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妄想短編集

圧倒的数量肝試し

作者: Aims

私はかねてから考えてきた一大計画があった。実行したところで私に利益は一切無い。結果も全く見えない。それでも実行したいという気持を抑えることはできなかった。いわいる悪ふざけ。


内容はこうだ。

いたって単純。心霊スポットに大量の人数で行くこと。大人数での肝試し。それも10人20人のレベルではない。心霊スポットの広さには大小あるだろうが、敷地全てに人を敷き詰める!


初詣を思い起こせばいい。普段真夜中に神社に参拝するのは恐怖でしかないだろう。しかし、初詣はどうだろうか?あれだけの人がごった返していると、恐怖なんて微塵も感じないはずだ。


心霊スポットを怖くなくしたら意味がないだろうと思い人がいるだろう。そういう事が好きな人ならそう思って当然だろう。しかし肝試しなんて考えるだけで嫌な人間からすれば、この試みの方がおもしろい。心霊スポットを崩壊させるようなものだから。


計画の日がやってきた。時間は朝の9時。朝なら怖くないからだ。ぞくぞくと人が集まってくる。ここから心霊スポットまで大型バス数台でどんどん人を運ぶ。

集まってくる人はみなホームレス。住宅を提供するという条件で片っ端から声をかけて回った。住宅とはもちろん心霊スポットだが。


現地に着くと1人1畳のスペースを設け、どんどん人を入れていった。場所は有名な廃病院。山奥にあるだけあって朝でもなんだか異様な雰囲気を感じる。しかしホームレス達は全く動揺した様子を見せず、ぞくぞくと中に入っていく。


各部屋には簡易トイレ、簡易浴室、布団、食料、一通りの生活ができる機材を揃えた。ただし、トイレも風呂も周りからは丸見えにしてある。なぜなら1人になる空間を作らないためだ。1人になってしまったら幽霊にやられてしまうかもしれない。そのため、部屋間の移動は禁止。一つの部屋に集まり、別な部屋に人が少なくなることを避けるためだ。照明はずっと至る所で付けっ放しである。暗い空間を作らないため。少しの闇も許さない。


ここは廃病院。部屋と言っても手術室だったり、待合室だったり、病室だったり様々である。中にはもちろんトイレや安置所もある。そこにももちろんスペースは確保してある。廊下にまで。とにかく人がいない場所などない。人口密度爆発状態。


各部屋では特にやることもないせいだろうか、至る所で宴会が始まっていた。もちろん酒も食料の一つとして準備してある。もはや心霊スポットとは忘れるぐらい一大宴会場と化していた。忘年会シーズンの旅館といったような雰囲気だ。建物は信じられないくらいボロボロだが。


私はこの光景を見て興奮していた。私は今、とてつもなく恐ろしい場所の中にいる。しかしどうだろう、私は微塵の恐怖も感じていない。すばらしい!もはやここは心霊スポットでも廃病院でも無くなった。ホームレスの天国と化したのだ!


私はしばらくここにとどまる事にした。正直怖さも全く無いし、その先の様子が気になったからだ。もしかしたらここまでしても何かしらの心霊現象が起きるかもしれない。それを目撃したいという気も起きてきた。圧倒的な人数のおかげで気持ちに余裕があったせいだろう。


数日が経過した。心霊現象は全く起きていない。毎日宴会の繰り返しで、いい加減うんざりしてきた。


そんなある日、事件が起きた。

各部屋でグループが形成され出した。上下関係が発生し始めたのである。各派閥が形成され、各リーダーが選出された。各部屋間の移動は禁止されているため、一つの部屋が一つの社会を形成したのである!まとまりが生まれると、勢力拡大を図り始めた。


私達が作り上げたルールは完全に崩壊し、各部屋の移動が解禁された。派閥同士の抗争が始まり、けが人や死者まで出る騒ぎに発展した。


日に日に抗争は激化していった。それと同時に上下関係も格差が激しくなったいった。リーダー格の人間は贅を尽くし、立場の弱い人間は奴隷と化していった。


そうなれば人はぞくぞくと廃病院の外へ流出していく。人が日に日に減っていってもリーダー各の人間は残っていた。外に出ればただのホームレスなのだから。そうなるとリーダー格の人から奴隷に格下げになる人間が生まれ、人は次々に逃げていった。


結局あれだけ廃病院を埋め尽くしていたホームレス達は、誰もいなくなっていた。


きっと幽霊がそうなるように仕向けたに違いない。幽霊より人間が恐ろしいなんて言わせない。きっと幽霊のせいだ。


そう自分に言い聞かせ、つまらない結末に終わった妄想を終え、就寝するとしよう。


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