次代キユリは占なえない。
まったく、不用意に
異世界にいかないでよね。
うざい男が来てるんだけど。
「次代キユリ、千嘉がパーウェーナ世界とやらにとらわれてると聞いたが。」
うざい男、レーギュウス・ムーラアが言った。
こいつはなぜか、千嘉のことをセンカと呼ぶ、あだ名か?愛称か?
まあ、いいけどね。
プラチナブロンドの短い髪がキラキラしてるな。
「滞在してるだけだよ、皇帝陛下。」
オレは言った。
うざい男レーギュは
この国ムーラア帝国の皇帝陛下だ。
そして、超不誠実の千嘉の元彼氏。
こいつは別れてないって言うだろうけど。
明正和学園時代に運命的に出会って。
詳細はよく知らないが。
『しばらく会わないことにしよう。』
とこいつから卒業時言われて
それっきりだと千嘉は言ってた。
毎日、変な仕事内容報告メールが入るんだそうだ、千嘉の端末に。
なに考えてる?
「私は、我慢してるのに千嘉の事を愛でる若い男がいるそうじゃないか。」
うざい男レーギュが言った。
おい、どっからその情報きた?
オレのハトコの相川千嘉は
今、パーウェーナ世界のクレシア芸術国
と言うところで
そこの王子様にお世話になってるらしい。
なんてデフォなと思うが...。
千嘉だからな相手が。
絶対に色恋沙汰はないだろうよ。
「別に世話してくれてるだけだよ。」
オレは言った。
オレと千嘉はハトコだが仲がいい。
よく、千嘉もキユリの町の占い殿に遊びにくる。
キユリの町は占い師と守護戦士の町で
キユリの町の代表者は代々。
当代一の占い師キユリだ。
オレはその次代のキユリで当代の元で修行をしている。
こいつも千嘉に会おうともくろんで
公式には当代キユリ『守護のキユリ』
に今後の事を占ってもらいに良く来る。
だが、千嘉に会えた事はない。
それで次代キユリのオレ、モモヤ・リンライに
いつも愚痴ってぐんだよな。
あんたと千嘉相性悪いんじゃないか?
「次代キユリ、オレは千嘉と結婚したいんだ、議会のじじいどもなどくそ食らえだ。」
レーギュが言った。
食らえなんて美貌の皇帝陛下も言うんだな。
ま、オレはお前に夢なんか持ってないが。
議会のじじいどもを説得できないから
千嘉を待たせまくって。
捨てられかけてんだろうが。
千嘉なんて、
もう、私、余生だから早く紫世界の
闇精霊の里にこもりたいって
お前と別れた以来いってんだぞ。
若いんだから、他の男にも目を向けりゃいいのに。
ああ、今いい状態だな。
忙しいこいつは絶対に
パーウェーナ世界のクレシア芸術国
なんて行けないだろうし。
千嘉には優しくしてくれる若い男がいる。
こいつ以外と幸せになっても
いいよな。
うーん、感覚を研ぎ澄ましてと。
って、異世界じゃ占えないじゃん。
「千嘉の元にいきたい、千嘉に触れたい。」
レーギュが言った。
こいつら、プラトニックで
色事なしの関係だったらしいからな。
余計、さわりたいのか?
「まあ、そのうち帰ってくるだろう、どうしても、千嘉と結婚したけりゃ、じじいどもを説得しな。」
オレは冷たく言った。
「次代キユリ~。」
レーギュが言った。
だいたい、こいつがオレに
愚痴りに来るお陰で
こいつとオレが出来てるって
噂がたってるんだぞ。
冗談じゃない。
オレは女の子が好きなの。
まあ、こいつもあわれっちゃ哀れだがよ。
一番可愛そうなのは
放置されてる、千嘉だよな。