67話 無限ループ
自分はいつものように走り出す。赤ブロックはつまづいた人がいて、四位にまで下がっていた。このペースでいけば一位はいける。普通は。
後ろを見るとちょうどアンカーの生徒会長にバトンが渡っていた。
すると瞬間、とてつもないスピードで生徒会長が追い上げてきた。三位、二位を抜かして行く。
「…まあ、良くやったな。」
自分はそう呟く。
このままくれば、最後の5メートル付近で抜かされるだろう。ぎりぎりで。
だが、それでいい。さすがに生徒会長には勝てなかったと、そう見ている人たちは判断するはずだ。目立つこともないし、何もおかしいことはない。今までもそれでやり過ごしてきたんだ。それで良いんだ。何も迷うことはないんだ。
走る距離は半分を過ぎた。
生徒会長はもう後ろ5メートルぐらいまでにきていた。これで部活をやっていないのか、才能ってやつは凄いな。
残り少し。もうゴールは目の前というところで生徒会長に抜かれた。
自分は横を見た。生徒会長が走る姿を。
その時、頭の中で何か聞こえた。昔聞いた声。隠れ鬼の時にも浮かんだ言葉。
(「わたし以外に勝負で負けちゃダメだよ。」)
まただ。なんで。隠れ鬼とは違う。ここでやってしまっては本当に目立ってしまうんだ。やめてくれ。だけど、『あいつ』を裏切りたくない。裏切ってしまっては自分は本当に生きる意味が無くなる。
「…ぁぁ。」
口から零れた。あいつ、との、約束は、守らない、と。
自分は一瞬、足の回転数を最大まで上げ、生徒会長を抜かし、少し差を開けた。
「な!?」
後ろから驚きの声が聞こえた。
もういい。生徒会長にくらいバレても、観客にバレてないはずだから。
生徒会長は自分が開けた差を縮めようとしたが間に合わず、自分は一位でゴールしてしまった。
「ゴーーール!!一位は赤ブロック!!!」
実況のマイクからそう叫び声が聞こえた。自分は手を膝につけて疲れたふりをする。
やってしまったのかもしれない。結局これでは自分のやったことが無限にループするだけじゃないか。何がしたいのか分からない。
自分はその場でしばらく頭の中を混ぜて考えたが、答えはでなかった。
ギリギリになってしまいました。すみません。あとお腹が空きました。
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