
「まあ確かにすごいですね〜先輩。いつもよりシャキッとしていると言うか。あれはまた惚れる人が増えますね〜。」
「そ、そうだね。」
浦澤ちゃんが奏くんの働いている姿を見て言う。
奏くんは執事の服を着て働いていた。その姿はとてもかっこよくてつい見惚れてしまった。いつもは髪で隠れている目がはっきりと見えて何故か嬉しくなる。
そんなことを思っていると浦澤ちゃんがこんなことを言い出した。
「そのうち先輩に彼女とかできるかもしれませんね。うちのクラスでもよく話に上がったりしますし。私も好きになりそうだな〜。」
「え!本当なの!?」
「き、如月さん落ち着いて。」
話を聞いて少し驚いてしまった。
確かにそうだ。奏くんはかっこいいし優しい。そんな話は出てもおかしくない、けど…
そう思うと胸が痛くなる。奏くんが誰かの彼氏になるなんて。
私はしばらくの間、そんなことを考えていて浦澤ちゃんの話などもほとんど頭に入ってこなかった。




