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自分は静かに過ごしたい  作者: SO/N
2章 球技大会
29/129

28話 頑張る意味

準決勝の相手は二年生の男子二人だった。どちらもテニス部の強そうな人達だった。

最初に挨拶をした後、相手の男子二人に話しかけられた。


「なあ、春祇って言ったよな?」

「そうだが?」

「春祇、俺たちはな、お前がとても羨ましいんだよ!」


........なんで?


「あの水嶋さんと組めるなんて羨ましすぎる!しかもあんな可愛い姿の水嶋さんと!」

「だから俺たちの高嶺の花と組めているお前を倒す!要するに八つ当たりだ!」

「....は、はぁ....」


理由がなんとも。てか八つ当たりって認めるのかよ。

ちなみに水嶋の服装は上は水色で、下は白のスカートと確かに可愛らしい服装だった。それに比べ自分は上下黒色の地味な服装だった。

水嶋のところに行くと何故か誇らしげにしていた。


「やっぱり私と組めるなんて幸運だってことが証明されたね。感謝してほしいな。」

「....帰るぞ?」

「ごめんなさい。」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー









「はあ!!」

「くっ!」


気合いを込めた声を出し、私はまた点を取る。今は3ー1で優勢に立っている。けれどさすがに準決勝の相手あってあまり油断できない。

15ー0の時に相手がとても鋭いショットを打ってきた。前衛にいる春祇くんがとれるわけもなく、私は頑張って取ろうとした。


「はあ!」


なんとか返してカウンターが決まり点を取れたが....


「ぐぅ.....!」


無理をしてしまった所為で足を思いっきり捻ってしまった。相当痛い。けれどやめるわけにはいけない。せっかく組んでくれた春祇くんにも、私がお父さんとの約束のためにも。

だけど、上手く足に力が入らず、ゲームを取られてしまった。


「ごめん、ミスっちゃった。」


チェンジコートの時に春祇くんに謝った。春祇くんにばれたくないので痛いが普通通りを装った。けれど春祇くんにはそんなの意味なかった。


「足、痛めただろ。」

「....え、痛めてないよ?」

「嘘つくな、あのカウンターを打ったときから足に力が入ってなかっただろう。それに前にも言ったが、顔にでてる。」

「........」


ばれるとおもったけど、やはり春祇くんに隠し事は難しい。春祇くんは少し考える素ぶりをするとこう言った。

「....棄権するぞ。」

「え!?」

「あまり無理すると足に今後響いてしまうぞ。だいたいそこまでして頑張る意味はこの試合には....」

「駄目!」


私は少し大きくな声で言う。幸い私たちの声は観客の声に掻き消されて目立ってないようだ。

春祇くんの言葉は最もだ。けれど意味が無いなんて言われてしまい、私は少し怒ってしまった。そして春祇くんにとって訳のわからない事を言ってしまう。



「私には意味がある!....お父さんと約束したんだ。絶対に最後まで諦めないって。」


「........」


春祇くんは私の言葉を聞いて、一瞬少し驚いた表情をした。私にはその表情の意味が分からなかった。


「だから、ごめん。....最後までやらして。」

「....分かった。」


そう言うと春祇くんは学校で借りたラケットを掴む。

私は自分のラケットを使っていて、春祇くんは何故かラケットを持ってきたのに学校のラケットを借りてきた。さっき理由を聞いたが、予備だと言っていた。

何をするんだろう、そう思っていると、いきなり『指』でガットを切った。


「....!?」


私はその行動に驚きすぎて声が出なかった。いくら学校のラケットはガットもボロボロだが、指で切るなんてとてつもない力だ。


「どうしたんだ?」


相手の男子の一人が、自分達がまだコートに入らないのを見て言ってきた。


「ガットが切れたんだ。少し待ってくれ。」

「早くしろよ。」


春祇くんはそう言うと予備と言っていたラケットを取り出した。そのラケットは春祇くんの服装と同じ黒色だった。ちなみに春祇くんの服装は全身黒色で地味っぽいが、何故か春祇くんにはしっくりきてた。


「水嶋は後衛に下がっておけ。無理するなよ。」

「う、うん。」


春祇くんはどうやらやってくれるようだ。お礼言っとかないと。


「春祇くん、ありがと。」

「.........」


その時の春祇くんは何故かとても哀しそうだった。

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