表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Muse  作者: 波丸
1章
3/10

名門学園へ2

「はじめまして。遠い北の方から引っ越してきた湯瀬柚佳です。皆さん仲良くしてきゅださち。」


「……」


「……仲良くしてください」


 なんということだ。

 転入初日の重要な自己紹介で、噛んでしまうなんて!!

 自己紹介と言ったら、今後の学園生活にも影響するものなのに!やらかした。クラスメートも心なしか目がとても哀れんでいるんだけど。なに、別に失敗くらい誰だってするし。

 あ、無事教室に入れました。よかったよ。間宮先生が扉開けてくれたからフツーに入ることが出来ました。


「かなちゃん先生ー。この人がほんとに編入試験で奏佑先輩と互角の点数とったのかよ」


「えぇ、そうよ。筆記試験はともかく、ピアノは新城くんと互角だわ」


 間宮先生の言葉に生徒達がざわついた。なんだろう。

 それに、質問した男子生徒がいってた奏佑そうすけ新城しんじょう?って、誰だろう。どうやらピアノの実技は私と同じくらいらしいけど。うーん、気になるけど、先輩らしいから関わりはないかな。残念。


「じゃあ、湯瀬さんは窓側の一番後ろの席に座ってね

 」


「はい」


 窓側だー。これなら授業さぼれるかも。

 一番後ろに向かうとき、皆から視線を感じるけどとりあえず無視した。いやー、こんな性格でも意外と人見知りなんだよユズちゃんは。

 一番後ろの席のさらに後ろには、ピアノや五線譜黒板、楽譜がある本棚があった。音楽の授業の時は一番後ろが一番前になるらしい。これはまたショックなことに気づいてしまった。まぁ、一般教科じゃないだけまだいいや。音楽科なら頑張れる、はず?

 席についてみると、前の席が空席だった。ありゃ、休みなのかな。


「ねぇ、湯瀬さん」


「っはい?」


 前の人いないと黒板見やすいかも、なんて考えてたとき、突然右隣から可愛い声がした。ちなみに左は窓だよ。アイラブユー窓さん。今日も静かだね。


「わ……私、明日美。照島明日美てるしまあすみ、です!よろしくね」


 少し緊張気味の声で自己紹介する彼女は、とても可愛い少女だ。地毛だろう栗色のセミロングの髪は、癖のないサラサラ。目もぱっちりしてて、顔も小さい。肌もニキビ一つなくて、なのに、化粧っ気をあまり感じない。

 こんな美少女が隣なのか。そして、初めての新城学園の友達。すごい嬉しい!私みたいなブスとは釣り合わないくらい輝いてるけど、嬉しいことに嘘はない!


「よろしく、照島さん?」


「明日美でいいよ」


「あ、じゃあ私も。できれば、ユズって呼んでほしい、です」


 そう言うと、明日美は1度ぽかんとした顔のあと、花のように微笑んで、頷いた。



 その後、授業は転入してきた私に一切遠慮なく進んでいった。

 実は未だ教科書が届いておらず、ほとんどは明日美に見せてもらった。そのときふと見えた明日美のノート。あれは絶対頭のいいノートだよ。まとめ方が凄かった。私にもその頭脳分けてくれないかなぁ。

 だってさぁ!神様不平等だし。こんな完璧美少女いるのにどうして私にはその才を与えてくれなかったのか。

 つらいよぉぉぉ。


 はい、ちょっとふざけすぎましたね。数学全然わかんなくて現実逃避してました。許してね。

 数学の先生は、声楽科の橋本治はしもとおさむ先生。声の大きいおじさん先生。愛称は治先生で、皆の反応をみるに、かなり評判はよろしいらしい。フレンドリーだし、思ったより、授業中の笑いなどもある。

 てっきり真面目のガリガリ授業かと思ったけど、あまり一般校とかわらない感じだったので驚き。これなら私も馴染めるかもしれない。

 今やっているのは三角比の公式。それも私の知らない公式が三つも。へんっ!鼻で笑ってやろうか。できないよそんなもの!治先生教え方上手いけど進みがとてつもなく早い。

 前の学校と違うのは授業が60分授業っていうとこくらいだけど、10分の差はかなり大きいようだ。まさかここまで授業がすすんでいるとは、不覚だ。


「それではここまで。次回までに課題を終わらせるように」


 脳内でふざけつつ頑張ってノートをとっていたら、いつの間にかチャイムがなっていたらしい。治先生は黒板を綺麗に消していた。あ、生徒にやらせないのか。見たところこの学園、家柄の良さその人ばかりだもんね。授業をチャイムと同時に終わらせるなんて流石名門は学園は違うわ。じゃあ、私も次回はがんば……。

 ……。

 先生、課題ってなんですか。


「あぁ、転入生は課題については気にしなくていいぞ」


 だよね、よかった。焦らせないでよ治先生!数学の課題なんて、いま出来るはずないもん。

 まだ引越しの片付けしてないし、それに抑この学園の授業スピードが早すぎる。前の学校の授業よりもかなり早い。これは自分で勉強しなきゃいけないやつだ。だってまだ勉強聞けるほどこのクラスの人と仲良くないし。

 なんか、忙しそうな未来しかないわ。引越しって思ってた以上に大変かも。弟も今頃こんな感じかな。いやないか。あいつ容量だけは良いからな。猫かぶり常習犯だし。



 さて、4時間目も終わったし、転入生最大の難関がやってまいりましたよ。その名も【昼休み】。

 忘れてるかもしれないからまたいうけど、ユズちゃんこれでも人見知りなんですよ。つまり、ぼっち飯の可能性があるわけで。

 そんなのはいやだ。でも話すのはレベルが高い!


「ユズちゃん、よかったら一緒に食べる?」


 天使明日美が話しかけてくれました。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ