48話 友達
結局紗羅はあの服を買った。最初は買う気が無さそうだったのに、女心は分からないな。
「その服、気に入ったのか?」
「…うん。」
紗羅も満足そうだし、いいのだろう。
「それじゃ私たち、そろそろ行くね。」
「ああ。」
「ほら如月、行くよ。」
「引っ張らないで〜。あ〜奏くん〜また遊ぼうね〜。」
北見が如月を引っ張って行く。如月は名残惜しそうに離れていった。
「まだ時間がちょっとあるけど、どうするんだ?」
まだ少しだけ時間がある。自分は帰ってもいいのだけど。
「…ゲームセンターに行こ。」
「…ああ。いいけどなんでゲームセンターなんだ?」
自分はそれで構わないけれど、紗羅がゲームをするなんてあまり想像出来なかった。いつも本を読んだりしてそんな雰囲気を出してなかったから。
「…私がゲームセンターなんて意外って思ったでしょ。」
「…………なんで分かるんだよ。」
「伊達に一年も奏と友達やってないからね。」
「…そうか。」
だからなんで心の中読んでくるんだ。そろそろ怖くなってきた。
そんなこと考えているとゲームセンターの前に来た。
「私は今まで友達って言うのとどこか出かけたりしたことなかったし、前からゲームセンターには興味あったの。」
そう語る紗羅はなんだか楽しそうだ。
「あ、あれがUFOキャッチャーだよね。やり方教えて。」
「…分かった。」
UFOキャッチャーをしようと言う紗羅について行く。
…友達か。そんなものもあったな。
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あれからUFOキャッチャーやいろいろなゲームをしていた。気づけば5時を過ぎていた。
「そろそろ時間じゃないか。」
ゲームセンターをでて、アイスを食べている紗羅に言う。
「そうだね。じゃあ帰ろっか。」
紗羅が帰ろうと言うので途中まで送って行く。紗羅も遊び疲れたのか、小さな欠伸をしている。
駅に着き、紗羅を見送る。
「今日はありがと、楽しかった。」
「…そうか、それはよかったな。」
「うん、奏は楽しかった?」
楽しかった、か。……楽しかった、はずだ。
「…楽しかった。」
「そう、…よかった。」
自分がそう言うと紗羅は安心したように息を吐いた。
「あ、電車来た。それじゃ奏、またね。」
紗羅は電車に乗り、小さく手を振った。自分はそれに対して同じように手を振った。紗羅は嬉しそうに笑った。自分はそれを見て、申し訳ない気持ちになった。
最近は夜が少し涼しいですね。夏が終わっていくことが実感できます。
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