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エーシア商会の若旦那は見た。

あの、シグルトが…吹雪の王子が…。

愛しそうに女を見てるなんて

オレはこの目でみても信じられない。


「ちか、この服なんて似合いそうですよ。」

シグルトが嬉しそうに紫のワンピースを持った。

たしかに似合いそうだがよ…。


お前、女にもて過ぎて面倒がってたじゃねぇか。


「えーと、今までのもので十分です。」

ちかっていう女は遠慮深く言った。

「なにいってるんですか。」

ニコニコと奴が言った。

おそろしいな…。


綺麗なだけじゃないんだぞこいつは。

ミシェル国王の政治の才能を受け継いだ。

スーパー王太子様なんだぞ。


女にもてるくせに冷淡でついに付いたあだ名が

『吹雪の王子』だぞ。

友達はみんな、あいつが女に対して冷淡なのは知ってるし…。


この状況みたらみんな目を疑うな…。

まあオレもそうだが…。


「ちか、体力が回復したら仕事を手伝ってもらいますから。」

シグルトが微笑んだ。


この銀髪王子が柔らかくだぞ微笑む?

外交の相手国の官吏じゃなくて

女にだぞ。


このちかって女ただもんじゃねぇ。


「シグさん、私、こんなに払えません。」

多量の荷物を見ていった。


自分で買うつもりだったのか...。


本当に男に頼りたがらない女だな。


「あなたが心配することはないですよ、マルティウス師匠が迷惑をかけたんですからこれくらい当然です。」

シグルトが微笑んだ。


おーい、その商品、一級品揃いだからな。

その持ってる飾り櫛はトレシガーナ水洋国

で仕入れた、

貴族のお嬢様でもあんまり持ってない。

マーマン族の一流の職人が作ったものだし。


鏡台に置いてる化粧品なんて

クレシアの超一流メーカーのもんなんだぞ。


あと、その今、ヤツがちかにはかせようと

している靴はヌーツ帝国にある

腕のいい靴屋の一点物だしな。


どんだけ愛されたんだよ。

ちかは気がついて無いけどな。


「カイト、ちかの足に合いません。」

シグルトが靴を持ってきた。

「ああ、調整してもらうよう手配する。」

オレは言った。

こいつが女の靴を持って歩くなんて信じらんねぇな。

この目で見ても。


「あの、ふつうのペッタンコ靴じゃないと転倒リスクがあるんでいいです。」

ちかが言った。


転倒リスク?なんじゃそりゃ?

確かにこの靴はヒールが高いけどよ。


「ちか、ちゃんとエスコートしますよ。」

シグルトが言った。


そうだろうな、下手すりゃ

離せって言っても離さない勢いだぜ。


「おばちゃんはペッタンコ靴しかはけないんですよ、仕事もペッタンコ靴じゃないと動きづらいし。」

ちかが言った。


おばちゃん?そんな年じゃないだろう?

仕事する気か...なるほどルナと違って

シグルトの妃狙いはしないんだな。


あの、妙に欲のないところが

シグルトのはまったところだよな。

穏やかでつかみ所がない。


「まだ、無理です、ちゃんと仕事は紹介しますから。」

シグルトがちかの手を握って言った。


...おおかたシグルトの執務室あたりでお茶くみバイトか?

頭よさそうな女なのにもったいない。

いっそ、オレが雇うか?


シグルトに恨まれそうだか...。


「ちか、回復したらオレのところの商会で雇ってやるよ。」

オレは言った。

「えーと、計算得意じゃ無いんですよ。」

ちかが正直に言った。


おい、シグルト、ちかに見えないように

睨むんじゃねぇ。


「別に通信機使えれば大丈夫だぜ。」

オレはシグルトを無視して言った。


「通信機?なんですか?それ?」

ちかが言った。

「これだよ。」

オレは通信機を見せた。


長四角の手のひらサイズの5ミリくらいの厚みの通信機を見せた。

表全体が画面になってて指で画面操作できて

相手をみながらの音声通信(画像は見せない事も出来る)や文字通信

データ入力も出来る…まあ、そのほか機能もあるし、機種によって機能も若干異なるが。


なんといっても、大型通信機とつなげて仕事が出来ることが大きい魅力だな。


トスモル技術国の近代の傑作だとオレは思う。

パーウェーナ世界のほとんどの大人が持っている(学生ももってるな。)


「端末みたいですね。」

ちかが目をキラキラさせた。

「端末?なんだそりゃ?」

オレは聞いた。

「さしいれ小袋があれば見せられるのに…。」

ちかが悔しがった。


「これですか?」

シグルトが何処からか手のひらサイズの青緑の布袋を出した。

「それです、何処に…かしてください!」

ちかがシグルトから奪い取った。

その反動でよろけた。

「無理しちゃだめですよ、ちか。」

シグルトがちかを抱き込んだ。


おい、今の何処にお前が抱き込む場面がある。


「大丈夫ですよ。」

ちかが言った。

「カイト、ちかは疲れている、話は次の機会に。」

シグルトが独占欲むき出しでいった。


はいはい、吹雪の王子様取られたくないわけね。


「ちか、またくるから、養生しろよ。」

オレは言った。

「ありがとうございます。」

ちかはやつの腕の中で言った。


まったく、女を知り始めた青少年かよ。

お前はよ…。

まあ、しょうがねぇ。

シグルトの初恋かもしれないしな…。

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