表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/55

吹雪の王子は闇精霊を探す

あの、エシア外交官、なに考えてる?

ちかのところにいかないと。


「ちか、疲れたなら、もう部屋に帰えろう。」

私はバルコニーに出ながら声をかけた。

誰もいない?


「ほかの出入り口からでた?」

私は呟いた。

さっきエシア外交官に引き留められながらも

一番近いバルコニーにいくちかを確認したし、出てくるのは見てない。


勘違いだろうか?


バルコニーから周囲を見回した。

三日月のした、外灯に照らされた庭園には何人も人影が見える。


このバルコニーからも降りられたな。

外にでたのか?


庭園にかけ降りた。


いつもと違う盛装の長い裾がうっとうしい。


「ちか!いますか!」

私叫んだ。


周囲などどうでもよい。


「殿下、ちか様になにかありましたの?」

若い金髪の女性が近づいてきた。


たしか彼女は…。


「シャルリーヌ・オルティアス嬢、ちかを見てないか!?」

私は叫んだ。

「ちか様?みかけませんわ。」

オルティアス嬢が言った。

「いったい、どこに行ったんだ?」

私は呟いた。

「見かけたか聞いてみますわ。」

オルティアス嬢が言った。


オルティアス嬢が人影のほうに行った。

若い令嬢たちのようだ。


「ちかはどこにいるんだろうか?」

私は周囲をみまわした。

あの深い黒とみまごう緑の髪が見当たらない。

今日は銀糸織りのレースの衣装を着ているはずだ。

月の女神のように綺麗だった。


ちか、どこかで倒れてるんじゃないだろうか?


不安ばかり頭をよぎる。


「シグルト殿下。」

後ろから声をかけられた。

振り向くとオルティアス嬢がいた。

もう一人誰か令嬢を連れてきている。


「なにか、わかったですか?」

私は言った。

「コンスタンスさんが月を見ていたら、白っぽい髪の男性が黒い髪の女性をかかえて庭園をとおったそうですわ。」

オルティアス嬢が言った。

「薄暗いところでみかけたので、白っぽい髪の男性は殿下かと思っていたのですが。」

コンスタンス・イェーヤラヌ嬢が言った。


白っぽい髪の男性が抱えていた?


「白っぽい髪の男にか?」

黒い髪の女性はちかだ確実に。

クレシアであまり黒髪の人間は見かけない。

ヌーツ帝国なら多いのだが。


白っぽい髪の男性はムーラアの皇帝陛下か?


「はい、黒い髪の女性は眠っているのかぐったりとしていました。」


まさか?危害を加えられてないだろうな。


「イェーヤラヌ嬢、どっちに行った!」

私は盛装の裾をまくりあげてベルトにはさんだ、これで走れる!

「むこうのほうです。」

イェーヤラヌ嬢が指差した方向に走り出した。


いったい、どう言うことだ?!

なぜ、ちかを抱き抱えて連れ去った?

レーギュウス・ムーラア皇帝、なぜだ?

ちか、今いくまっててください。


「殿下、通信がアルシード外交官から入っております。」

侍従がおってきた。

「今は取り込んでるんだ!」

私は言った。

「とりあえず出るだけでも。」

侍従に通信機を押し付けられた。


『シグルト殿下、ちか様はこちらにいるんですが…ちょっと相談にのっていただけませんか?」

エシア外交官がにこにこ言った。


底知れない笑顔を浮かべて。


「ちかをかえせ。」

私は言った。

「ええ、もちろん帰します、相談事はその事なんですよね。」

エシア外交官がにこにこ言った。


なにを考えている?

この女?

ちかを取り戻すために

とりあえず、話を聞いてみよう。


「話してください。」

私は冷たく言った。


ちかをこの胸に抱き締めないと不安なんだ。

ちか、きっとこの腕の中に取り戻して見せる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ