35話 如月美優
「…………」
転校生が話しかけてきた日の翌日。自分は学校で窓の外を眺めていた。天気は快晴でなかなかに暑い。
「春祇くん、どうしたのぼーっとして。」
隣の席の水嶋が話しかけてきた。
「別に何も。」
「そういえば昨日は驚いたね、まさか如月さんと春祇くんが昔からの知り合いだったなんて。」
「まだそうとは決まってない、あいつの勘違いの可能性もある。」
「えー同じ名前の人がいるとでも?」
「ゼロではない。」
「それは無いよ、『春祇奏』って名前そうそういないし、如月さんは見た瞬間に春祇くんだって判断したから。」
悪あがき程度で言った別の可能性もあっさり潰されてしまった。
「それに…」
「…なんだ?」
「いや、やっぱりいいや。」
そういう話の切り方をされると余計に気になってしまうが、どうせ水嶋は冗談でもいうつもりだったのだろう。
「はぁ…」
自分は二年になってから何度目かの溜息をはく。しばらくは平和に過ごせていたのだが、これはまた面倒なことになりそうだな。
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放課後、自分は嫌な予感がしていたので、一人で静かに学校を出ようとしていた。
学校の門から出てほっとしていると、後ろから走ってくる音が聞こえた。
「待ってよ、奏くん!」
あの転校生の声だ。早歩きで動こうとするとすでに近くまで来てたのか肩を掴まれた。
「なんで先帰るの!?証拠見せるって言ったのに。」
「いや、別に一緒に帰る約束してなかったし。」
「ひどい!」
「…声がでかい、周りから変な目で見られてるぞ。」
まだ人は少ないが、転校生の金髪もあってかなり目立っていた。転校生は顔を赤くして小さくなった。
「と、とりあえずどこか行こ。証拠見せたいし。」
「………分かったよ。」
最近、女子の提案に抵抗することをやめた。理由は紗羅や浦澤や水嶋のせいでもある。
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転校生と共に家からの近くのファミレスに来た。自分は学校から歩いて通っているので、家から学校まで近い。ちなみに転校生も歩いて登校しており、家が自分の家が近いことが分かった。
「で、証拠っていうのはなんだ。」
ジュースを飲んでほっとしている転校生に言う。
「あ、ごめん、今出すよ。」
転校生はそう言うとカバンから一枚の写真を出した。それには一人の少年と一人の少女が写っていた。少年は黒髪で特に特徴の無い、いわゆる普通の少年だった。
もう一方の少女は金色の髪をなびかせ、笑顔で少年の腕に抱きついている可愛らしい少女だった。
「こっちが私で、こっちの男の子が奏くん。」
「………そうなのか?」
確かに金髪の方は転校生に似ている。男の方は…どうなのか?自分に似てるのかも知れないが。
「これで分かったでしょ、私と奏くんは昔会ってたってこと。」
「…………まあ、そうなのかもな。」
ここまで言われたら納得するしか無い。覚えてないが。しかし幾つか気になることもある。
「自分とお前は昔どういう「美優」…なに?」
「昔みたいに、美優って呼んで!」
転校生はいきなり前のめりになってそう頼んでくる。近い。
「近い、とりあえず離れろ。」
「あ、うぅ〜」
転校生はまた小さくなる。なんだこれ。
「さすがに下の名前では呼べない。如月だったよな。」
「そうだけど、仕方ないな。いつか呼ばしてやる。」
最後ところの声がやけに決意のこもった声をしていたがスルーしておく。ていうか話が逸れてるな。
昨日週間ランキングを観ていたらこの作品が載っていました。ありがとうございます。
ちなみにこの章の題名を少し変えました。
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