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絶望魔導士の冒険者録  作者: 眠たい白鼠
1/1

プロローグというか主人公の紹介というか粗筋的な何か

この話を語るにあたって、紹介しなくてはいけない人物がいる。所謂『主人公』というやつだ。え?お前が誰だ?……誠に申し訳ないが、今はとりあえず、「ナレーターさん」と名乗らせてもらう。

 その人物の名前はセーガ・グラッツェル。黒耳長族(ダークエルフ)の父、ユウマ・グラッツェルと、白耳長族(ホワイトエルフ)の母、イリーナ・グラッツェル(旧姓ユーシアン)の間に生まれた。

 誕生日は10月20日の蠍座。父と母がそれぞれ色の違う耳長族(エルフ)だった為、灰耳長族(グレイエルフ)、つまりは黒耳長族と白長耳族の混血で、普通の白耳長族の五倍近くの魔力を体に宿している(彼自身自分で計ったことはないから、今一判らないが)。父親譲りの黒い髪と、母親譲りの青い長耳族の目を持っていて、顔は比較的父親似と言えるだろう。

 父であるユウマの生まれ故郷、大樹の国『アルミアーノ』のアノアの街で生を授かる。両親の冒険者としての姿に憧れ、いつか冒険者になって、父と母のように格好良く在ろう、と、そんなことを思っていたりとかもした。

 剣闘士(ソードファイター)の父からは剣を、精霊魔導士(エレメントウィザード)の母からは精霊魔法と最低限必要になる勉強を教わった。両親に着いていって、色々な場所に行った。勿論親には止められていたが、懲りずに何度もチャレンジした結果、親に一切バレずに後を追う事ができるようになった。ストーカーの才能があるのかもしれない。

 だがしかし、平凡とは即ち崩される運命に在るとでも言えば良いのか、まあ、要するに、魔物の襲撃と、度重なる他国との戦争から国を護るために、父と母は死んだ。魔物の襲撃自体は、決して珍しいことではないし、戦争も、頻繁と言うわけではないが、そこまで少なくはない。しかし、当時十歳だった彼にとって、家族がいなくなるという事は、如何に辛いことだったかは、ここにおいて説明するまでもないだろう(実の所余り進んで話したい話でもないし、話が横道に反れても困るだけなので、それもあるのだが)。

 余談ではあるが、そんな彼の両親が身を呈してまで護った国、アルミアーノは、結局戦争に敗けて滅んでしまう。セーガを含む僅かな生存者を遺し、大樹の国アルミアーノは、その国の領地の殆んどを焼き払われ、滅んでしまったのだ。

 さて、そんな壮絶な少年期を持つ彼だが、それ以降の消息がぱったりと途絶えている。文字通り、跡形もなく。元から存在していなかったかのように、行方を消している。

 とはいえ、結局この物語の主人公だったりする男である。生きている、と言うことだけが確かで、それはつまり、十中八九生きている、という、主人公補正によって決められた絶対不変の決定事項だ、ということである。

 「結局この話はどんな話なんだ。いつまで余計なモノローグ決めてるんだ。」とまぁ言う方々もいるだろう。申し訳ないが、この話において、そんな彼の消息不明だった頃の話を語ることはできない。その話はまたいつか、と言うことで。

 では改めて紹介を。この物語は、若冠十歳で親を失い、故郷を失い、文字通り帰る場所すらない青年セーガ・グラッツェルが、彼の使役する精霊達と共に、人種差別の国を作り替え、その国最強の冒険者になってしまう話、なのである。

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