56話 見学中
あの後、熱は下がらず午前中に早退した。家に着き携帯を見るとあいつらからメールが何着か来た。とくに紗羅と如月からのメールの量がとても多く、返信に困った。
その翌日、まだ完全に治ってはいなかったが学校に行けないくらいではなかったので登校した。
学校に来て早々羽島たちに心配をされた。
「お、大丈夫か奏?」
「昨日水嶋さんから聞いたときは驚いたよ〜。」
「…まあ。体育は出来ないけれど。」
運動したりすれば、また熱が上がると判断して今日の体育は見学することにした。
そう説明している時、登校して来た紗羅がこちらに早足でこちらに来て、自分に詰め寄って来た。
「奏、大丈夫なの?治ったの?運動できるの?」
「お、落ち着け。顔が近い。」
紗羅は顔を近づけて聞いて来た。勢いもあって自分は椅子から転けそうになった。
「少しは治った。だから離れてくれ。」
「…分かった。」
そう言うと紗羅は安心したかのように息をついた。
すると羽島が紗羅を茶化した。
「いや〜あんな勢いで奏に迫ったからキスするかと…」
「う、うるさい。」
「ギャァァーー!!」
くだらないことを言う羽島の言葉に紗羅は真っ赤に顔を染めながら羽島の首にチョップした。
自分と平山は当然の仕打ちと思って観ていた。
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体育のブロック練習の時、自分はグラウンドの階段に座り見学していた。昨日見てみて分かったが袖から少し見えてるな、あれ。折るなりなんとかしとかないと。
今は初めてのブロック練習と言うことで三年のリーダーたちが自己紹介をして、早速団体競技の練習を始めていた。
ちなみに選抜競技のリレーには男子は羽島と柏木、女子は水嶋が出るらしい。もう一人の女子は…憶えてない。
そんなことを考えていると、さっき前で喋っていたリーダー的な人がこちらに来ていた。
「さっきからここで座ってるがどうしたんだ?」
「…体調が悪いので見学しています。」
「おお、そうか。まあしっかり練習も観ておけよ。俺は白ブロックのキャプテンの黒原研哉だ。よろしく。」
黒原は体つきがごつく、肩幅も広い。パワーなどありそうだ。
「…よろしくです。」
「ああ、それじゃあな。」
そう言って黒崎は練習に戻って言った。
自分は朝、羽島や平山、紗羅に心配されたことを思い出す。
心配されといてなんだが、自分はあまり心配されるのが嫌いだ。
理由は、自分で自分がみじめに見えるから。そんな扱いをされるのは今も嫌いだ。




