こまりの力
子供の遊びだろ。俺は、時計をみた。針は七時を指していた。
「夜だよ。お前は家に帰れ、親が心配してるぞ?」
「だから、我には、親がおらん!我を信じてないのか?」
はあー…だからガキは嫌いだ…。
「フフフ、我の力をかつもくするがよい!汝の力光の呪い!!」
こまりは、両手を広げ、円をかくように、動かし、両手を上に動かした。その瞬間薄暗かった教室が、まばゆい光に包まれた。
「なんだ…これ…」
「これが、我の力。フフフ、フフフフフ!」
まじなのか?…だめだ。なに信じてるんだ。
そんな上手い話あるはずない。
「そんなに我を信じないのか?おぬしは、千回リア充呪いたいって喋ったじゃないか?」
「え!俺、いつのまにか千回も喋ってたのかよ。それよりお前は家に帰れ。」
「いやじゃ!いやじゃ!あんな神社の中に、
また戻るのか…」
こまりの大きな瞳が俺を見る。今にも泣き出しそうな顔をして、俺にしがみついてきた。
「あんなところに何百年もいるのは、飽きたのじゃ!おぬし!我と組まないか?」
「は?」
「だから、我は、おぬしの呪いを叶えてやるから、おぬしの家にすませろ!フフフよいじゃろ?」
「あのな〜…いきなりすぎて、意味がわからねえけど。」
「ずっと独りでさみしかったのじゃ!我は
この人間世界を何百年みてきた。人間は、醜い争いを繰り返して、やっとおさまったと思うと呪い頼み、我は、たくさんの人間の呪いを叶えてやった。なのに、なのに、最近は、
誰も呪いを必要とならなくなった。だから、
だから、久しぶりに、人のために呪いを叶えてやりたいのじゃ!」
「わかったよ…じゃあその呪いなんとかで、
すぐに、俺ん家に帰れねえか?」
「そんなの簡単じゃ!」
こまりは、満足げに笑い、お札を一枚懐から
抜き出し、なにかをとなえた。
「帰りの術!」
急に意識が朦朧として、周りが真っ暗になっていった。
「あれ…ここは?…って家じゃん!」
なにか重いをおもったら、上にこまりが乗っかていた。長いまつげを揺らしながら、眠たそうに、俺の上で横たわってた。
「どけよ!」
「フフフ、我は、ついにこの日を待ってたんだぞ。」
こまりを抱き上げ、ソファーに寝かせる。
こうして、俺とこまりは、呪いを使う日々が始まるのであった。