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3・バトル

 まず目の中にほこりが入らないようにするのがたいへんだった。


 さらにやってきたのは、どこの台風だよってぐらいの強風。と同時、耳の中につんざくごう音。


 俺は腕を十時にクロスさせ、顔を隠しつつ、なんとかして前方向に視線をやった。

 ……やったはいいのだが。


「な……、なにぃ!?」


 首を上げるのがたいへんだった。



 でかい。そして気持ち悪い。

 なんか、トカゲ……二足歩行している大きなトカゲみたいな。


 平たくいえばモンスターみたいのがいた。


 想像してほしい。

 ゲームの中で見るモンスターは、当たり前だが画面の中なので、サイズとしては、本当におまえ何言ってんのって感じだが、画面の中よりサイズが小さい。だから、べつに、肌とか材質とかを見ても気持ち悪いとか何もない。


 ……だがトカゲがもし人間サイズだったら?


 そしてそのトカゲが人間よりも5倍とか10倍レベルで大きかったら?


 そしてそれを肉眼で見たら?


 もう細かく見るのが嫌になるくらい(いやマジで)、その肌というか、何? うろこ? みたいのが生々しかった。抹茶みたいな色だし。

 だがその驚きは、やつの顔を見て、あっという間に消え去った。

 鋭いキバに、見るからに悪者だとわかるほどの凶悪な人相。


 ……まあなんというか。


 もったいぶった言い方になってしまったが、

 城の壁を壊して問答無用で入室してきたのは、一般的にいう『ドラゴン』と呼ばれるタイプのモンスターだった。


「ゆ、勇者さま!」


 俺のうしろから、お姫さまだろう声が聞こえる。

 風がびゅんびゅん吹いているなか、俺は後ろを振り返って、


「だっ、だだだだだ大丈夫、お、落ちけつ」


「まさしくそっくりそのままお返ししますけど!?」


「さあ、渡してもらおうか」


 前方から、反響している低い声がした。

 ぞっとしながら、俺は前に振り向く。


 俺が何も言えずにいると、ドラゴンは、


「テンプルクォーツを」


 と言った。


 ……なんだそれは。


 俺が黙って姫さまに顔をやると、姫さまは「我が城の宝です」と答え、


「7つ集めることにより、世界を有する力を手に入れると言われています。……なんとしても、渡すわけにはまいりません」


 と真剣な顔で言った。

 渡すわけにはまいりません、と言われてもだな。


 この状況だと、渡さないわけにはいかないだろ。


 と俺が思ったそのとき。


「ならば……、いたしかたあるまい」


 ドラゴンが、低い声をうならせ。


 ……えっ、おい、ちょ!


 首を少し後ろに引き、目を大きく開けた。

 そして、やつの口の中が真っ赤に光った。


 明らかにどうひいき目に見ても、あれ、必殺技を出すまえのいわゆるチャージ段階じゃね!?


「うわちょおい!」


「メルテ! 勇者さまに剣を!」


 !?


 姫さまの声が聞こえたとたん、その反対側の斜め後ろから、何かが飛んでくる気配がした。

 俺はそっちを振り


「わっと!」


 返ろうと思ったら、すでに顔のすぐ前に鞘があったのですぐ手に取った。あぶなっ。ぶつかるところだったぞおい!


「早く! 勇者さま!」


 そっちを見やると姫さまがすっごい形相で叫んでいた。いやいやいやいやいやいや! なんなのこれ!? ていうか!

 前を見る。めっちゃドラゴンの口の中光ってるんですけど!


 ああもうヤケだ!


 俺は剣から鞘を取った。

 投げる。


 音がしたがそれを気にせず、


「どうしたら」


 いい? と聞こうとしたら、もうそのときにはドラゴンが口から炎を吐いてこっちへと攻撃をしかけていて。


 俺はわけもわからず右手でそれを持って思いっきり斜めに振り上げた。

 次の瞬間。


 閃光と呼ぶべき雷が、爆音を立ててドラゴンの体を引き裂いた。

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