72話 喫茶
ホームルームでクラスの出し物を話し合った結果、うちはメイド、執事喫茶というものになった。羽島曰く文化祭の定番らしい。
東京にあるメイド喫茶みたいな感じらしく、そこに男子の執事が混ざったものだ。
「これまた凄い出し物だね。」
隣の水嶋がそう言う。凄い出し物と言うか凄い恥ずかしい出し物の感じがするが。
「メイドかぁ。これは私の可愛さが際立っちゃうね。」
「…自分で言うか。」
自画自賛というのは痛いものだと水嶋を見て分かった。というかこんな発言、クラスの人からしたらイメージがくずれそうだが、誰にも聞こえない声量で喋る感じ、ちゃんと気を使ってるのだろう。
「分かってると思うけど春祇くんもちゃんと執事してもらうから。楽しみだな〜。」
「…せいぜい不細工な格好になるだろうな。」
「そんなことないって〜。最近は女子の中でも春祇くんの人気は急上昇なんだから自信持ってよ。」
「そんなお世話で自信を持てるほどメンタルは強くない。」
「お世辞じゃないって。」
女子に人気なんてあり得ないし、お世話にも程がある。そんなので喜ぶのは羽島くらいだろう。
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「おーいそれ取って。」
「あいよー。」
文化祭の準備が始まり、授業はほとんどなくなり、クラスは看板を作ったりメニューを考えたりと頑張っている。
自分は紗羅と教室の飾り付けをしている。
「奏、そこのはさみ取って。」
「…はい。」
紗羅はこういう作業が得意なようで自分は紗羅の指示で動いていた。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…おい、二人とも。」
「…なんだ、羽島。」
「いやそのまえに少しは喋りながらやったらどうなんだよ。」
無言で作業していると羽島に突っ込まれた。別に喋ることもないから無言でやってだけなんだけどな。
「で、どうした。」
「ああ、なんか材料が足りないって水嶋さんから頼まれて買い出しに行こうと思ったけど一緒に行かないか?」
「…分かった。」
多分ここの作業は紗羅だけでもいけるだろう。そう思いさらに一言言ってから出かける。
「じゃあ行ってくる。」
「……行ってらっしゃい。」
やけに不満そうに紗羅が言う。何か悪いことでもしたのだろうか。




