22話 後ろにいる
後半が始まって五分程度たった。また相手チームがゴール前まで来てしまったが、なんとか止められ、今攻め上がっている。
「うぉらーー!!!」
羽島はボールを貰い、一気に一人で駆け上がる。そのスピードにはほとんどの人がついていけない。そんな羽島を止めに入ったのは、今出番の多い赤崎だ。
「出たなイケメン!」
「その呼び方、ひどいな。」
赤崎はそう笑いながらも羽島のボールを取りに来る。その圧力に羽島も苦戦している。
「このままとって勝つよ!」
「それはどうかな?」
羽島は大振りに足を前からボールを後ろに蹴ろうとする。バックパスだ。それに対して赤崎は薄く笑った。おそらく何か対策があるのだろう。
え、なんでそんなに状況が分かるのかって?なんでって.....
後ろにいるから。
「な!?」
赤崎が驚く。羽島がバックパスする瞬間に自分がボールを奪い取ったからだ。といってもそういう作戦だったので、羽島は怯んでいる赤崎を抜け、自分は羽島にパスする。
「ナイス!」
そのまま駆け上がり、ディフェンスを3枚抜きし、ゴールに向かってシュートする。勢いのあるボールは誰にも止められず入った。
「よっしゃーーー!!」
点が入り、羽島は喜びの声を上げる。
「…やられたな。さすが羽島。それに春祇。」
少し悔しそうに言いながら赤崎が話しかけてきた。
「....自分は何もしてないぞ。」
「まあ、普通に見たらあんな豪快なシュートした羽島が凄いとほとんどの人が思うだろうな。だけどよく見たら、うまく気配を消したり、正確にボールをとって完全な位置にパスする春祇の方が凄いんだよ。」
「たまたまだ。」
「そうか?まあ、まだ終わってないからな。反撃するよ、こっから。」
そう言うと赤崎はチームメイトの方へ行った。
入れ替わるように羽島が戻ってきた。
「奏、やったな。見事奏の作戦であの赤崎をぶっ倒したぜ!それにしてもよくできたな。」
確かにうまくいったもんだ。気配を消すのは得意だったが、ボールの扱いには慎重にやらなければ失敗だったので、正直ヒヤヒヤしていた。
「そろそろ再開だぞ。」
「ああ、分かってる。お前らこのままいくぞー‼︎」
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「すごいね!あれ。」
「........」
紗羅さんはやけに集中して見てるのでさっきから話しかけても反応しない。
それにしてもあの春祇くんと羽島くんの動き、多分春祇くんが考えたのだろう。一見羽島くんが凄いと思うような雰囲気だが、よく見れば気配を消したり、正確な動きをした春祇くんも中々だ。シュートした羽島の方が異様に注目を浴びてるのも計算したんだろう。
残りちょっと。笛が鳴りスタートする。もう勝ったも同然だろう。
「このままいけば勝ちだね。」
そう確信していると驚く事が起こった。
「え?」
どういうことだ?そう思いグラウンドをみると赤崎くんがもの凄いスピードで上がってる。さっきまでは本気じゃなかったようだ。
あれは誰も止められない。そう思いディフェンスがどうするのか見ると、
「あれ....なんで?」
そう呟いてしまった。なんで春祇くんがディフェンダーになってるの?
さっきランキングを見たら32位に入っていました。ありがとうございます。
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