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自分は静かに過ごしたい  作者: SO/N
4章 在る夏の日
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50話 大切/賛成

一学期の最初、羽島くんが平山くんと喋っている時に言っていた。大切なものは無くさないと大切だって気づけないことだと。

私はそれに共感する。

賛成する。

私もその人が生きている時は大切だと思わなかった。けれどいざ居なくなったら、本当に悲しいものなんだと。

あの時それを分かっていたら…













ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー












お盆。私はお父さんのお墓に来ていた。

ここはかなりのお墓の数があり、人も少しだけだがいたりする。今日は風も強く、自分の髪が乱れたりしていた。

お父さんのお墓の前に立つ。


「お父さん…」


私は手を合わせ、心の中でお父さんに話しかける。


…お父さん。お父さんが死んでから一年が経ったね。相変わらずお父さんがいないのは少し寂しいけど、頑張って毎日過ごしてるよ。どんなことがあっても諦めないっていう『約束』も守ってるよね。

そうそう、今年のクラスメイトで面白い人がいるんだよ。春祇奏っていう人。見た感じはいつも眠そうな顔をしてけだるげそうだけど、いざっていう時は凄いんだ。頭の回転が速かったり、常に冷静で、なんだか凄くできる人でさ、私もそこを見習わないと。

他にも羽島くんたちや紗羅さん、如月さんといろんな人と友達になったよ。

お父さん、これからも私を見守ってね。私も頑張るから。



「…じゃあねお父さん、また。」


お父さんのお墓参りも終わったことだし、さて帰ろうとした時、意外な人が道を歩いていた。

私はそれに気づき、話しかけに行った。


「春祇くん、こんにちは。」

「…水嶋?なんでここに?」

「もしかして春祇くんもお墓参りに来たの?」

「……ああ。」


春祇くんの知り合いの人も同じ所の場所にあるなんで知らなかった。


「私もね、お父さんのお墓参りに来たんだ。お盆だしね。」

「…そうか。」

「ねぇ、せっかくだし、一緒に帰らない?」

「…墓参りが終わってからな。」


その返答に私は少し意外だな、と思った。いつもはこんな事を言ったら小言の一つは言うのに。


「私もその人に会いに行っちゃ駄目?」

「すぐ終わるからここで待っておけ。」


…そう言うと春祇くんはどこかにあるお墓の場所まで行った。

あの感じは、ついてくるなと言う風にも私は聞こえた。


「…誰なんだろ?」


春祇くんのお婆ちゃんとかなのかな、そう思って他の人のお墓に隠れて見えない春祇くんを見た。もう少しで終わるかな、私は遠くに春祇くんの顔を見た。


「…!!!!…な」


私はその顔を見てものすごく驚いた。

春祇くんはただ、無表情で手を合わせ、目を瞑っていた。

その目からは静かに涙が流れていた。涙は落ちて風に流され消えていく。


その春祇くんの姿は、とても儚げで哀しそうだった。












ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー











帰り道、春祇くんと肩を並べて歩いていた。

さっきの姿を見て少し一人勝手に気不味くなっていた私は、この質問をしようか迷っていた。けれど好奇心が勝った。


「…ねぇ春祇くん、聞いていい?」

「…なんだ。」

「春祇くんがお墓参りしたお墓、誰のなの?」

「………親戚だ。」


春祇くんは真顔で言う。その目は怖いくらいなんの色も見えなかった。


「大切な人だったの?」

「 」


春祇くんは何も言わなかった。

そして気づいたら分かれ道に着いた。


「自分はこっちだから、それじゃ。」

「…うん、またね。」


私は精一杯の笑顔を作った。春祇くんはそれを見て少し笑い、こう言った。


「…相変わらず作り笑い、下手だな。」


私はその言葉に少し安心した。そしてこう言った。


「失礼な、私のスマイルはめちゃくちゃ高いんだよ!お金払ってもらわないと。」

「持ち合わせがないんでね、それじゃ。」

「また会った時払ってよ〜。」


そう言って私と春祇くんは別れた。

その日は泣いていた春祇くんの顔を思い出してしまって他のことが考えれなかった。


これで4章は終わりです。最後は少し変な話でした。次回はちょっとだけ4.5章を挟んでいきます。

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