33話 会えた
六月下旬。気温も上がっており、なかなかに暑い。
今は放課後で帰る支度をしている。すると羽島と平山に声をかけられた。
「奏、一緒に帰ろうぜ。」
「いいけど部活は?」
「今日は全部活休みなんだって〜。」
「そういうことか。」
自分と平山は帰宅部だが、羽島はサッカー部なので、なかなか都合が合わなかったりする。
「あ、どうせなら紗羅も誘おうぜ。」
「え、でも紗羅ちゃん来るかな?」
「大丈夫だ、ゴニョゴニョ........」
「…そういうこと!分かった誘って来る。」
羽島と平山はなにやら級に内緒話をはじめ、平山は何か理解したらしく、紗羅を誘いに行った。
「なに話してたんだ?」
「いやいや、奏さんに教えるわけにはいかないな。」
なんだそれ、自分に聞かれたく無いような事なら、目の前で言うなよ。
どんな内容だったのか考えてると、平山と紗羅が戻ってきた。
「早く帰ろう、奏。」
「あ、ああ。」
紗羅はやけに嬉しそうにしている。
「な、成功しただろ。」
「さすがだね。」
こいつらは何言ったんだ?
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四人で学校の玄関を出るとなぜか水嶋がいた。水嶋はこちらをみるとニコニコしながらこっちにきた。
「やあみんな、『偶然』だね。」
「み、水嶋さん?どうしたんですか?」
偶然か、わざとらしい。水嶋の方を見て少し睨むと、てへ、見たいな顔をした。うざい。
「…………………」
横を見ると羽島や平山水嶋に会えて嬉しそうに (特に羽島)しているが、紗羅はさっきまでとは違う怪訝そうな顔をしていた。
「ここであったのも『偶然』だし、せっかくだから一緒に帰っていいかな?」
「別にいいよ〜。」
「も、もちろん!二人は?」
「「………いいけど。」」
「な、なんで二人揃って嫌そうなんだよ。まあいいや、いきましょ水嶋さん。」
「分かった!」
こうしていつものメンバーに水嶋が加わった五人で帰ることになった。
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帰り道、その時起こった。
五人で帰っていると、前にうちの学生っぽい人がいた。
「あ、あの金髪、転校生じゃ無いか?」
「確かに〜。」
「名前なんだっけな〜?」
「如月美優さんだよ、あの髪、染めてないらしいよ。」
「へ〜そうなんだ。じゃあハーフかな?」
「あの人も可愛いんだよな〜。」
三人は前で歩いている転校生の話をしている。紗羅は何やらとても小さな声でブツブツ呟いている。何を言ってるのかはイヤホンを付けていたため聞こえなかった。
前にいる転校生はあちこち見ている。何か探しているのだろうか。そう思っていると不意にこちらを見た時に動きが止まった。
「ん?なんだろ、急にこっち向いてどうしたのかな?」
水嶋が言い、自分たちも止まってしまった。
転校生はこちらに向かって歩いてきた。
「なんかこっちに来てないか?」
羽島が言う間にもどんどん近づいて来る。そしてなぜか自分の前で止まった。
「あの、春祇奏くんですか?」
「…ああ、そうだが?」
なんで自分の名前を知ってるんだ?こいつとは喋ったことはともかく、あったこともないはずなのに。
「………やっと。」
「え?」
イヤホンの音楽で転校生が何を言ったのか聞こえなかった。
「やっと会えた!」
「な!?」
すると急に自分に転校生は抱きついてきた。自分は考える前に避けていた。
………『避けていた』?
「な、なんだ?」
「どうしたの?」
「え?」
「…何これ?」
自分も含め全員が驚いている。なんなんだ急に。なぜ急に抱きつかれそうになったんだ?




